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第6話 せっかく転生したならば
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まあ、気を取り直して。
寄生(『だから憑依だって!』と脳内に反論の声が響くのはちょっとウザいが)されたとはいえ、元旦那よりは手もかからないし、まあ、それに。
声も、悪くない……むしろ、イイ。
声だけだと最初は思っていたけれど、話しているうちに脳内でモヤモヤと緑がかった影が浮かび上がってきて。
やがて、次第に明瞭になってきて……うん、イケボに劣らず、なかなか……いや、かなりの美形だ。
年齢は、20歳前後のようにも30歳代のようにも見える。まあ、妖霊はそもそも年齢なんてないようなものだけど、まあ、見た目ってことで。
そっか、若い見た目に対して、妙な落ち着きというか、老成した視線が年齢不詳なイメージを与えてるんだな。
全体的に線が細く、けれど弱々しい印象を与えないのは、抱えるオーラというか、強い波動がビンビン伝わってくるからかもしれない。
波打つ長い髪の毛も、眉も瞳も睫毛も、エメラルドのように煌めく深い緑色で、肌はうっすら緑がかった白。
緑がかった白磁のような、という表現はイマイチ合わない。
喩えは悪いけど、抹茶ミルクとほうじ茶オレをブレンドしてミルクでさらに割ったみたいな、複雑で柔らかい色合い。
くっきり睫毛に縁取られた宝石みたいな瞳、に負けない綺羅綺羅しい整った鼻筋。
同じく形よい唇は、柔らかく両端が上がり、チロリとのぞく歯と舌が、妙に妖艶で。
……よくよく見たら、ちょっとどころでない美形だった。じっと観てたら、恥ずかしくて目を合わせられなくなりそうなくらい。
いや見えてるわけではないんだけど。直接頭の中にイメージ叩き込まれている感じなので、目の逸らしようがない。
あ、一応全裸ではない……というより、胸部あたりから下側はモヤモヤ影が薄くて周囲に溶け込んでいる。だから、本当は、裸なのかも。
見えなくて安心(でも性別はないって言っていたから、まあ見えてもセーフなのかな)。
ま、ともかく、目に楽しい麗しさではある。
この人生、悪くないんじゃない?
気分を切り替えたためか、レミ(オリジナル)とレミ(シロイシ・リズ)は、急速に統合され始めた。
その後、目につくものを現代文明のものに置き換えてイメージを伝えていき、3日程でレミは今の世界の文明レベルをおおよそ把握できた。
とはいえ、そもそもレミ自体がやっと10歳の、しかも僻地に暮らす幼い子供でしかない。
おまけに回りにいる大人は、レミより年長と言うだけで、島から出たことのない浦島太郎状態である。かろうじてかつて世界を回ったはずの引退した元退魔師のご老体も、記憶が十数年前、ひどい時は何十年前だったりして、かなりあやふやだった。
まあ、そこはそこ。昔とった杵柄(実感年数は数日だけど)で、忘れていた歴史の教科書の記憶なども総動員し、一応、産業革命後程度の発展はしていることが分かった。
一部鉄を用いた蒸気船も大陸中央では運用されているらしい。まだ電気は普及していない様子だが。
医学分野の方がむしろ発展していて、薬草学や外科学を中心に祈祷に頼らない科学的な論理で整理されていた。巫女たちが行っていた浄めも、よくよく聴けば環境調整の理論のもと、患者の療養環境に則していた。医師の絶対数が少ないため、僻地に行けば行くほど、この看護的視点の早期対応が重要になっている。
…………つまり、生前の知識を活用して『異世界に転生して看護の知識でナイチンゲールになりました』的な活躍は期待できない、らしい。
「真面目に勉強して、退魔師目指すしかないってことね……」
まあ、異世界に、せっかく若くてピチピチの(死語)、それなりに見た目もよい女の子に生まれ変わったんだから、魔法使いめいた職業に就いて、華々しく活躍するのもアリかもしれない。
『当たり前だろう? そもそも退魔師になれる人材が、今現在、レミしかいないんだから』
「ちょっと待って? 私しか? 同年代でってことじゃなくて?」
『退魔師の条件、思い出してみて』
「……えっと、妖霊憑きで、その妖霊と十分な交流ができて、木火風水土の五元素のどれかを使った魔術錬成ができる、こと?」
『妖霊と交流は、妖霊憑きは年頃になればまずできる。一番大事なのは、魔術錬成……の前段階の、霊力発現。今、この島にいる妖霊憑きで、発現の兆しが見られるのは、レミだけ」
「マジ?」
『マジです』
適応力や学習能力が高いのか、ローはレミがちょいちょいつぶやく『現代語』を習得しつつ会話に混ぜてくる。
「いや、でも兆しって、そもそも何?」
『色々あるけど……レミの場合は、まず獣が寄ってこない』
「え? あれってそういうことなの? 妖霊憑きだからじゃなくて?」
『だったら、この島にいる全員、誰にも獣が寄ってこないじゃないか。生命の危険があれば防御はするけど、妖霊の力をダダ流しして、常時威圧しまくり! なのはレミくらいだよ。ご老体たちは、逆に力を制限して、そんなに常日頃から周りを威圧してないし』
「でも、それって、妖霊の力を使っているんでしょ? 魔術錬成とは違うんじゃ……」
『その魔術錬成に妖霊の力を使うんだよ』
「そうだったんだ……」
『交流もできたし、次の定期船で退魔師の何人かは帰ってくるだろうから、正式に退魔師教育も始まると思うよ。その定期船で、他の退魔師候補が来る可能性もないとは言えないけど』
「何? その悲観的な言葉は?」
『予感がしないんだよね。強い妖霊の力を感じると、離れていてもピンとくるんだけど。レミが生まれてから、感じたことない』
…………予感がしない、というロ-の予感は、次の定期船入港で、見事に当たってしまい。
レミの退魔師教育が始まった。
寄生(『だから憑依だって!』と脳内に反論の声が響くのはちょっとウザいが)されたとはいえ、元旦那よりは手もかからないし、まあ、それに。
声も、悪くない……むしろ、イイ。
声だけだと最初は思っていたけれど、話しているうちに脳内でモヤモヤと緑がかった影が浮かび上がってきて。
やがて、次第に明瞭になってきて……うん、イケボに劣らず、なかなか……いや、かなりの美形だ。
年齢は、20歳前後のようにも30歳代のようにも見える。まあ、妖霊はそもそも年齢なんてないようなものだけど、まあ、見た目ってことで。
そっか、若い見た目に対して、妙な落ち着きというか、老成した視線が年齢不詳なイメージを与えてるんだな。
全体的に線が細く、けれど弱々しい印象を与えないのは、抱えるオーラというか、強い波動がビンビン伝わってくるからかもしれない。
波打つ長い髪の毛も、眉も瞳も睫毛も、エメラルドのように煌めく深い緑色で、肌はうっすら緑がかった白。
緑がかった白磁のような、という表現はイマイチ合わない。
喩えは悪いけど、抹茶ミルクとほうじ茶オレをブレンドしてミルクでさらに割ったみたいな、複雑で柔らかい色合い。
くっきり睫毛に縁取られた宝石みたいな瞳、に負けない綺羅綺羅しい整った鼻筋。
同じく形よい唇は、柔らかく両端が上がり、チロリとのぞく歯と舌が、妙に妖艶で。
……よくよく見たら、ちょっとどころでない美形だった。じっと観てたら、恥ずかしくて目を合わせられなくなりそうなくらい。
いや見えてるわけではないんだけど。直接頭の中にイメージ叩き込まれている感じなので、目の逸らしようがない。
あ、一応全裸ではない……というより、胸部あたりから下側はモヤモヤ影が薄くて周囲に溶け込んでいる。だから、本当は、裸なのかも。
見えなくて安心(でも性別はないって言っていたから、まあ見えてもセーフなのかな)。
ま、ともかく、目に楽しい麗しさではある。
この人生、悪くないんじゃない?
気分を切り替えたためか、レミ(オリジナル)とレミ(シロイシ・リズ)は、急速に統合され始めた。
その後、目につくものを現代文明のものに置き換えてイメージを伝えていき、3日程でレミは今の世界の文明レベルをおおよそ把握できた。
とはいえ、そもそもレミ自体がやっと10歳の、しかも僻地に暮らす幼い子供でしかない。
おまけに回りにいる大人は、レミより年長と言うだけで、島から出たことのない浦島太郎状態である。かろうじてかつて世界を回ったはずの引退した元退魔師のご老体も、記憶が十数年前、ひどい時は何十年前だったりして、かなりあやふやだった。
まあ、そこはそこ。昔とった杵柄(実感年数は数日だけど)で、忘れていた歴史の教科書の記憶なども総動員し、一応、産業革命後程度の発展はしていることが分かった。
一部鉄を用いた蒸気船も大陸中央では運用されているらしい。まだ電気は普及していない様子だが。
医学分野の方がむしろ発展していて、薬草学や外科学を中心に祈祷に頼らない科学的な論理で整理されていた。巫女たちが行っていた浄めも、よくよく聴けば環境調整の理論のもと、患者の療養環境に則していた。医師の絶対数が少ないため、僻地に行けば行くほど、この看護的視点の早期対応が重要になっている。
…………つまり、生前の知識を活用して『異世界に転生して看護の知識でナイチンゲールになりました』的な活躍は期待できない、らしい。
「真面目に勉強して、退魔師目指すしかないってことね……」
まあ、異世界に、せっかく若くてピチピチの(死語)、それなりに見た目もよい女の子に生まれ変わったんだから、魔法使いめいた職業に就いて、華々しく活躍するのもアリかもしれない。
『当たり前だろう? そもそも退魔師になれる人材が、今現在、レミしかいないんだから』
「ちょっと待って? 私しか? 同年代でってことじゃなくて?」
『退魔師の条件、思い出してみて』
「……えっと、妖霊憑きで、その妖霊と十分な交流ができて、木火風水土の五元素のどれかを使った魔術錬成ができる、こと?」
『妖霊と交流は、妖霊憑きは年頃になればまずできる。一番大事なのは、魔術錬成……の前段階の、霊力発現。今、この島にいる妖霊憑きで、発現の兆しが見られるのは、レミだけ」
「マジ?」
『マジです』
適応力や学習能力が高いのか、ローはレミがちょいちょいつぶやく『現代語』を習得しつつ会話に混ぜてくる。
「いや、でも兆しって、そもそも何?」
『色々あるけど……レミの場合は、まず獣が寄ってこない』
「え? あれってそういうことなの? 妖霊憑きだからじゃなくて?」
『だったら、この島にいる全員、誰にも獣が寄ってこないじゃないか。生命の危険があれば防御はするけど、妖霊の力をダダ流しして、常時威圧しまくり! なのはレミくらいだよ。ご老体たちは、逆に力を制限して、そんなに常日頃から周りを威圧してないし』
「でも、それって、妖霊の力を使っているんでしょ? 魔術錬成とは違うんじゃ……」
『その魔術錬成に妖霊の力を使うんだよ』
「そうだったんだ……」
『交流もできたし、次の定期船で退魔師の何人かは帰ってくるだろうから、正式に退魔師教育も始まると思うよ。その定期船で、他の退魔師候補が来る可能性もないとは言えないけど』
「何? その悲観的な言葉は?」
『予感がしないんだよね。強い妖霊の力を感じると、離れていてもピンとくるんだけど。レミが生まれてから、感じたことない』
…………予感がしない、というロ-の予感は、次の定期船入港で、見事に当たってしまい。
レミの退魔師教育が始まった。
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