タイムパラドックス

kinmokusei

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サターンとの思い出

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「サターンと仲が良かった?」


あたしは思わず聞き返した。


「えぇ。」


あたしには何も記憶がない。


「あたしはサターンのこと全然、、、?」


「時期に思い出します。何しろ数百年前ですからね。とりあえずレンスの実を食べ続けてください。」


でも。


「仲が良かったなら何故封印なんかしたの?サターンは何故封印なんかされたの?」


みんなの顔付きが変わった。


「サターンの力は強大なことは話した通りですね?」


「はい。」


「それが原因としか今は言えません。時期に思い出します。その時あなたは傷つき打ちのめされるでしょう。」


プルートはそう言って険しい顔をした。


(一体何があったというの?)


謎が残ったが、それ以上聞ける雰囲気ではなかった。




サターン。


5年も前だし、あたしはチラリとしてしか見てないし。


打ちのめされるほどの思い出っていうけど。


あたしはレンスの実を3日食べ続けているが思い出せない。


ムーンも過去の記憶を思い出すのに時間がかかったと言っていたけど、ムーンはすぐ顔に出るから嘘だと思った。


力も戻らない。


あたしはみんなの足手まといなんじゃないかなと焦る。


サターンのことを聞きたいけどみんなの態度でサターンのことは聞くことができない。


(一体何が?)


レンスの実を食べれば思い出すかもしれないし、力も戻るかなと思い無理矢理食べている感じだ。


ムーンは食べすぎだと言うけど秋時に会うためには力が戻らないと。


あたしは焦るばかりだった。




そして1週間が過ぎるころ、あたしたちは木星にいた。


サターンとは冷戦状態。


あたしの記憶の扉はまだ開かない。


「いくらなんでも食べ過ぎだ!」


ムーンに一括され海鮮丼味のレンスの実を途中まで食べて顔を上げる。


「記憶は必ず戻るから!そう焦るなよ。」


あたしはうつむく。


「何があったのよ?サターンとは仲が良かったんでしょう?あたしは何故封印なんか、、、。サターンが怒っても無理ないわよ!」


ムーンの顔がこわばる。


「記憶の戻りが遅いのはアース様にとってもとても背負いきれるような簡単なものじゃないからだ。俺にはそれしか言えない。」


(背負いきれない記憶?)


何があったか?


それは大変なことがあったのだろう。


それはムーンの顔付きでわかる。


サターン?


あたしとあなたの間に何が?




あたしはムーンと言い合いになった後ふて寝をしていた。


いつの間にか寝てしまったあたし。


夢の中あたしは涙を流して誰かを呼んでいる。


『アース?あなたが悪いのよ?あたしがどんな思いでいたか。知らないでしょう?』


『だからって殺すことはないでしょう!?』


『アース?あたしの気持ちを無視したそいつが悪いのよ?あたしのアースを取ろうとするのも悪い。死んで当然よ?』


ニヤリと笑うサターン。


すごく怖かった。


『アース?あたしは、、、』



あたしはそこで目覚めた。


すごく汗をかいている。


これがサターンとの思い出?


顔が見えなかったけど泣きじゃくりながらあたしは誰かを呼んでいた。


胸が痛い。


あたしは誰を呼んでいたの?





夢だけど、、、。


大切な人をサターンに殺された?


記憶がよみがえり始めてるのかも?


あたしはその大切な人が男の人だったと思った。


過去の彼氏?


秋時じゃないよね?


プルート様も記憶が戻ればあたしが傷つくと言ってたし。


’(秋時じゃない誰か。あたしはその人を愛していた。)


サターンの笑った顔怖かったな。


まるであたしを人形のように扱いっていたのかも?


あたしはサターンが怖くなったのかもしれない。


だから封印したんじゃないだろうか?


それほど大切だった人があたしは気になった。


「レンスの実を食べよう。そうすればもっと記憶が戻るかもしれない。」


あたしは独り言を言い、お腹が空いてないのにレンスの実をかじった。


すき焼き味だった。





「何やってるんですか!?」


真夜中、レンスの実をかじっているあたしを見てムーンが大声を上げた。


「う、うん。早く記憶をと、、、」


あたしはしどろもどろになって答える。


「だから!焦っても仕方ないんですってば!お腹壊しますよ?とりあえず寝てください!」


あたしは渋々食べるのをやめてベッドに横たわる。


「寝付くまで俺がついてますから。」


「いいよ!大丈夫だから!」


「ダメです!信用できません!」


ムーンはあたしの側を離れようとしない。


あたしは諦めて


「分かったわよ。」


そう言って寝付いた。



次の日起きるとムーンがあたしのベッドの横のソファーで寝ていた。


肝心の夢は見れなかった。





あの男の人は誰?


顔がぼやけて思い出せない。


でも。


とても大切な人だった気がする。


何百年も前にあたしは愛した人がいたんだ。


サターンの封印。


力の暴走のせい?


あの状態を放っておいたら星の2、3個は消し飛んでいただろう。


そしてまたサターンはあたしの好きな秋時を自分の婚約者にした。


確か美鈴さんは妹だったんじゃなかったっけ?


その美鈴さんとうり二つのサターンと婚約するなんて。


秋時は美鈴さんにかなり執着していた。


(好き、、、だったのかな?)


あたしは考えた。


もしかして血が繋がってないとか。


兄妹の許されざる恋だったとか。


どちらにせよ秋時の中にあたしはいない。


美鈴さんがいる。


なんだか元気が出ず寝ているムーンを起こさないように、あたしはまたベッドの中に潜り込んだ。






「アース様!いい加減起きてください!!」


「うーん。もう少しだけ、、、。」


ムーンの言葉にあたしはうつらうつらしながら言った。


「ダメです!これから魔力回復のための特訓するんですよ?みんなが待っています!!」


(寝ろって言ったり、起きろって言ったりなんなのよ?)


「さぁ、早く!」


「分かったわよ!起きればいいんでしょ?」


あたしは眠い目をこすってベッドから出た。




「アース、これからあなたが昔持っていた魔法書を渡しますね。」


「はぁ?」


プルートがあたしに古びた本を差し出した。


「まず簡単な魔法ですね。アースの得意な魔法は封印だと言いましたが、回復魔法も得意としていました。まずはその魔法を使えるような特訓をしましょう!」


「はい。」





古びた魔法書を見てなんだか懐かしいような気がした。


それと悲しみ。


なんでこんな気持ちになるんだろう。


その魔法書を受け取ると夢で見た男の人がせつなげに笑うような残像を見た。


あたしは思わず魔法書を落とす。


「しっかりしてくださいよ!アース、、、様、、、?」


呆れてムーンが魔法書を拾おうとあたしの表情を見て固まる。


あたしは泣いていた。


プルートは落ち着いた様子で。


「思い出しましたか?カノンのことを?」


そう言って難しい顔をする。


「カノン、、、?」


あたしは聞き返す。


「その魔法書の持ち主とだけ言っておきます。まだ記憶は定かではないようですので。」


カノン?


あたしは涙が止まらない。


カノン?


あたしの愛するカノン、、、。





これはあたしのいないところでの話だった。


あたしは涙が止まらなくて魔法の練習はまた日を改めてと言うことになった。


「プルート様!アース様は間違いなくカノン様のことを思い出し始めています!」


ムーンの言葉だった。


「サターンは秋時様も同じようにする気かもしれないです。」


ネプチューンも言う。


「ムーン。サターンのアースへの執着はものすごいものがあります。お付きであるムーンへも何かしないかと心配です。単独での行動は避けてくださいね?」


ウラヌスが言った。


「とりあえず居る場所を変えながらアースの記憶と魔力の回復を待つしかないでしょう。」


普段から無口なマーキュリーが言った。


「サターンは厄介だよ。アースがカノンに心を奪われただけであんな、、、。」


ビーナスはイケメンの男の子。


そのビーナスの言葉にみんなため息をつくのだった。





『あたしは呪われた子。いつもひとりぼっち。』


『サターン?そんなことないわ。みんな誤解しているだけよ!大丈夫よ!』


『アース?あたしをひとりぼっちにしないで!絶対よ?』




サターンはうなされて起きた。


アースは微笑んでいた。


それなのに。


カノンに心を奪われあたしをひとりぼっちにした。


憎い。


あたしを封印した。


憎い。


あたしを忘れてオータムに心を奪われた。


憎い。


アースはあたしを裏切った。


憎い。


「どうされました?サターン様?」


雪のように白い肌をしているウィンターが言った。


「なんでもないわよ!オータムを呼んでちょうだい!!」


「はっ!」


雪のように白い髪をなびかせ、ウィンターはオータムを呼びに行った。






「サターン様!何かありましたか?」


ウィンターに呼ばれ秋時ことオータムはサターンの部屋に入る。


ウィンターは気を利かせ下がる。


「あなたは特別だって言っておいたはずよ?様は付けなくていいの!」


サターンは苛立ちをあらわにする。


「はっ!」


秋時の態度にまたサターンは罵声を浴びせかける。


「敬語もダメ!あなたはあたしの婚約者なんだから!」


秋時は困った顔をしている。


「分かりまし、、、いえ。わかった。」


「ねぇ?いいことを教えてあげる!」


秋時の顔を見てサターンは笑う。


美鈴と似ても似つかない顔で。


「アースには愛してる人がいるわ!」


「俺は別に、、、」


秋時がたじろぐと、サターンは可笑しそうに笑った。


「あなたじゃないわよ?カノンって男。殺してやったけどね。あははは。」


秋時は少し動揺する。





サターンは秋時の動揺を見逃さなかった。


「あら?アースに恋愛感情はないって言ってたわよね?それともあたしに殺されるとでも思ったのかしら?」


「いえ、、、あ、じゃなくて、少し驚いたから。」


サターンの表情が変わる。


「驚く?なんで?アースはあたしを裏切ったのよ?当然だと思うけど?」


秋時は更に困った顔をする。


「サターン。あんたは愛情に飢えている。奈津のことが好きなのも分かる。仲直りしたいなら、、、」


サターンは秋時の言葉をさえぎり、怒鳴った。


「黙りなさい!!」


「サターン。戦争なんかに何の意味がある?奈津はアースとして覚醒した。お前を封印したのにも意味があるんじゃないか?お前だって太陽系銀河戦士だろ?美鈴が死ぬ前よく言っていた。信じることを忘れてはいけないと。」


秋時はひるまなかった。





「黙れって言ってんのよ!!あたしはアースが憎い!人の良さそうな顔して、裏切ったアースを許せない!」


秋時にはなんだかサターン哀れに映った。


「カノンってやつがどんなやつかは知らない。だけど恋愛と友情の愛は別なんじゃないか?仮に奈津がカノンってやつを愛したとして、サターン、あんたに対する愛情は変わらなかったんじゃないかな?あんたが奈津を好きなのは分かるけど、奈津も万能ではないんだ。愛した男を殺されれば怒るし、悲しむ。あんたは奈津の気持ちを考えたことあるか?」


秋時の問いにサターンは黙る。


(アースは、、、万能じゃ、、、ない、、、?)


「好きであるからこそ憎くも思うものだけど、奈津の気持ちも考えてこその友達なんじゃないか?」


サターンは動揺する。


「も、もういいわ!!下がりなさい!オータム!」


ようやく出た言葉がこれだった。






あたしは夢を見た。


サターンがあたしにだけ心を開き出した時の夢だった。


サターンは決まってあたしを見捨てないでと言う。


そして多分カノンと言う男の人だろう。


今回は顔がはっきり分かった。


カノンは地球人で昔は地球人は魔法を使えた時期があったのだ。


あたしは地球を治めるアースで、カノンは地球人としては魔法にたけていた。


あたしはいわば地球の神であったが、時々地球に行っては地球の平和のために地球人と交流を持った。


カノンとはそこで会ったのだ。


茶色の優しい瞳。


あたしは自分が神であることを忘れてカノンに惹かれていった。


カノンも同じくあたしを好きになってくれた。


あたしはサターンにそのことを相談した。


そして悲劇が起きたのだった。




『アース?どう言うこと?あたしよりその男を選ぶの?』


サターンの表情にあたしは少し恐れを感じた。


『サターン?どうしたの?あたしはただ、、、』


『何よ、その顔?アースはあたしのことだけを考えていればいいの!』


『サターン、、、?』



それから数日後にカノンはサターンによって殺された。


地球そのものを消滅させたのだ。


あたしに残されたのは魔法の勉強のためにと渡されていたカノンの魔法書だけだった。


『サターン!なんてこと、、、。殺すことないじゃない!しかも地球ごとなんて、、、』


あたしの瞳からは涙がこぼれて。


『アース?あたしがいるわ。丁度いい機会だわ。他の太陽系の星も消滅させるわ。アースにはあたしだけいればいいのよ。』


あたしは、、、初めて怒りを覚えた。





『何言ってるの?ちょっとおかしいわよ、サターン?』


あたしはしぼり出すような声で言った。


『あたしは破壊の神よ?アース。2人で生きましょう?』


不気味な笑みを浮かべるサターンに、あたしは何を言ってもダメだと思った。


そして。


『サターン?ごめんなさい。あなたを封印するわ。』


今思うとカノンから教わった魔法は、このことを予測していたのではないかと思った。


カノンはあたしの周りにいる神たちのことを聞いていたし、予知能力も持っていたから。


『サターン!これは掛けよ?この魔法を使えばあたしもどうなるかわからない!でも、、、』


あたしは封印の魔方陣をすばやく書いた。


『何よこれ!?アース?どうして?』


サターンの周りが光り出す。


『ねぇ!?アース!?どうして、、、』


あたしはサターンを封印し、残りの力を使って地球をよみがえらせ、地球人として転生した。





あたしは汗をぐっしょりかいて起きた。


瞳から涙が流れる。


あたしは全てを思い出したのだ。


でも。


分からないことがある。


どうしてムーンまで転生したのか?


ムーンはあたしのベッドのそばにあるソファーに座り吐息をたてて寝ている。


あたしは涙をぬぐい、顔を洗うために静かに起きた。


しかし。


「アース様、、、?」


ムーンは起きてしまった。


「その顔、、、。思い出されたのですか?」


ムーンの瞳は茶色。


顔こそ違うけれど、、、。


「ムーン?もしかしてあなたカノンの生まれ変わり?」


ムーンは優しく笑いあたしを抱きしめた。


「アース様。やっぱり思い出したのですね。俺はアース様を守る衛星になりました。守りきれなかったこと、、、神がいるならどうかアース様にもう一度会いたいと願いました。」







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