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第1部

その3

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「正当防衛に、民間人の逮捕協力ね」

千秋の背後から、同じ格好をした人が声をかける。

「そっちも片付いたの」

かいしゃのみんなに助けてもらったわ。たぶん後で大騒ぎになると思う」

下に転がっている男を指指しながら

「これ持っていったらさらにね」

気絶しているのを確認して、2人は話を続ける。

「ケイから聞いたときは驚いたわ、まさか5年前の大事件の関係者に関わっているなんて」

「半信半疑だったでしょうけど、無駄骨にならなくて善かったわ」

「襲われない方が、警察こっちとしては善かったんだけどね」

相変わらすハジメは真面目で堅いな、まあだからこそ長く付き合っているのだけど。

「じゃあ、あとはお願いね」

「はいはい、お迎え呼ぶから早く帰りなね」

千秋はヒールを履き直すと、駅の方に戻っていく。ある程度離れたのを見てから、ハジメは署に連絡して、主犯を捕まえたと連絡を入れた。

10分後には赤色灯を遠慮なく回したパトカーが2台やって来て、気絶した男と黒のワンボックスを引き取っていった。



千秋は、駅の手前で迎えに来ていた蛍のクルマに乗ると、蛍とハイタッチした。

「よっしゃ、成功」

「現行犯だからね、これで48時間勾留されるから、コンペには出られないわ。これで勝ちは確実ね」

時計は午後11時半を表示していた。
つまりキジマ達は月曜の午後11時半まで警察にいるので、コンペに出られない。蛍の計画どおりだった。

なおかつ、今から取り調べをすぐするにしても、警察発表は早くても明日になる。それから報道になるなら、ネットニュースで日曜の午後から、そして本報道は月曜の朝になるだろうから、財団側にも知られる。

「記事になるかな」

「一流会社の社員が集団レイプ目的の暴行よ、それだけで記事になるわ。ましてや襲った相手は警官で、元有名人。絶対なるわよ」

「ノブにも感謝しないとね」

今回のことは千秋個人の事であるが、過去の事件を蒸し返す事になるので、2人には懸念があった。

過去の被害者をセカンドレイプする事にはならないかと。

もちろん、他人は他人と割りきる事もできたが、2人にはそれが出来なかった。

なので、警察には申し訳ないが、キジマ達の画像データ動画データを消去することにした。

「キジマ達に気づかれたくなかったから、直前まで出来なかったけど、いいタイミングて出来たわ」

キジマがすぐにデータを流そうとした時はヒヤヒヤしたけど、無いと知った時の驚き顔を見れたから、まあいいかと思った。
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