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進駐軍
終戦になって、進駐軍が、この土塀の町に訪れた。
米国ではなく、他の連合国の進駐軍。
町の人々が、正式に対面したのは、正装をした軍の吹奏バンドの人々が、近くの宿舎から出て、町の通りを演奏しながら行進したときだった。
進駐軍の宿舎が、この城下町に置かれたことから、彼らは町の人々にとって、とても、身近な存在になった。
桜茶舗は表通りに面しているので、店の前を行き来する、進駐軍の人々に毎日出会う。
中には、日本語の辞書を持っている人もいて、カタコトながら話ができる人がいて、その1人がベンさんだった。
ベンさんと、いつも店にいる祖母は顔馴染みになり、それから父や、他の家族も親しくなった。
進駐軍にある、美味しいお菓子などを、ベンさんは持ってきてくれて、みんなでお茶の時間を過ごしたり、昼食を食べたりするまでになった。
陸が療養から戻ってからは、簡単な通訳をしてくれたので、もっと話がはずんだ。
ベンさんと一緒に来る進駐軍人の中には、美夜と同じ位の年齢の、美しい青年がいた。
彼は、ウィルと言った。
ウィルは、もの静かだったが、いつもニコニコして、ベンさんと一緒にやって来ては、祖母とお茶の時間を過ごしているようだった。
そして、美夜の英語の相手をしてくれることもあった。
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