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護衛対象はキケンな男の娘 短編
江分利組
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目的地手前二百メートルほどのところで、路肩に停車する。ハザードランプは規則正しくカチカチと鳴っていた。
しばらく黙っていたが、ハジメはバチンと両手で頬を叩く。
「あたしは小山元、愛知県警少年課の巡査部長、今の任務は江分利夏生の護衛、今からペアの御器所巡査部長に呼び出されて現地に向かう、以上」
「決めたの」
「うん。ややこしいのはキライ。だからまずは任務をこなすわ」
「まあその方がハジメらしいか。じゃあその辺ながしているから、わからないことあったら連絡してね」
「送ってくれるだけでいいよ。帰りはパトカーにでも乗ってくから」
「書類でわからないことコトあるかもしれないでしょ。大丈夫よ、私もわざわざ危険に近寄らないから」
「うん、わかった。ありがとう」
到着したことを伝えるために、御器所に連絡する。
「小山か。今どこだ」
「現地の二百メートル手前くらいのところです。何処へ行きましょうか」
「坊ちゃんの部屋に来てほしいんだが……、いま外がどういう状況になっているか知ってるか」
「動画サイト投稿者がライブ中継しているのと、闇サイトで本当に殺人依頼されているまでは知ってます」
「早いな。それを知っているなら話がはやい。ライブ中継しているヤツらを何とかするから、そのスキに中に入ってこい。話しはそれからだ」
了解と伝えると、葵に状況を話す。
「何をする気かしら」
目の前にある和風の家は大きく、大金持ちの家か料亭のように風格がある。
その周辺には黄色いテープで境界が張られていて、所轄の制服組が警護している。ハジメ達もさっき職質されて身分証を見せたところだ。
江分利組はテキ屋あがりの暴力団なのでこういう感じなのかなとぼんやり思っていると、正面玄関というかお寺の門みたいなところからガラの悪い連中が出てくる。
キョロキョロとしたあと散らばっていき、スマホを持っているカタギらしい連中に絡みはじめた。
「ハジメ、ちょっと見て、ライブ中継している連中らしいわよ」
葵のスマホで見ていた配信には先程の連中が映っていた。
──ヤクザだヤクザだ、本物です、今、僕はヤクザに絡まれています、リアルです、本物です──
怖がって逃げるかと思ったらそれすらもネタにするのか。
「この人たち命いらないのかな」
「画面越しだから恐怖が和らいでいるのかもね。スマホ壊されたら我に返るんじゃない」
「それはさすがに止めないと」
「それよりも今がスキのあるタイミングじゃない? 顔がバレないように行ってきなさい、気をつけてね」
葵の励ましを背に、書類で顔を隠しながら足早に江分利家の中に入る。
玄関には御器所が待ち構えていた。
しばらく黙っていたが、ハジメはバチンと両手で頬を叩く。
「あたしは小山元、愛知県警少年課の巡査部長、今の任務は江分利夏生の護衛、今からペアの御器所巡査部長に呼び出されて現地に向かう、以上」
「決めたの」
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「まあその方がハジメらしいか。じゃあその辺ながしているから、わからないことあったら連絡してね」
「送ってくれるだけでいいよ。帰りはパトカーにでも乗ってくから」
「書類でわからないことコトあるかもしれないでしょ。大丈夫よ、私もわざわざ危険に近寄らないから」
「うん、わかった。ありがとう」
到着したことを伝えるために、御器所に連絡する。
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「早いな。それを知っているなら話がはやい。ライブ中継しているヤツらを何とかするから、そのスキに中に入ってこい。話しはそれからだ」
了解と伝えると、葵に状況を話す。
「何をする気かしら」
目の前にある和風の家は大きく、大金持ちの家か料亭のように風格がある。
その周辺には黄色いテープで境界が張られていて、所轄の制服組が警護している。ハジメ達もさっき職質されて身分証を見せたところだ。
江分利組はテキ屋あがりの暴力団なのでこういう感じなのかなとぼんやり思っていると、正面玄関というかお寺の門みたいなところからガラの悪い連中が出てくる。
キョロキョロとしたあと散らばっていき、スマホを持っているカタギらしい連中に絡みはじめた。
「ハジメ、ちょっと見て、ライブ中継している連中らしいわよ」
葵のスマホで見ていた配信には先程の連中が映っていた。
──ヤクザだヤクザだ、本物です、今、僕はヤクザに絡まれています、リアルです、本物です──
怖がって逃げるかと思ったらそれすらもネタにするのか。
「この人たち命いらないのかな」
「画面越しだから恐怖が和らいでいるのかもね。スマホ壊されたら我に返るんじゃない」
「それはさすがに止めないと」
「それよりも今がスキのあるタイミングじゃない? 顔がバレないように行ってきなさい、気をつけてね」
葵の励ましを背に、書類で顔を隠しながら足早に江分利家の中に入る。
玄関には御器所が待ち構えていた。
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