彼の音色 ~君に恋して音が感情になった~

千莉々(chiriri)

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音楽室での告白

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次の日の放課後、俺は早めに音楽室に来た。
音楽室がたまたま使っていなくて良かった。

窓際に行くと、音楽室で待っていた愁の事を思い出す。
ピアノの横に立って待っていた愁は、すごくカッコ良かった。
懐かしいな・・・
愁と初めて歌を合わせた時、あまりの美しい声に感動した。
あの時から、俺はもう愁を好きだったのかもしれない。

「冬弥、お待たせ。」
「いや、さっき来たばかりだから。」
「そうなの?なんだか懐かしいよね。ドキドキするな。」
「うん。俺も懐かしいなと思ってた。」

俺は椅子に座り、楽譜を広げた。
愁が俺の横に立ち、肩に手を置いた。

「愁の為に弾くよ。気持ちを込めて。」
「うん。僕も冬弥の為に歌うよ。」

お互い目と目を合わせた。
そして、俺は鍵盤に視線を落としピアノを弾き始めた。

愁の歌いだしは、優しく甘く耳に心地よい。
サビになると力強いが切ない感じがする。
ずっと聞いていたい。ずっと側にいたい。離れたくない。
俺は自然と涙がこぼれていた。
歌い終わった愁は困惑した顔をしている。

「冬弥、どうして泣いてるの?」
愁は指で涙を拭ってくれた。

「ゴメン。愁の歌、やっぱり最高だよ。」
「今日の冬弥のピアノ、すごく感情がこもっていたよ。」

俺は涙を拭き、深呼吸をし、愁の方を向いた。

「愁、アメリカに行ってこいよ。」
愁は驚いた顔で、俺をじっと見つめている。

「どうして知ってるの?」
「野上さんから聞いた。」
「僕は冬弥の側にいたいんだ。音楽の勉強は日本で出来るよ。」
「俺も愁と一緒にいたい。けど、せっかくのチャンスだろ。」
「ヒドイよ。」
愁は下を向いている。

「愁。俺はお前の事が好きだ。大好きだ。愁の歌声も大好きなんだ。
一番のファンだと思っている。」
「何それ・・・」
愁は、そっぽを向くような感じで沈黙した。

「愁はカッコ良くて眩しいよ。正直、今の俺でいいのか自信がない。」
「どうして・・・」
愁は唇をキュッと結んでいる。

「俺は愁の笑顔も好きだ。俺はいつもその笑顔に助けられている。
これからも、ずっと大好きな歌を続けてほしい。」
愁は赤い目をして俺を見ている。

「だから、俺はお前1人くらい一生支えられるような男になりたいんだ。
俺も頑張るよ。愁も今しかできない事に挑戦してほしい。」

愁はフフッと笑った。
「冬弥。僕、プロポーズされてるみたいだね。嬉しいよ。」
「はぁ?」
プロポーズ??確かに一生支えるって・・・言ったな。

「なぁ、愁。一生会えなくなる訳ではないんだし、行ってこいよ。」
「そうだね。冬弥が責任取ってくれるみたいだしね。」
「あ、まぁ・・・そうだな。努力する。」

俺たちは暫くの間、抱き合いながら泣いていた。
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