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第5話 ひとつになって
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気が付いたら、レミはベッドに横たわっていた。
「あれ? 私……」
『目が覚めた?』
「私、どうやって……」
『「私? 誰?」とか叫んで気を失っちゃったから、仕方ないんで、体借りて、歩いて帰ってきたよ』
「借りて?! 体?!」
『離れで巫女に会って、体預けたから。始末は巫女がしてくれたからね。男はダメなんでしょ?』
一応気を使ってくれたらしい。姿を持たない妖霊にしては、善処したと言える。
「あ……ありがと」
複雑な思いはあるが、とりあえず礼はしておく。
感謝の気持ちはきちんと伝える、それが人と人との(妖霊が人かは置いておいて)関係構築をスムーズにする。
『あのさ……、つかぬこと聞くけど』
「はい?」
『レミ、だよね?』
「…………」
『レーミ=ナロン?』
「フルネームで呼ばれると、ちょっと点滴思い出してイヤなんだけど……、でもそれが、私の名前なんだよね?」
病棟でよく指示されていた点滴薬の名前に酷似していて、ちょっと複雑な気持ちになる。
『テンテキ?』
「いえ、何でもない。レミか、と言われたら、そうなんでしょうね」
『あのさ、一応レミと僕は憑依の関係で……言葉にしなくても、ある程度思考は伝わるんだよね。だけど、さっきから、何だか分からない単語や概念が、伝わってくるんだけど』
その言葉と同時に、妖霊の戸惑いの感情が、レミにも伝わる。
「あ、うん。待って。私も、まだ混乱してる」
口にしなくても伝わると言われたが、言葉にしないと、自分でも整理できない。
「私は、レミで。でも、今の私には、もう一つの人格があって……って、私、あれで死んだの?!」
浴槽に浸かって、気持ちよくて、プクプクいって……そこで途切れている記憶。
「ヤバイじゃん。絶対溺死だよ」
自宅のお風呂で溺れて裸で遺体発見されるとか、医療者として恥ずかしすぎる!
実際、入浴中に意識を失い、溺れてしまう事故は少なくない。
疲労と睡眠不足もあって、入浴による温熱効果で興奮状態から一気に解放されて、低血圧を起こしたことで、眠気を催し、失神したまま、浸水したと考えられる……って、今さらアセスメントしても仕方ないじゃん!
自分の死因をアセスメントって、不毛すぎる!
『レミ?』
「あー、あの、ですね、ちょっと、今、記憶の混乱が起きていてですね……、ぶっちゃけ、レミとしてより、昔の記憶が勝っちゃっているんですよ」
『ああ、この「シロイシ・リズ」って人格?』
「あ、そこまで伝わるんだ?」
『まあ、幼い子供だと、過去世の記憶を持ったまま産まれてきて、成長と共に記憶を塗り替えて忘れていくことが多いけど……』
そう言えば、この世界は魂を「精霊」って呼んでいて、死後も転生するのが基本理念になっていたなあ。
ストン、と記憶のピースがはまる。
どうやらレミとしての記憶がないわけではないらしい。きっかけがあれば、すぐ記憶がつながるようだ。
『でも、過去世にしても、いつのなんだろう? 俺は結構長生きのつもりだけど、「シロイシ・リズ」の記憶とか人格からは、思い当たる時代がない』
「まあ、時代っていうか、たぶん世界が違うんじゃないかと」
話しているうちに、次々とレミとしての記憶が呼び起こされる。
「大陸の名前からして違うから……私の前の世界では、えーと、いくつも大陸のがあって。科学とか医学も発展していて……あ、でもコカルってかなり田舎だよね? 都市部にいけば、もっと発展しているのかな?」
『うーん、レミ……じゃなくてリズ? の言う発展のイメージが正直よく分からない。レミの記憶と比較しながら思い浮かべてもらえば分かるかも知れないけど』
具体的に、と言われて、レミは室内を見回し、棚の上にある燭台に注目する。
マッチは、ある。
えっと、燭台に蝋燭……あっちだったら、スタンド照明?
『うわっ、なにそれ? 勝手に灯りが点いた!』
「こういう、火を使わなくても使える照明器具が普通にあるんだよね。あと、こういうのとか」
『これは……ランタン? 小さいけど明るいなあ』
「懐中電灯。部分的に照らすやつ。見たことないか……ナイチンゲールが夜の見廻りにランプ持って歩いてた時代と同じくらいだとして、150年から200年くらいの文明の差があるのかな」
っていうか、生まれ変わって、しかも異世界転生なのに。
元旦那に「寄生させる気はない!」って啖呵をきったのに。
またもや寄生(『寄生じゃなくて憑依だって!』と声が響く)される、しかも物心付く前に強制的に!
前世よりもより強固に! ひっぺがし不可能なヤツ。
ちょっと運命というか、宿命を呪いたくなったシロイシ・リズ、もとい、レーミ=ナロンであった。
「あれ? 私……」
『目が覚めた?』
「私、どうやって……」
『「私? 誰?」とか叫んで気を失っちゃったから、仕方ないんで、体借りて、歩いて帰ってきたよ』
「借りて?! 体?!」
『離れで巫女に会って、体預けたから。始末は巫女がしてくれたからね。男はダメなんでしょ?』
一応気を使ってくれたらしい。姿を持たない妖霊にしては、善処したと言える。
「あ……ありがと」
複雑な思いはあるが、とりあえず礼はしておく。
感謝の気持ちはきちんと伝える、それが人と人との(妖霊が人かは置いておいて)関係構築をスムーズにする。
『あのさ……、つかぬこと聞くけど』
「はい?」
『レミ、だよね?』
「…………」
『レーミ=ナロン?』
「フルネームで呼ばれると、ちょっと点滴思い出してイヤなんだけど……、でもそれが、私の名前なんだよね?」
病棟でよく指示されていた点滴薬の名前に酷似していて、ちょっと複雑な気持ちになる。
『テンテキ?』
「いえ、何でもない。レミか、と言われたら、そうなんでしょうね」
『あのさ、一応レミと僕は憑依の関係で……言葉にしなくても、ある程度思考は伝わるんだよね。だけど、さっきから、何だか分からない単語や概念が、伝わってくるんだけど』
その言葉と同時に、妖霊の戸惑いの感情が、レミにも伝わる。
「あ、うん。待って。私も、まだ混乱してる」
口にしなくても伝わると言われたが、言葉にしないと、自分でも整理できない。
「私は、レミで。でも、今の私には、もう一つの人格があって……って、私、あれで死んだの?!」
浴槽に浸かって、気持ちよくて、プクプクいって……そこで途切れている記憶。
「ヤバイじゃん。絶対溺死だよ」
自宅のお風呂で溺れて裸で遺体発見されるとか、医療者として恥ずかしすぎる!
実際、入浴中に意識を失い、溺れてしまう事故は少なくない。
疲労と睡眠不足もあって、入浴による温熱効果で興奮状態から一気に解放されて、低血圧を起こしたことで、眠気を催し、失神したまま、浸水したと考えられる……って、今さらアセスメントしても仕方ないじゃん!
自分の死因をアセスメントって、不毛すぎる!
『レミ?』
「あー、あの、ですね、ちょっと、今、記憶の混乱が起きていてですね……、ぶっちゃけ、レミとしてより、昔の記憶が勝っちゃっているんですよ」
『ああ、この「シロイシ・リズ」って人格?』
「あ、そこまで伝わるんだ?」
『まあ、幼い子供だと、過去世の記憶を持ったまま産まれてきて、成長と共に記憶を塗り替えて忘れていくことが多いけど……』
そう言えば、この世界は魂を「精霊」って呼んでいて、死後も転生するのが基本理念になっていたなあ。
ストン、と記憶のピースがはまる。
どうやらレミとしての記憶がないわけではないらしい。きっかけがあれば、すぐ記憶がつながるようだ。
『でも、過去世にしても、いつのなんだろう? 俺は結構長生きのつもりだけど、「シロイシ・リズ」の記憶とか人格からは、思い当たる時代がない』
「まあ、時代っていうか、たぶん世界が違うんじゃないかと」
話しているうちに、次々とレミとしての記憶が呼び起こされる。
「大陸の名前からして違うから……私の前の世界では、えーと、いくつも大陸のがあって。科学とか医学も発展していて……あ、でもコカルってかなり田舎だよね? 都市部にいけば、もっと発展しているのかな?」
『うーん、レミ……じゃなくてリズ? の言う発展のイメージが正直よく分からない。レミの記憶と比較しながら思い浮かべてもらえば分かるかも知れないけど』
具体的に、と言われて、レミは室内を見回し、棚の上にある燭台に注目する。
マッチは、ある。
えっと、燭台に蝋燭……あっちだったら、スタンド照明?
『うわっ、なにそれ? 勝手に灯りが点いた!』
「こういう、火を使わなくても使える照明器具が普通にあるんだよね。あと、こういうのとか」
『これは……ランタン? 小さいけど明るいなあ』
「懐中電灯。部分的に照らすやつ。見たことないか……ナイチンゲールが夜の見廻りにランプ持って歩いてた時代と同じくらいだとして、150年から200年くらいの文明の差があるのかな」
っていうか、生まれ変わって、しかも異世界転生なのに。
元旦那に「寄生させる気はない!」って啖呵をきったのに。
またもや寄生(『寄生じゃなくて憑依だって!』と声が響く)される、しかも物心付く前に強制的に!
前世よりもより強固に! ひっぺがし不可能なヤツ。
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