アニヲタ異世界Firstlife

津野田ノL

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【第一章・アニヲタ、異世界ライフ開幕】

【第2話(続き)】《ハロー異世界!》

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いや、終わらせるか!流石にふざけ過ぎにも程がある。
 でもやっぱり異世界召喚なんてそれこそ夢のまた夢。想像の世界でしかないんだ。真面目に働くとしよう。それにしても壮大な夢見せてくれやがってこの野郎。
 俺は落胆やら苛立ちやら数多の負の感情を抱きながら休憩室を出た。しかし一歩休憩室を出た瞬間にそれらの感情は全て抹消された。
 俺は驚いた。オフィスに人が誰もいない上に空気中に邪悪な魔素みたいなものが舞っていやがる。とにかく普通じゃない。
 ここにいてはやばいと思った。俺は建物から出ようと思ったが、入口の扉が閉まっていて開きそうにない。

ーこの建物から出たところで、魔力に包まれたこの世界から抜け出すことはできないー
 
 さっきの爺さんの声?間違い無い。夢の中でした爺さんの声だ。
「おい爺さん!俺は何すればいい!?あんたどこにいる!?」

ーこの部屋に、1つだけこの世界を抜け出すことができる空間がある。探してみろよー

「おい爺さん、あれか?」
 俺の指差した先に、意味深に開きっ放しで光を放つ引き出しがあった。あそこは俺の机だ。

ーえ…。よく分かったねあんた。やっぱりお前さんは大魔…っと言うとこじゃった。とにかくさっさとそこからこっちへ来いー

 おいおい、完全に国民的アニメみたいなシチュエーションじゃねェかよ。タイムマシーンかよ?別に過去とか未来とかに行きたい訳じゃないんだよね。

ーくずくずしてると殺しちゃうよー

「なんて物騒なこと言うんだよあんた!!」
 何か知らんけど殺されるのは嫌だから、俺は異空間に飛び込んだ。夢で見たような暗い世界が広がる。
 気が付けば、見覚えのある噴水広場にいた。それどころじゃなく、辺りの風景も異様に見たことがある。完全にデジャブだ。
 いや待てよ、喜ぶのはまだ早い。これは夢だ、夢かもしれない。夢の中で夢を見て、そしてこれもまた夢でまた同じことを繰り返して夢を見て…。
 あーいやだいやだ。こんがらがってきた。そうだ、一回自分を殴ってみてはどうだろうか。どうせ夢なのだから、さっさと覚ましてしまった方が落胆も軽いだろう。
「おいあんた、見ない成りだな」
 声の方に振り返ると、明らかに治安悪そうな3人組が俺を見下していた。盗賊だ。細いのと、普通の体型の奴と、もうひとりはデブだ。
多勢に無勢、どうせ今の俺なら全力で戦ってもボコボコにされるだろう。丁度いい。殴られたらどうなるのか検証にもなるな。
「おうおう、痛い目みたくなかったらさっさと金目の物おいて逃げな」
 俺は構えた。大体初手に出てくるこの手のチンピラはそう強くもない。そして俺は、いつか異世界召喚される日のためにトレーニングしてきたんだ。刃物相手でも負ける気はしないし、多分雑魚モンスターのの下級魔法くらいなら避けられる自身はある。
「兄ちゃんやる気か?死ぬぞ」
「悪いがお前らごときに殺されてたら、この先の異世界ライフやっていける自身ないのでね」
 ははーん。あいつらさてはまともに喧嘩したことないな。俺もだけど。
「て、てめェ訳分からんことほざきやがって、死んでもいいのか?おい」
「俺らに喧嘩売ってただで済んだやつ居ねぇぞゴルァ」
 やっぱりこいつら、ほんとは喧嘩強くないだろ。遊んでやると面白そうだけど、初期イベントに時間を掛けすぎるのもあまり頂けない。
「いいから、始めようぜ!」
 あれ、なんでだろ…。なんかよくわからないけど戦いたくて仕方ないんですけど…。
「や、やばいってェェェ…」
「あんた、死ぬの怖くないの?ほんとに君のこと殺しちゃうよおじさんたち!」
 声が震えていやがる。こいつら大したことないな。多分そこまで喧嘩強くないけど威勢だけでカツアゲしてる本物の小物だろう。
「死んでからのことは、死んでから考えるさ」
 すると盗賊達は慌てて逃げ出しやがった。まぁやる気が無いなら深追いする必要もないか…。
 と思ったのもつかの間、ふと盗賊の中のひとりのデブに目が行った。こいつ、どっかで…。
 そうだ!こいつは夢の中で俺のこと殴ってきた堅気だ!あいつだ!
「待てゴルァァァァ!てめェだけは潰す!」
 もちろんデブは滅茶苦茶驚いていた。
「なんで俺だけェェェ?」
「うるせェ!さっきの仕返しだよ!」
「俺なんにもしてないよ!」
 確かにそうなのだが、イライラしてたし俺はそのデブをボコボコに殴り返した。
「お前さ、よくも俺の仲間ボコボコにしてくれたな」
「仲間にそこまでされたら流石に俺らも黙ってられないな」
 振り返ると残りの二人がさっきまでの腑抜け面とは全く違うような、それこそ俺を本気でボコボコにするような眼をして見ていた。こんなカス共にも仲間を思いやるような心はあるものなんだな。やっぱり異世界物語はいいな!
「じゃあ、本気で掛かって来いよ。相手してやるよ」
「ちょっと強いからって調子付きやがって」
「こっちは二人だぞ」
 おうおう、だいたい返り討ちにされるような奴らが言いそうなセリフを吐きやがる。これは、決まったな。
「行くぞォ!」
 俺は全身に力を入れた。実はまだ若干イライラしてたからこいつらをぶっ飛ばしてやろうと思った。奴らは刀剣を俺に振りかざしてきたが俺はそれを避けて下からストレートをお見舞いしてやった。
「タイのアメ村で鍛えた俺の戦闘力舐めんなァ!」
 二人は負け惜しみを言う間もなく気絶した。
「大人しく出て来い!盗賊共!」
 待って、俺まさか盗賊に勘違いされてるの?
「早く出て来い!」
(続)
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