女子高生達と俺

saikororo

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二日目

♯9

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なんとか買い物を終えた。

そして疲労感を抱いたまま部屋に一度戻り、荷物を置いて近くのファミレスへ。

夕方の店内は夏休みの学生で賑わい、自身の肩身は更に狭く感じる。

只でさえ女子高生と共にいるんだ、三十歳手前の老け顔な自分は目立つ。

現に、脇を通る数名にじろりと見られてしまった。

周囲からどう見られているか。

容易に想像出来るが、思考を隅みに追いやりカップに口を付けた。

「島田さん、見られてましたね」

「目立つよなぁ」

「もう一人増えたら、もっと目立ちますよ・・・ほら、来ましたよっ」

そう言って彼女が入り口へ手を振る。猫も小さく振っている。

俺はと言えば、二人と同じ方を向いたはいいが、身体と視線がそれと同時に硬直してしまった。

確かに目立つな。そう思った。

「ごめんねー。バイト長引いちゃった。待ったよね?」

「少しだから大丈夫。ね?ミカ」

「うん」

テーブルに着き談笑を始める待ち人。

笑う度、一つに結った黄金色の髪が揺れる。その様は麦の穂を連想させた。

可憐が彼女、猫を儚さとすれば、麦の彼女は明朗。

日本人離れした容姿もさる事ながら、朗らかな笑顔に胸が暖かくなった。

「あ、それより早く紹介してよ!島田さんを!」

大きな蒼い瞳に俺が写る。尻尾が生えているならば、きっと千切れんばかりに振れている。

後、声が大きい。

「その前に自分からだよ。エリ?」

彼女が嗜める。

「あ、そっか。えっと、はじめまして、エリです!二人と同級生で女子高生です!」

「お、おう。はじめまして、島田です」

「うん!」

「う、うん」

「うん!」

「・・・リカ」

「あ、はい。とりあえず注文しよっか?」

このままだと肯定の応酬になってしまう。俺は彼女に助けを求め、彼女はメニューに助けを求めた。

元気が凄い。
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