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幼馴染み
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俺たちは晴れて両思いになった。
と言っても、二人だけの秘密だ。
今まで通り、学校では一緒にお昼ご飯を食べたり、
休み時間に喋ったり、一緒に帰ったりと特に変わった事はない。
ただ、側にいる事が嬉しく幸せだ。
こんなハッピーな気分がずっと続いてほしいと思うが、
不安にもなる。
これほどカッコ良くて優しくて魅力的な男が、いつまでも俺の事を
好きでいてくれるのだろうかと。
恋をすると喜びと同時に苦しみもあって厄介だ。
今日、愁は学校を休んでいる。
一日会えないだけでも寂しく思う。
昼休みに友人の畑野と話していても、ボンヤリしてしまう。
「今日は大好きな山之内がいなくて寂しいよな、置田。」
「うん。寂しい。」
畑野が『あれ?』というように不思議そうな顔をした。
「あ、ゴメン。考え事してた。」
とごまかしたが、変な奴だと思ってるかもな。
「置田君。呼んでるわよ。」
クラスメイトの坂田が扉の方を指さした。
野上葵生がこちらを向いている。
彼女は愁の幼馴染みで、同じ芸術科の子だ。
畑野が『いいなぁ~』という顔で俺を見ている。
「何か用?」
「ちょっと話があるの。来て。」
俺は野上葵生に連れられ、校舎裏に来た。
「ねぇ、あなた、どうしてピアノやめたの?」
「えっと、どうしてって・・・」
なぜ彼女にそんな質問をされるのだろうか?
「悔しいけど、結構ピアノ上手かったじゃない。2年前の発表会よ。」
「発表会?」
「中学3年の時の発表会よ。私のママのピアノ教室と合同だったでしょ。」
「ああ、あの時の。」
俺が中学3年の時、母親のピアノ教室と一緒に発表会をしたのが
野上葵生の母親のピアノ教室だったようだ。
気づかなかった。
「私、3部の最後に出ていたわ。」
「思い出した。君、すごく上手くて驚いたんだ。俺さ、自分は向いてないなと
思ったんだよね。ピアノ好きじゃなかったしさ。」
「ふうん。そうなんだ。あの時、愁ったらあなたの話ばかりしてたわ。
上手いのにつまらなさそう。カッコいいのに面白いって。」
「俺ってさ、表現力がないんだよね。才能ないわ。」
「表現力ね。好きな人の事でも思って弾きなさいよ。」
「・・・・・・」
彼女は一体、俺に何を言いたいのか分からないが、
愁がらみの話だとは思っていた。
「愁ったら、あなたの演奏を見てから元気になっていったのは確かよ。
腹立つけど。」
「そうなんだ。」
「私と愁、アメリカ留学する予定なの知ってるの?」
「え?」
そんな話、初めて聞いた。愁は何も言ってなかった・・・・・・
「最近になって、愁がアメリカ行きをやめようかなと言い出したのよ。
あなたが原因よね。」
「君は愁のこと・・・」
「愁とは小さい頃からの付き合いだし、家族みたいな気持ちかしら。
愁にはチャンスを掴んでほしいの。」
てっきり、愁の事が好きで恋敵(?)の挑戦かと思っていたが・・・
違うのか?
「愁はあなたの事がすごく好きなのは分かるわ。」
「えっと・・・知ってるの?変だよな・・・」
俺は動揺し、何を言えばいいか戸惑っていた。
「人が人を好きになるのに男も女もないわよ。
まぁ、学校とかでは内緒の方がいいわね。面倒だわ。」
美少女の意見は迫力があって、俺はしょんぼりしていた。
思わず『すいません』と言いかけた。
「ちょっとー、しゅんとしないでよ。私、行くわね。」
愁の幼馴染みは、そう言うと去っていってしまった。
俺は混乱し、思考停止状態だ。
と言っても、二人だけの秘密だ。
今まで通り、学校では一緒にお昼ご飯を食べたり、
休み時間に喋ったり、一緒に帰ったりと特に変わった事はない。
ただ、側にいる事が嬉しく幸せだ。
こんなハッピーな気分がずっと続いてほしいと思うが、
不安にもなる。
これほどカッコ良くて優しくて魅力的な男が、いつまでも俺の事を
好きでいてくれるのだろうかと。
恋をすると喜びと同時に苦しみもあって厄介だ。
今日、愁は学校を休んでいる。
一日会えないだけでも寂しく思う。
昼休みに友人の畑野と話していても、ボンヤリしてしまう。
「今日は大好きな山之内がいなくて寂しいよな、置田。」
「うん。寂しい。」
畑野が『あれ?』というように不思議そうな顔をした。
「あ、ゴメン。考え事してた。」
とごまかしたが、変な奴だと思ってるかもな。
「置田君。呼んでるわよ。」
クラスメイトの坂田が扉の方を指さした。
野上葵生がこちらを向いている。
彼女は愁の幼馴染みで、同じ芸術科の子だ。
畑野が『いいなぁ~』という顔で俺を見ている。
「何か用?」
「ちょっと話があるの。来て。」
俺は野上葵生に連れられ、校舎裏に来た。
「ねぇ、あなた、どうしてピアノやめたの?」
「えっと、どうしてって・・・」
なぜ彼女にそんな質問をされるのだろうか?
「悔しいけど、結構ピアノ上手かったじゃない。2年前の発表会よ。」
「発表会?」
「中学3年の時の発表会よ。私のママのピアノ教室と合同だったでしょ。」
「ああ、あの時の。」
俺が中学3年の時、母親のピアノ教室と一緒に発表会をしたのが
野上葵生の母親のピアノ教室だったようだ。
気づかなかった。
「私、3部の最後に出ていたわ。」
「思い出した。君、すごく上手くて驚いたんだ。俺さ、自分は向いてないなと
思ったんだよね。ピアノ好きじゃなかったしさ。」
「ふうん。そうなんだ。あの時、愁ったらあなたの話ばかりしてたわ。
上手いのにつまらなさそう。カッコいいのに面白いって。」
「俺ってさ、表現力がないんだよね。才能ないわ。」
「表現力ね。好きな人の事でも思って弾きなさいよ。」
「・・・・・・」
彼女は一体、俺に何を言いたいのか分からないが、
愁がらみの話だとは思っていた。
「愁ったら、あなたの演奏を見てから元気になっていったのは確かよ。
腹立つけど。」
「そうなんだ。」
「私と愁、アメリカ留学する予定なの知ってるの?」
「え?」
そんな話、初めて聞いた。愁は何も言ってなかった・・・・・・
「最近になって、愁がアメリカ行きをやめようかなと言い出したのよ。
あなたが原因よね。」
「君は愁のこと・・・」
「愁とは小さい頃からの付き合いだし、家族みたいな気持ちかしら。
愁にはチャンスを掴んでほしいの。」
てっきり、愁の事が好きで恋敵(?)の挑戦かと思っていたが・・・
違うのか?
「愁はあなたの事がすごく好きなのは分かるわ。」
「えっと・・・知ってるの?変だよな・・・」
俺は動揺し、何を言えばいいか戸惑っていた。
「人が人を好きになるのに男も女もないわよ。
まぁ、学校とかでは内緒の方がいいわね。面倒だわ。」
美少女の意見は迫力があって、俺はしょんぼりしていた。
思わず『すいません』と言いかけた。
「ちょっとー、しゅんとしないでよ。私、行くわね。」
愁の幼馴染みは、そう言うと去っていってしまった。
俺は混乱し、思考停止状態だ。
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