女子高生達と俺

saikororo

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三日目

♯2

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部屋で一息つく間も無く、彼女達は三者三様に要求を喋り始めた。

「お腹すいた!」

そう言ったのは麦だった。
時刻は昼過ぎ。丁度良い時間だと思った。

「少し眠い」

そう言ったのは猫だった。
四時には起きたと言っていた。それも仕方ないと思った。

「お風呂入りたいかなぁ」

そう言ったのは彼女だった。
ここは温泉地だ。それはそうだよなと思った。

「なら別行動だな」

そう言ったのは俺だった。それは意外にも即座に了承された。
彼女達の事だから、別行動を許さず、強引に全てを両立させるのではと思っていた。

一応言ってみただけだった。

だから二の句を用意していなかった。

「じゃあ、温泉街でなんか食べてくるね。帰りに皆の分も買ってくるよ」

「なら、私は外の立ち寄り温泉に行きます。ここのは清掃中らしいので。途中まで一緒ですね?エリ」

「部屋で寝てる」

貴方は?

そう目で問われる様に三者の視線が自身に注がれる。

頭にも口の中にも言葉はなかった。

「・・・とりあえず、一服してくる」

こんな時は煙を吸えばいい。

年々高くなるこの趣向品は、間と平静を与えてくれる。

「では、解散!」

そう言ったのは麦。

好きにすればいい。重なった視線の先の瞳がそう言ってるみたいだった。
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