愛しのお兄ちゃん

kinmokusei

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飴とムチ

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「君筋がいいね?」


「違う!!もっと背筋伸ばせ!!」


「うまいうまい。よくできたね?」


「もっとキレよくターンできねーのか!」


社交ダンスの飴とムチ。


このことか、、、。


あたしは、聖夜さんは褒め、お兄ちゃんには叱られ、なんだか訳が分からなくなっていた。



「ね?すごいでしょ?」


美春こと春は笑いながら、シゴキが終わったあたしに近づいて来た。


「すごいっていうか、訳わかんないよ。あたしどうすればいいの?って感じで」


あたしはスポーツドリンク片手に、タオルで汗を拭く。



「だんだんウケてくるわよ。あーあ。聖夜さんモテモテ。あたしにだけ優しくしてくれないかなぁ。」



美春こと春はため息をついた。


「デートとかしないの?」


「うーん。実は今度の日曜会うことになってるの。」


「ええ?!」


あたしは自分で聞いていながら驚いた。


「オシャレなレストランで食事でもしませんか?って。」


美春こと春は顔を赤くして嬉しそうに言った。






「いいじゃない?行って来なよ!いいなぁ!」


「良くないわよぅ。何話していいかわからないもん。」


弱音をはく美春は可愛いくて。


恋する女の子っていう感じで。


あたしは少し羨ましさを感じた。


でもあたしは恋をしたことがない。


こういう時親友ならアドバイスとかするべきなんだろうけど。


あたしはどうしたらいいのか全く分からなかった。


「どうしたの?かん、じゃなくかな?」


そんなあたしに美春は笑顔を見せる。


「んー。なんにも出来ないから悪いなーって。」


あたしはすまなそうに髪をかきあげる。


「いいよ。聞いてくれるだけで助かるから。」


優しい美春はそう言って笑った。






「そこ!!何してる!!休憩時間はとっくに終わってるぞ!!」


お兄ちゃんがあたしたちに向かって怒っている。


「いけない。じゃ、ね。また、デートの結果後で教えるから!」


そう言って美春は社交ダンスの練習に戻っていった。





「かんな?」


「へ?」


お兄ちゃんとの夕食中、お兄ちゃんがふとあたしに声をかける。


「最近変だぞ?妙に素直かと思えば、今日は上の空だ。」



「別に!ただ、、、。」


言いかけて、あたしは思った。


恋のアドバイスなんてお兄ちゃんが分かるわけないと。


「なんだよ?」


お兄ちゃんは気になるようだ。


あたしはお兄ちゃんをジーッと見つめて、考える。



美春はお兄ちゃんが若葉さんのことが好きだと言ってたよね?


恋の相談乗ってくれるかな?


あたしってことにして相談したら美春のことバレないよね?



「あ、あの、、、?好きな人ができて。」


あたしは話し出した。


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