9 / 47
チュートリアル
9話 朝イチ、寝起きで、そんな大切そうな話する??
しおりを挟む
他人と揉めるのが嫌だった。
(だから俺は、出来るだけ)
みんなが仲良く
(笑い合える様に)
クラスの中心で
(自分以外の人の為に)
頑張っていた。
だけど、俺のやり方は良くなかった。
自分が貧乏くじを引けば良い。
それが当時の俺のやり方だった。
そうしている頃は、周囲の人間からは、良い奴だと言われていた。
恐らく、彼らの、みんなの言う良い奴とは、都合の良い奴なのだと、分かっていながら。
「福場くんは、前向きで、リーダーシップがあって、とても良い生徒です。」
担任の教師から、両親に伝えられる評価は、決まってそんな物であった。
俺は、笑顔で「そうですか!」という両親と担任の教師へ、お前らは、何を見てるんだ?と言いたくなるのを、ずっと堪えていた。
他人の顔色を伺い、みんなが仲良く出来るように間を取り持ち、どうすれば、みんなが笑い合えるか考え続け、ふと思う。
みんなの中に、俺は含まれて居るのだろうか?と。
答えは、ノーだ。
だって俺は、福場 優は、貧乏くじを引いている。
みんなの為に、俺は、自分を犠牲にしていた。
俺の感情は、叫びは、葛藤は、意思は、何一つ含まれていない。
それは、反抗期と呼ばれる時期に、丁度重なって爆発した。
「最近どうしたんだよ?」
「きっと疲れてんだよお前!」
「元の優しい優くんに、戻ってよ。」
「少し前までは、凄く良い子だったのに・・・。」
まるで、すがられている様だった。
みんなの理想の福場 優を押し付けられ、本当の俺が殺されていく、そんな気がした。
だから俺は、福場 優は、自分自身を守る為に、自分の殻に閉じ籠ることにした。
分かりやすく、壁を作り、自己主張という、自己防衛に打って出た。
しかし、孤立して尚、他人と言うものは、浅ましかった。
「へへっ!もっと言ってやれよ!」
「俺らの分も頼むぜ!」
「俺らはお前の味方だからさ!」
自らは決して行動を起こさない癖に、他人には行動をさせようとし、味方だといって、自分では言いにくい事を俺に言わせようとしたり、都合良く利用しようとする、卑しい連中。
そんな彼らに呆れて、他人に期待をしなくなった。
結局のところ、人は、押し付け合う事しか出来ないのだ。
福場 優は、そう悟った。
~~ 目覚める ~~
「んん~!」
兵舎で、異世界初めての朝を迎える。
夢見こそ悪かったが、それでも、ここが夢ではなく、現実であるという事に、言い表し様のない喜びが込み上げる。
「あ、ねぇねぇ!起きた?起きたの?起きたよねぇ??」
「んッ!?」
ベットから起き上がろうとしたら、隣から、聞き覚えのある声が、そっと聞こえてくる。
(・・・いやいや、王女様だぞ?そもそも、そんな色っぽいフラグ、立てた記憶なんて無い。きっと気のせいだ。あぁ、きっと、色んな事があって混乱してるんだ俺。うん。そうだ。きっとそうに違いない。)
そして、何事もなかったかの様に、ユウは、瞳を閉じた。
「ふふーん♪えい!えいえいっ!」
右の頬っぺたを、ちょんちょんと、つつかれた。
頭を傾け、目を明けると、朝日に照らされて、より魅力の引き立てられた、赤い瞳が、キョロっと覗く。
「ふふっ♪」
と頬を綻ばせ笑う顔は、艶やかで、ドキッとした衝撃を、ユウの心臓に与える。
「・・・その、これ、どーゆーじょーきょー?」
「んっ!んん~!」
反対側からも、聞き覚えのある声が咳払いをする。
「・・・てへッ♪」
「あ~、コホン。ララ様、そろそろお戯れはお辞め下さい。でないともれなく、俺の首が飛んじゃうんで。ほんと、勘弁してください。」
(あー、成る程。察し!)
「えー!仕方ないなぁ~!仕方ないねぇ~!仕方ないよぉ~!」
渋々とした態度で、ララは、ユウのベットから起き上がる。
ララが、ベットから完全に降りてから、ユウは、石の様に固めていた体を動かし始める。
「で、シュノンさん、これは一体?」
「いやぁ~、ユウさんを起こしに来たんすけどね?いつの間にか、ララ様が付いてきてて、起こすなら悪戯しちゃおうって、聞かなくってっすね~!」
「いや、そこは止めようぜ?王族だろ??」
ユウがそう言うと、ララとシュノンは、微妙な表情で、顔を見合わせる。
「・・・まぁ、特に秘密って訳でも無いんで、ぶっちゃけちゃうと、ララ様は、正統な王家の人間では無いんですよね~!ハハハッ!」
「・・・へっ?」
(・・・うん、ってか、朝イチ、寝起きで、そんな大切そうな話する??しちゃう??ワッツ??)
「・・・とりあえず、支度するから、出てってくんない?」
何はともあれ、一旦1人になりたいユウであった。
(だから俺は、出来るだけ)
みんなが仲良く
(笑い合える様に)
クラスの中心で
(自分以外の人の為に)
頑張っていた。
だけど、俺のやり方は良くなかった。
自分が貧乏くじを引けば良い。
それが当時の俺のやり方だった。
そうしている頃は、周囲の人間からは、良い奴だと言われていた。
恐らく、彼らの、みんなの言う良い奴とは、都合の良い奴なのだと、分かっていながら。
「福場くんは、前向きで、リーダーシップがあって、とても良い生徒です。」
担任の教師から、両親に伝えられる評価は、決まってそんな物であった。
俺は、笑顔で「そうですか!」という両親と担任の教師へ、お前らは、何を見てるんだ?と言いたくなるのを、ずっと堪えていた。
他人の顔色を伺い、みんなが仲良く出来るように間を取り持ち、どうすれば、みんなが笑い合えるか考え続け、ふと思う。
みんなの中に、俺は含まれて居るのだろうか?と。
答えは、ノーだ。
だって俺は、福場 優は、貧乏くじを引いている。
みんなの為に、俺は、自分を犠牲にしていた。
俺の感情は、叫びは、葛藤は、意思は、何一つ含まれていない。
それは、反抗期と呼ばれる時期に、丁度重なって爆発した。
「最近どうしたんだよ?」
「きっと疲れてんだよお前!」
「元の優しい優くんに、戻ってよ。」
「少し前までは、凄く良い子だったのに・・・。」
まるで、すがられている様だった。
みんなの理想の福場 優を押し付けられ、本当の俺が殺されていく、そんな気がした。
だから俺は、福場 優は、自分自身を守る為に、自分の殻に閉じ籠ることにした。
分かりやすく、壁を作り、自己主張という、自己防衛に打って出た。
しかし、孤立して尚、他人と言うものは、浅ましかった。
「へへっ!もっと言ってやれよ!」
「俺らの分も頼むぜ!」
「俺らはお前の味方だからさ!」
自らは決して行動を起こさない癖に、他人には行動をさせようとし、味方だといって、自分では言いにくい事を俺に言わせようとしたり、都合良く利用しようとする、卑しい連中。
そんな彼らに呆れて、他人に期待をしなくなった。
結局のところ、人は、押し付け合う事しか出来ないのだ。
福場 優は、そう悟った。
~~ 目覚める ~~
「んん~!」
兵舎で、異世界初めての朝を迎える。
夢見こそ悪かったが、それでも、ここが夢ではなく、現実であるという事に、言い表し様のない喜びが込み上げる。
「あ、ねぇねぇ!起きた?起きたの?起きたよねぇ??」
「んッ!?」
ベットから起き上がろうとしたら、隣から、聞き覚えのある声が、そっと聞こえてくる。
(・・・いやいや、王女様だぞ?そもそも、そんな色っぽいフラグ、立てた記憶なんて無い。きっと気のせいだ。あぁ、きっと、色んな事があって混乱してるんだ俺。うん。そうだ。きっとそうに違いない。)
そして、何事もなかったかの様に、ユウは、瞳を閉じた。
「ふふーん♪えい!えいえいっ!」
右の頬っぺたを、ちょんちょんと、つつかれた。
頭を傾け、目を明けると、朝日に照らされて、より魅力の引き立てられた、赤い瞳が、キョロっと覗く。
「ふふっ♪」
と頬を綻ばせ笑う顔は、艶やかで、ドキッとした衝撃を、ユウの心臓に与える。
「・・・その、これ、どーゆーじょーきょー?」
「んっ!んん~!」
反対側からも、聞き覚えのある声が咳払いをする。
「・・・てへッ♪」
「あ~、コホン。ララ様、そろそろお戯れはお辞め下さい。でないともれなく、俺の首が飛んじゃうんで。ほんと、勘弁してください。」
(あー、成る程。察し!)
「えー!仕方ないなぁ~!仕方ないねぇ~!仕方ないよぉ~!」
渋々とした態度で、ララは、ユウのベットから起き上がる。
ララが、ベットから完全に降りてから、ユウは、石の様に固めていた体を動かし始める。
「で、シュノンさん、これは一体?」
「いやぁ~、ユウさんを起こしに来たんすけどね?いつの間にか、ララ様が付いてきてて、起こすなら悪戯しちゃおうって、聞かなくってっすね~!」
「いや、そこは止めようぜ?王族だろ??」
ユウがそう言うと、ララとシュノンは、微妙な表情で、顔を見合わせる。
「・・・まぁ、特に秘密って訳でも無いんで、ぶっちゃけちゃうと、ララ様は、正統な王家の人間では無いんですよね~!ハハハッ!」
「・・・へっ?」
(・・・うん、ってか、朝イチ、寝起きで、そんな大切そうな話する??しちゃう??ワッツ??)
「・・・とりあえず、支度するから、出てってくんない?」
何はともあれ、一旦1人になりたいユウであった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
20
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる