いま、ひとたび

あすがの

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光の記憶

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「真隆さまっ……! ……ぁ……」
 現代の一人の青年は、毎日のようにある夢を見ては、誰かの名を口にして飛び起きる。目からは涙が溢れ、しばらくとめどなく流れ続ける。心には深い後悔の念と哀しみが生まれ、その名の人を、ひどく恋しく思うのだ。
「……会いたい……会いたい、っ、会わせて、くれ……」
 青年の口からは、泣いている間に決まってその言葉がこぼれていくのだった。
 青年は、名前を丹河秋たんがあきといった。秋は、物心がついてから成長するにつれ、よく夢を見るようになっていた。時代が全く違う、戦多き世で、一人の主に付き従い、生きていく夢だ。主の精悍な顔つきも、夢の中の自分を呼ぶ声も、はっきりと聞こえていた。


『光秋』
『儂に、いや、私についてきてくれるか、光秋』
『光秋……そなたは良い名を授かったな。光る秋……秋はまさに、稲穂が黄金に光り輝く。実った穂が風に吹かれて揺れる景色の、何と美しい様よ。それから……秋の夕陽の光もまた、城の中に差し込む様が美しい。美しい光の秋……そなたに、とても相応しい名だ』
 数々の言葉をくれた主の横顔を、その世の光秋はずっと、小姓として、そして——恋い慕う相手として、見続けてきた。
 小国の主であり城を持つ真隆は、家の存続のため、他家から嫁を貰い、子を成さなければならない。だから自分は傍に居られるだけで良い、誰かと結ばれるまでは、誰よりも一番傍に居られれば、それで良い。光秋はそう思い、主の部下として付き従い続けてきた。
 しかし、ある夜のことだった。寝所の番をしていた光秋は、寝所の中の灯りに火が点されたことに気がついた。
『光秋』
 程なくして、真隆が光秋を呼んだ。光秋は、襖の傍に耳を寄せるようにして近づいた。
『はっ』
『そなたに話したい事がある』
『如何なる御用にございましょうか』
『……こちらへ、来てくれぬか』
 寝所の中へと呼ばれ、よほど内密な話があると思った光秋だったが、向かった先に待っていた真隆は、どこか悲しげに見える笑みを浮かべていた。
『殿……? 如何されたのですか』
『いや……すまぬ。こうして呼び立てたからには、さぞ重要な事であろうと思っているだろうが……まず、政の話ではないのだ。儂が……私が、そなたに伝えたい事があって呼んだ』
『は……何でしょうか』
 光秋は内心首を傾げながらも、表情には出さずに真剣に見つめた。すると真隆は、何か詰まったような顔をして、視線を一度逸らした。そしてため息を吐いてから、何かを言いかけて口をつぐむのを二度ほど繰り返した。
『真隆様、もしやこの光秋が、何ぞ失態でも』
『それは無い』
 あまりに勿体をつける主に、光秋がおそるおそる聞いた事は、言い切る前に否定される。
『では、いったい……?』
 光秋が思わず不安の色を表情に滲ませながら言うと、真隆は一際大きなため息を吐いた。そして姿勢を正すと、光秋の目を見据えた。
『私は……女人を、慕うことが出来ぬのだ』
『——!! では、殿は』
『私は、男しか、慕うことが出来ぬ』
 光秋は、自分も同じであるとは言えど、いざ主がそうであったという事には衝撃を受け、視線を彷徨わせた。
 それを見てか、真隆は目を細めると、光秋から少し体の向きを逸らすように座り直した。
『殿……その事は、いつからにございますか』
 光秋がやっと言葉を発してそう聞くと、真隆は腕を組んで目を閉じる。
『はっきりと分かったのは、十の歳だ。母上が懇意にしていた他家の娘を招いた時だった。その娘のことは、家臣達もとても可愛らしく美しい、と口々に言うほどだったが……私には、殆どそれが感じられなかった』
『感じられなかった……?』
『ああ。可愛らしい、というのは、確かにその通りではあった。しかし、私にあったのは、弟妹に思うような……ずっと歳下の、幼い者に思うような情だけだったのだ』
 真隆は自嘲めいた笑みを浮かべた。
『きっと母上、そして父上は、私とその娘の縁を早めに結びつけたかったのであろう。何度か招いては、私と二人だけで過ごさせようとしたが、その度に私は刀や弓の稽古があると言って避けてしまった。結果、娘は全く訪れなくなり、母上と父上は、私の居ない所でとても残念がったという訳だ。……夢にも思わなかったであろうな、嫡男である我が息子が、衆道の者だったなど』
 光秋は真隆の言葉に、自分の膝上の拳を軽く握る。
『その当時、殿……真隆様には、いらっしゃったのですか? あるいは、今もいらっしゃるのですか……男子で、お慕いしている方が』
 それは光秋にとって、聞きたくない事だった。
 しかし、聞かざるを得ない事でもあった。真隆が気負いなく過ごすためには、他家からの縁談は極力避けなければならない。上方の命ならば断る事は難しいだろうが、そうなれば違和なく過ごしていかなければならないのだ。
『慕っている者は、おる。今でも……そうだ』
 真隆の答えに、光秋の心には黒い墨が滲んでいく。一瞬だけ、強く目を閉じてから見開くと、真隆の瞳を見つめた。
『どの御方なのか、聞いても良うございますか』
 声は震えていなかっただろうか、と光秋は内心心配になりながら、表情を変えずにそう聞いた。
『……光秋』
『は』
『光秋』
『……? 真隆様、何でございましょうか』
『そなただ』
『……………………え?』
 光秋は一度理解が及ばず、小さく口を開けてしまう。真隆はそんな光秋に苦笑すると、光秋の方へ手を伸ばし、頬へと添えた。
『私が慕っているのは、光秋、そなたなのだ』
 今、この人は何と仰ったのか。
 光秋の頬に触れた手は、そっと撫ぜるように触れた後、名残惜しむかのようにゆっくりと離れていった。
『だが、そなたは……私のように、衆道の者ではなかろう。私がこれを言ったからと言って、そなたが何かをする事も、気にかける事も、何もない。ただ……私にとってそなたは大切な存在なのだと、そう言いたかった』
 ぼう然として、されるがままになっていた光秋は、離れていく真隆の手と、この場だけで留めおこうとしているかのような言葉に、はっと我に返った。そして、離された手を追うように掴んで、両手で包むように強く握る。
『……っ』
『光、秋……?』
 真隆は驚愕したように動きを止めた。光秋は真隆の手に額を寄せた。
『そのような……この場だけにするかのような御言葉は、おやめください』
『だが、そなたは——』
『私も……私も、同じなのです、真隆様』
 光秋は振り絞るような声で告げる。一生告げられぬと思っていた心は、深い底に沈ませていた。出てくることはないと思っていたそれを引き揚げるのは容易ではなく、唇が震えてしまっていた。
『お許しください。私は、小姓としてお仕えに参り、しばらくした後から……貴方様を、お慕いしておりました』
『! ……それは、誠か』
『誠にございます。しかし私の身分で貴方様をお慕いするなど、貴方様の御身分と御立場を考えれば、断じてすべきではない事。貴方様に付き従い、御守する立場の者でありながら、そのように情を抱くなど……私は』
『光秋』
 光秋が言葉を紡ぐうちに、身体を強張らせ震わせ始める。それを見た真隆は、光秋の手を引いて抱き寄せた。
 光秋の頬が、真隆の首元に当たる。
『……っ、真、隆、さま』
 頬に触れた真隆の肌の感触に、光秋は固まってしまう。今……絶対に届かないと思っていたその人に、触れている。触れることが、叶っている。
『光秋……私は嬉しい。ああ、何という僥倖であろう。そなたも、そうであったのか……そうか。ならばもっと早く、告げていてもよかったのだな……』
 心から安堵に溢れたかのような真隆の、その柔らかな声に、光秋の目には次第に涙が溜まっていた。
『……っはい……はい。真隆さま……』
 光秋が震えると、真隆は少し身を離して、光秋の頬に触れ、目元を親指で撫ぜる。
『これほどまでに、そなたは……隠してきてくれたのだな。そなたの忠義に礼を言う。そして……長いこと、辛い思いをさせた』
 真隆の言葉に、光秋の目からはとうとう涙が溢れた。真隆はその涙を拭ってやると、襦袢が濡れるのも構わず、光秋を強く抱き寄せた。
『こうして、そなたを腕に抱ける日が来ようとは。不思議な気分だ』
『っ、私も……この様に、貴方様に、触れることが出来る日が、来ようとは……っ』
 光秋は真隆の肩に頬を寄せた。こんな時が来るなど、過去の光秋からすれば夢であっても叶わぬものと思っていただろう。雲の上よりも、ずっとずっと遠い事だと思っていた。しかしそれが、生きている中で叶っている。
『……さきもそなたが言ったように、此処には私達しかおらぬ。好きなだけ、私に触れるが良い』
 真隆は光秋の後頭部に手をかけると、光秋の髪を撫でた。そして囁いた言葉に、光秋はぴく、と身動きする。
『! そ、それは……真隆さま』
 腕の中で顔を上げると、真隆は少し悪戯に微笑んでいた。
『何だ、触れる事は不得手か?』
『い、いえ! そのようなことはっ、むしろっ……』
『むしろ?』
 真隆は悪戯そうな笑みを崩さず、焦って口を滑らせた光秋の顎を指で掬う。
『む、むしろ、その、……触れ、たいです……』
『よし。そなたに許す』
 光秋がか細く自分の欲を吐露すると、真隆は満足気に微笑み、腕を広げると襦袢の前を緩くくつろげてみせる。
『さあ、触れたいように触れてみよ』
 光秋は、襦袢が少しはだけたその胸元を目にして、思わず唾を飲み込んだ。そして、真隆の間近まで寄ると、そっと手をかざした。
『……失礼、致します』
 かざしていた手を降ろして、光秋は真隆の肌にそっと触れていく。硬く厚い胸板と肌の温もりに、光秋の胸は忙しなく脈を打ち始める。
(この温かさが……真隆さまの……)
 光秋の頭の中が、次第に真隆で占められていく。やがて腰よりも下の方が少し重く感じた時、気づけば光秋は、真隆の胸板に唇を寄せていた。
『——っも、申し訳、ございませぬ……!』
 はっと我に返った瞬間に青ざめ、光秋は真隆から離れようとしたが、真隆は逆に抱き寄せてきた。
『さ、真隆さまっ……』
 先ほどまで唇を寄せていたところに頬をつけられ、光秋はぐっと目を瞑る。
『よい。好きに触れてみよ、と言ったのは私だ。謝る事はない。ところで……これでやめて良いのか?』
 真隆は光秋の後頭部に手をかけながらそう言った。
『わ、私は、っ、す、過ぎたことを、致しましたゆえ……っ』
 光秋は強く目を瞑って、首を横に振る。我を忘れ欲のままに情事に耽る感覚は、とんでもなく甘美であり、どこか恐ろしくもあった。
『誠か? ではあれ以上、私を求めてはくれぬのか』
 後頭部から首にかけてゆっくりと撫ぜながら、真隆は意地悪く囁く。
『それは……っ』
 光秋は肯定できなかった。というよりも、そうしたくはなかった。真隆を求めることが許されるなら……求めたいに、決まっている。
『私とそなたの想いは同じであるのなら、過ぎるも何も無いと思うが……』
 真隆はそう言って、光秋の胸元をはだけさせると、そこにゆっくりと手を差し入れた。
『っ、ん……』
 真隆の大きな手が、光秋の薄い胸板に触れる。初めての感覚に思わず真隆の衣を掴むと、真隆は光秋の表情を伺うように見つめた。
『怖いか』
『いえ、少々……気が張って』
 真隆の手の温度を感じ、胸の鼓動が早まるのと同時に、顔に熱が集まるのを感じながら、光秋は真隆を見つめた。
『そうか……私もだ。初めて、誰かにこうして触れる』
『真隆さまも、そうなのでございますか?』
『ああ。こんな風に触れたいと思ったのも、そなたが初めてだ』
 光秋の中で、言い様のない嬉々とした気持ちが湧き上がる。同時に少し不安も生まれ、真隆を見上げた。
男子おのこの胸は平たく、さらに私に至っては肉も薄うございますが……触り心地は、良うございますか?』
『……そなたは、そこを気にするのか』
 真隆はふ、と柔和に笑いながら、指先で光秋の胸の小さな突起を撫でるように触れる。
『心配することはない。むしろ……より触れたくなる』
『ん、……それは、よかった……』
 真隆の触れ方にぴくっと反応してしまいながら、光秋は安堵から微笑んだ。
『この様に触れられて、拒むような気は起きぬのか?』
 不意に手を止めた真隆は、光秋に静かにそう尋ねた。光秋は首を傾げる。
『なにゆえ、そう聞かれるのですか?』
『いや……今になって、そなたにとても不躾なことをしている気がしてな』
『真隆さま……そのような事は。そもそも、私の方が貴方様に……』
 真隆の不安げな表情に微笑んで言うも、真隆を求めるのに夢中になりかけた己を思い返して、光秋は顔を熱くさせながら俯く。
『私の方が先に、不躾な事を致しました……欲のあまり、求めるままに身を動かしておりましたゆえ。それに……私は、真隆さまになら、如何様にされても良いと思っているのです。頭から爪先に至るまで、この身は真隆さまのもの。真隆さまが私を求めてくださっているのであれば、私は何も厭うことなく、貴方様の御手に、この身を預けまする』
『……光秋……』
 真隆は瞠目すると、してやられたというように表情を崩して笑った。
『そなたという奴は……全く、どこでそのような文句を覚えたのだ。……おかげで、もっと触れたくなった』
 光秋が微笑を浮かべる唇に、真隆は唇を重ねた。口吸いも初めてだったが、一度離してからすぐに、どちらからともなく再び口づけていた。
 そうしてそのまま、互いの肌に触れ合った末に果て、褥を共にしたのだった。
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