ビスケットプードル

るい

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ビスケットでできた、トイプードル。

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ある広い森に、不思議な子犬がいました。
なにが不思議なのかというと、
顔も、耳も、うでや足、しっぽまで、体中がビスケットでできています。

この子はビスケットでできたトイプードル、ビスケットプードルです。
森の仲間たちからは、「ビスプー」と呼ばれています。

ビスプーは、好奇心旺盛で、元気な男の子。大好きなものは、サクサクビスケットと森のお友達。
毎日みんなと遊んで暮らしていました。

ある晴れた日、ビスプーが陽気に歩いていると、前から誰かの泣く声が聞こえました。

「えーんえーん」

「小さなあおむしくん、こんにちは。こんなところで泣いて、どうしたの?」

泣き声の正体は、森の仲間の一人、小さなあおむしくんでした。

「えーん!聞いてよビスプー。
今朝大きなりんごを見つけたから、お昼に食べようと思って、頑張って家まで運んでる途中だったんだ。
そしたらね、となりの森のいじわるオオカミがやってきて、僕のりんごを横取りしたんだ!
「お前にこのリンゴは大きすぎるから、おれさまがもらってやる!」って!
やっとここまで運んできたのに!もうお腹が空いて一歩も動けないよ!」

小さなあおむしくんは、小さな体でめいっぱい訴えました。

「それはかわいそうに。運が悪かったよ。
小さなあおむしくんじゃあ、あのいじわるオオカミには勝てないだろうしね。」

小さなあおむしくんは、怒っていたせいで余計にお腹が空いてしまい、もっと大きな声で泣きました。

「そうだ、あおむしくん。僕の顔を食べてみるかい?きっと元気になるよ」

ビスプーはビスケットでできている犬。もちろん、食べられます。

「え!いいのかい!それは助かるよ!」

「もちろんだよ。美味しいビスケットを食べたらきっと元気がでるよ」

「ありがとう!じゃあ遠慮なく、、、」

小さなあおむしくんはそういうと、ビスプーの体をくねくねしながら登り、ビスケットでできた耳を
サクッとかじりました。

「う~ん、甘くて美味しい!とっても元気が出たよ!」

小さなあおむしくんは、ぴょんぴょんはねました。
ビスプーの耳には、小さな歯形ができました。



ビスプーが散歩を続けていると、また誰かの泣き声が聞こえてきました。

「うわーんうわーん、わおーん」

今度の泣き声は、しば犬のシーバくんでした。

「シーバくん、どうしたの?」

「ビスプー!聞いてくれよ!
おいらが一生懸命集めたほねのコレクションたちが、無くなってるんだ!
毎日形のいいほねを探して、森中から集めた大切なコレクションなのに!
今日のおやつが無くなっちゃったよう!」

シーバくんは、わんわんわめきながら泣きました。

「それはかわいそうに。ほねほねコレクション、大事そうにしていたもんね。」

「ああ、僕の大事なほねたち。一体どこへ行っちゃったんだ。」

シーバくんは大事なほねのことが忘れられず、泣きやみそうにありません。

「シーバくん、新しいほねほねコレクションはまた探そう。
今日のところは、僕のビスケットをあげるから元気出して。」

「えっ!ビスプーの美味しいビスケットをくれるのかい!?」

シーバくんはたちまち笑顔に戻り、ビスプーにかじりつきました。

「う~ん!とっても美味しいよ!ありがとうビスプー!」

「どういたしまして。元気になって良かったよ」

シーバくんは元気を取り戻し、早速新しいほねほねコレクションを探しに駆けて行きました。
ビスプーの顔には、中くらいの歯形ができました。



ビスプーの顔は半分程になってしまいました。

「おうちに帰って、新しいビスケットを作らなくちゃ。」

ビスプーは、お散歩を中止して、来た道を引き返しました。


帰り道の途中、大きな大きな泣き声が聞こえました。

「うおん、うおん、ぱおーん!」

「なんだなんだ!?」

地面を揺らすほど大きな声で泣いているのは、森のぞうさんでした。

「ぞうさーん!そんなに泣いてどうしたのー?」

ぞうさんの泣き声に負けないように大きな声で叫びましたが、ぞうさんには聞こえていませんでした。

「お腹が空いて、仕方がないんだよー!」

ぞうさんはお腹が空いて泣いているのでした。

「ん?ラッキー!こんなところにビスケットが!」

ぞうさんは足元のビスプーを見つけると、ビスケットが落ちていると勘違いしてしまいました。

「違うよぞうさん!ビスケットじゃなくて僕だよ!」

「いっただっきまーす!!」

ぞうさんは迷うことなく、一口でパクリ。
サクサク、もぐもぐ、ビスプーを食べてしまいました。

「ふ~。美味しかった。、、、ん?なんだこれ?」

ぞうさんは口の中をモゴモゴ、ビスケットの中に入っていた、何か固いものを吐き出してみました。

「こここ、これはビスプーの靴!?」

ぞうさんの口から出てきたのは、ビスプーの靴でした。

「あれはビスケットじゃなくて、ビスプーだったんだ!
僕、ビスプーを全部食べちゃった!」

ぞうさんは、またわんわん泣き始めました。
するとそこに、お菓子作りが大好きな子リスがやってきました。

「大丈夫よぞうさん。ビスプーはもう一度ビスケットを作れば元通りになるわよ。」

子リスはそういうと、ビスプーの靴を持って、木のお家に持って行きました。
木のお家に着くと、子リスは材料を用意し、さっそくビスプーの形をしたビスケットを作り始めました。

「大丈夫かなぁ。本当に元通りになるかなぁ。」

ぞうさんは心配でたまりません。

しばらくすると、木のお家の扉が開きました。

「ビスプー!!」

ビスケットの甘い香りと共に、ビスプーが出てきました。
ビスプーの体はすっかり元通り。みんなに食べられた跡も残っていません。


「ぞうさん、いきなり食べるからびっくりしたよ。」

「ごめんよビスプー。お腹が空いてたから、ビスケットと勘違いしちゃって。」

ぞうさんが謝ると、大きなお腹がグ~っと鳴りました。

「安心したら、またお腹が空いちゃった。」

「ぞうさんったら、本当に食いしん坊なんだから!」

ビスプーとぞうさんが笑い合っていると、ビスプーのお腹もグ~と鳴りました。

「二人とも、美味しいビスケットがたくさん焼けたから、みんなで食べましょう。」

子リスがそういうと、ぞうさんが机とテーブルを用意し、ビスプーが飾り付けをして、
子リスがビスケットとお茶を用意しました。

ビスケットの甘い香りが森の動物たちを誘い、
みんなで集まってきました。

ビスプーからも、出来立てビスケットのいい香りがしましたが、
今度は誰も間違えませんでした。


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