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M01・・・恋の蕾
密時
しおりを挟む黄昏の弛みなく続く路の上
淡い光が窓を柔らかく描きだす
名残惜しそうに揺れる薄明かりの中
真っすぐ伸び寄る人影へつま先向ける
瞼上げればネクタイの結び目緩める指先
たちの悪い危うさへ惹きつけられる色なき蕾
「飲みに行こう」軽やかな眼差し
「みんなで?」小首を傾げる
「二人で」ものなれた音色
「はい」睫毛はためかす
心の奥のさらに奥のほうで蝶が舞い飛び廻る
悪戯な瞳に勘違いしないようにと瞼を閉じた
ざわめく色のない風の下
星影夜の朔月が濃い翠の匂いを涼やかに照らす
光混じり合う交差点の前
さりげなく包み込む左手へ拙い右手ゆだねる
瞼伏せれば夜へ浮かぶ改札口まで繋がれた手
こなれた優しさなのに色づく蕾へ生える白羽
「気をつけてな」くすぐる響き
「ありがとう」もの淋しさ疼く
「またな」夏霞かかる先の約束
「はい」遥か遠くへ飛んでゆく
心の底のさらに底のほうでしゃぼんの玉が弾ける
酔いの熱の瞳に勘違いしないようにと瞼を閉じた
気まぐれな稲妻が
陰の向こう側の
見えない光を
蕾の隙間へ
漏す
彩り始めた恋の
蕾の色が
消えて
ゆく
露を湛える瞼を閉じた
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