鬼の子は鬼

るい

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話し合い②

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「みなのもの、決して手を出してはならんぞ。我々は決して、悪役になってはいけない。冷静になるよう勤めるのじゃ」

鬼たちは、人間の住む一帯の近くまで来ていた。武器を捨て、生身でやってきた。

「本当に大丈夫なのだろうか」

みんな不安でいっぱいのようだった。それもそうだ。武器も何も持っていないから、失敗すればみんな死ぬ。

「長老様、本当におひとりで大丈夫なのですか」

「心配は要らん。みな、そこで待っているように」

そういうと長老は前に進み出た。鬼之進たちは長老を見守り、後ろで待機していた。


「誰か、誰かおらぬか」


長老の叫び声が鬼之進たちの方まで届いた。
しばらく待つと、若い男が銃を向け、小さな家から出てきた。


「すまぬ、急で申し訳ないがこの島の一番偉いものに会わせておくれ。案内してくれないかの?」

男は、長老の足元にに向かって1発、威嚇射撃した。
鬼之進たちは慌てて前に出ようとしたが、長老はビクともせず、手を上にあげ鬼之進たちの動きをとめた。

「鬼が何の用だ。この島から出ていけ!」

男は長老を睨み、再び銃を構えた。

「すまぬ、若者よ。わたしは襲いに来たのではない。戦いを終わらせに来たのだ。我々は決して手を出さない。この村の村長に合わせてくれぬか?」

「お前のような鬼を、誰が信用するものか。騙されないぞ、早く立ち去れ」

男と長老が言い合う声を聞き、近くの家から次々に人がでてきた。


「まずい…このままでは長老様が…」


鬼之進は長老を見たが、長老はじっと動かず堂々と立っていた。
鬼之進たちは長老を信じ、じっと待つことにした。


「私を信じてくれとは言わぬ。だが約束しよう。わたしは決して手を出さない。誰も傷つけはしない。言葉では足りぬというのなら、この両腕をお主に差し出そう」


長老は両腕を前に出し、手のひらを上に向けた。


「そのような腕の一本や二本、取るに足らんわ。人質を寄越せ。そうしたら案内してやる」

「…わかった。わたしを人質としてとるがいい。だが約束してくれ、あのもの達には手を出さぬと」

「お前はなぜ俺たちを信用できる?なぜ手を出さずに交渉をする?今のお前たちなど俺たちにかかればあっという間に滅ぼしてやるというのに」

「さっきも言ったはずじゃ。我々は争いをしにここへ来たのではない。ただ争いを終わらせるために話し合いがしたいだけなのじゃ」

「…後ろにいるあいつらも、同じ意見なのか?だから俺たちに手を出さないというのか?」

「そうじゃ。どうか我々を村長の元へと案内してくれ」


男は黙ってしばらく考え、その後そっと銃をおろした。


「あんた!いいのかい!?こんな奴らを信じるって言うのかい!?」

「…きっと大丈夫だ。すまないな、みんな。俺を信じてくれ」

「正気かい!?あんたねぇ…」

怒っているおばさんを、若い娘が止めた。
この娘は男の幼なじみのようだ。

「あんたが言うなら従うよ。どうせあたし達には何も出来やしないしね。責任はあたしも負うよ」

「あんたたち…」

「まあいいじゃないの!ここは若い子を信じようじゃないの!!」

周りの人達も団結し、長老を信じることにしたようだ。


「人間たちよ、恩に着る。ありがとう」

長老は頭を下げた。


「あんた!変な真似したら許さないよ!」

「ちょっとやめなさいよ…」

「村長様の所へは俺一人で連れていく。みんなはここで待ってて居てくれ」

「まって、私も行く」

「だめだ。ここでみんなと待っていてくれ」

「いやよ。心配だもの」

「…はぁ。仕方ないな。じゃあ一緒に頼む」


長老と鬼たちは若い男と若い娘に連れられ、木々が生い茂る山道を淡々と歩いて行った。


「これで…何とかなるのか…?」


鬼之進含め鬼は不安でいっぱいだったが、長老は終始真剣な顔で黙って歩き続けた。





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