月の裏で待っていて

ねむりありす

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M17・・・瞼の裏の逢魔時

密時

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大きな彩りの杜へオレンジの光が射し込んでくる

小さな影が一つ伸びてゆく

空から闇のカーテン降りてくれば

オレンジの光も小さな影も消えてゆく逢魔時おうまがとき

茜睫毛のカーテン落としてゆけば

遠花火の音も翠雨すいうの香もさざ波寄せる逢魔時

夏の予感そよぐ向日葵の揺れる道

眩暈がした蝉時雨の降り注ぐ木陰

水滴が垂れ落ちるビールの琥珀色

袖をまくり上げた白いワイシャツ

薄闇へ溶けてゆく煙草を弄る指先

朝靄の中で揺れる少し癖のある髪

夏の幻なんて見せないで

切なくなるから

星の瞬きなんて連れてこないで

苦しくなるから


白夜の立待月たちまちづきへたなびく一筋の彩雲が流れてゆく

消えた約束が東雲しののめへ砕ける

冷たい夜露の落ちる眠り繰り返せば

一筋の彩雲も消えた約束も溶けてゆく彼誰時かわたれどき

翠露を湛えた睫毛が震えてしまうと

流れ星の尾も碧兎の目も惑わせてくる彼誰時

金風の音へ触れる秋桜の揺らめく心細い帰り道

息をのんだ虹紅葉の煌めく淋しい青空の公園

物憂げに立ち昇る秘色ひそく色の煙草の煙

ポケットへ入れたままの左手

ほの暗さへ翳る後ろ姿

曖昧に誤魔化す嘘

秋麗あきうららの夜なんて見せないで

桜紅葉を探せるから

月の物語なんて囁かないで

濃藍こいあい色のネクタイ

もうどこかへ

忘れている

くせ



月の裏の約束なんてしないで

星と月の雫のリング

ちゃんと

はずせる





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