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隼人との再会
ある日、桜茶舗の前に一台のタクシーが停まった。
ちょうど、大学が休みで、祖母の代わりに、店先に居た美夜は、入ってきたソフト帽と、背広姿の男性を見て、誰だかわからなかった。
でも、
「いらっしゃいませ」
と、声をかける。
「もしかして、お前、美夜?」
「あ、」
美夜はことばに詰まった。
「大きくなったなあ」
「隼人くん・・・?」
「久しぶり、元気だったか? 陸はいる?」
「うん。呼んでくる」
美夜は突然のことで、兄を呼んでくるので精一杯だった。
奥から出てきた陸は、
「隼人」
と 驚いた。
「また、急だな。」
そして、
「奥へ上がらないか?」
と誘った。
「いや、いい。今日は顔を見に来ただけだから。
陸、除隊したんだろ。具合は?」
「見ての通り、良くなった。隼人は今どこに?」
「まだ神戸。でも、今度こっちで仕事が決まったし、戻る。」
「そうか。ゆっくり話したいのに残念だな。今日は、家へ帰るのか?」
「いや、メープルホテルってのが、できたんだろ? 今日は連れがあるし、そこへ泊まるんだ。」
「そうか、また、こっちへ帰って来たら会おう。」
「またな。」
立ち去る隼人を見送って、陸と美夜は、店の前まで出ていった。
外には、壁にもたれて、流行の洋服で、巻き髪に、ヒールの高い靴を履いた女性が、細い指先で、煙草を吸いながら待っていた。
「隼人、終わったの?」
その女性は言った。
二人は、待たせてあったタクシーに乗り、去って行った。
「女連れでは、実家に泊まれないよな」
陸は言った。
「あの女の人、隼人くんの恋人?」
美夜が言うと、
「どうかなあ?」
と、兄は言った。
それは、あの白い道で別れて以来の、隼人との再会だった。
その晩、夕食を食べながら、陸が言った。
「今度もし、隼人が来ても、戦争中や、昔のことは、聞かないようにね。
実は、友達から聞いてたんだけど、あいつ、精神的に相当参ってたんだと。
戦争中色々、あったらしい。
それで、まともな状態ではなくて、神戸の親戚の家で、療養してたんだ。
酒を飲んで、荒んで、周りも困っていたらしい。
だから、自分のことを、話したくないんだよ。」
陸が、今日、隼人にあまり話を振らなかったのも、理解できた。
「それは辛いことだねえ」
祖母と母が話していた。
ちょうど、大学が休みで、祖母の代わりに、店先に居た美夜は、入ってきたソフト帽と、背広姿の男性を見て、誰だかわからなかった。
でも、
「いらっしゃいませ」
と、声をかける。
「もしかして、お前、美夜?」
「あ、」
美夜はことばに詰まった。
「大きくなったなあ」
「隼人くん・・・?」
「久しぶり、元気だったか? 陸はいる?」
「うん。呼んでくる」
美夜は突然のことで、兄を呼んでくるので精一杯だった。
奥から出てきた陸は、
「隼人」
と 驚いた。
「また、急だな。」
そして、
「奥へ上がらないか?」
と誘った。
「いや、いい。今日は顔を見に来ただけだから。
陸、除隊したんだろ。具合は?」
「見ての通り、良くなった。隼人は今どこに?」
「まだ神戸。でも、今度こっちで仕事が決まったし、戻る。」
「そうか。ゆっくり話したいのに残念だな。今日は、家へ帰るのか?」
「いや、メープルホテルってのが、できたんだろ? 今日は連れがあるし、そこへ泊まるんだ。」
「そうか、また、こっちへ帰って来たら会おう。」
「またな。」
立ち去る隼人を見送って、陸と美夜は、店の前まで出ていった。
外には、壁にもたれて、流行の洋服で、巻き髪に、ヒールの高い靴を履いた女性が、細い指先で、煙草を吸いながら待っていた。
「隼人、終わったの?」
その女性は言った。
二人は、待たせてあったタクシーに乗り、去って行った。
「女連れでは、実家に泊まれないよな」
陸は言った。
「あの女の人、隼人くんの恋人?」
美夜が言うと、
「どうかなあ?」
と、兄は言った。
それは、あの白い道で別れて以来の、隼人との再会だった。
その晩、夕食を食べながら、陸が言った。
「今度もし、隼人が来ても、戦争中や、昔のことは、聞かないようにね。
実は、友達から聞いてたんだけど、あいつ、精神的に相当参ってたんだと。
戦争中色々、あったらしい。
それで、まともな状態ではなくて、神戸の親戚の家で、療養してたんだ。
酒を飲んで、荒んで、周りも困っていたらしい。
だから、自分のことを、話したくないんだよ。」
陸が、今日、隼人にあまり話を振らなかったのも、理解できた。
「それは辛いことだねえ」
祖母と母が話していた。
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