4 / 8
【第一章・アニヲタ、異世界ライフ開幕】
【第3話】《騎士vsカナメ》
しおりを挟む
あの成りを見ると、恐らく一般市民ではないだろう。黒い衣装に胸には勲章のようなバッジ。腰には立派な剣を刺している。王宮騎士とかそんな感じだろうか、どちらにせよ早いとこ顔を出して、冤罪を晴らさなければ。
「言っておくがおれは善良な人間だ」
そいつは俺を見るなりもっと顔を険しくした。
「貴様がリーダーのアバストか?」
「何言ってるの?アバストって誰?」
「とぼけるな!腰の剣が何よりの証拠だ!」
あ、この剣!そういえばさっきこいつらを倒したときにかっこいい剣が落ちてたから貰ったの忘れてた!多分こいつの持ち主、あの細でもデブでもないやつの名前がアバストだろう。
「あのなぁ騎士さん。俺が盗賊ってのは誤解だ、そのアバストってやつ、こいつか?」
この世界では騎士という存在が崇高されているのか、俺の騎士に対するあまりに適当な態度で周囲が若干ざわついたが、無視して俺はそいつを差し出した。
「随分と手負いだな」
騎士は少し驚いているな。
「この腰の剣はこいつにもらったのさ」
「いや、貰ったのではなく奪ったのだろ?」
得意気な俺に騎士は呆れ口調でそう言った。
「しかし、その者たちをそこまで倒すとは貴様、只者ではないな?」
俺は驚いた。こいつらハリボテのくせに結構この辺りで恐れられるチンピラだったらしい。
「こいつら、そうでもなかったよ。それに俺は売られた喧嘩買っただけだ。殺しちゃいないから安心しな。あ、デブはワンチャンしんだかも」
ここまで言えば大丈夫だろう。立派すぎる正当防衛だからな。罪に問われる心配はない。
「え…ちょっと騎士さん?あの…?」
騎士は完全に殺る気むき出しで剣を抜いた。
「お前、この辺の民ではなかろう。近頃王都では怪しいものは捕らえるよう命が出ているため
なんとなく怪しい貴様を捕縛する!」
なんとなくでしばこうとするなぁ!こんな奴には勝てる訳ねェ!トンズラだ!!
…ってあれ?なんで俺剣抜いてるの?え?やる気なの?え?
「おいおい、一般市民に手ぇ出すなんだ物騒な役人だぜ」
何言ってるの俺?なんで騎士様に喧嘩売っちゃってるの?は?わけわからない?自分の意志とは関係なしに喧嘩腰?やめてくれよ!!
何か騎士様魔法陣展開しだしたよ!嘘だろ魔法に勝てるわけないだろが、逃げよ!俺!逃げよ!
「あんた市民じゃねェだろがぁ!」
終わっタァー!やばいって!
「なんだその低レベルな魔法は!」
この野郎強がりもいい加減にしろ!俺に魔法なんて使えるわけ無いだろ!しかしなんでこうも体が言うこと聞かないんだよ?
「その程度の魔法陣なら、こうしてくれるわ」
俺は騎士の魔法陣を真っ二つに割った。…ってえぇ!?まじで!?自分でもびっくりなんだけど?てかさっきから俺強くね?なんか体が無意識に動くんだよな?なんで怖さとかないの?
「相殺しただと?貴様!」
やべぇ!斬り掛かってくる!ここは説得だ!
「待てよ、あんた役人なら、騒ぎ起こすなよ」
騎士は歩みを止めて剣を腰にしまった。
「俺の名はシュバルゴ。王宮騎士だ。名を名乗ったのだから貴様も名乗れ!」
大体どのゲームでも騎士が名を名乗るのって、大体相手を認めたときとか、相手に敬服した時だ。うーわぁ。ノリで戦ったらなんか騎士さんに一目置かれちゃった。でもいくらなんでも相手の敬意を逆なでする行為はいけない。それに答えないと、いくらアニオタの陰キャでもそこまで堕ちたつもりはない。まぁ、多分結構廃人にはなったんだろうけど…。
「俺は大西カナメだ!よろしく」
「カラアゲ?い、いい名前だなぁ!」
こいつ俺の名前勝手に美味しそうにしてんじゃねェよ!どーやったらそう聞き違えるんだよ!あと絶対変な名前だと思ったよこいつ!
「まぁ、悪いやつではなさそうだな、冤罪をかけてすまなかった。君の強さと誠実さに免じて引き取らせてもらう」
なんか格好つけて去ってったけどさ、これ完璧な冤罪だよね!おい!
でも、なんか俺思ったより強そうだし、こっちの世界でも楽しくやれそうだぜ!てかこっちの世界のほうが絶対楽しめる!もうあの世界のことは忘れよう!これから始まるのは俺の異世界セカンドライフ…いいや、こっちが
「異世界ファーストライフだ!!!」
(続)
「言っておくがおれは善良な人間だ」
そいつは俺を見るなりもっと顔を険しくした。
「貴様がリーダーのアバストか?」
「何言ってるの?アバストって誰?」
「とぼけるな!腰の剣が何よりの証拠だ!」
あ、この剣!そういえばさっきこいつらを倒したときにかっこいい剣が落ちてたから貰ったの忘れてた!多分こいつの持ち主、あの細でもデブでもないやつの名前がアバストだろう。
「あのなぁ騎士さん。俺が盗賊ってのは誤解だ、そのアバストってやつ、こいつか?」
この世界では騎士という存在が崇高されているのか、俺の騎士に対するあまりに適当な態度で周囲が若干ざわついたが、無視して俺はそいつを差し出した。
「随分と手負いだな」
騎士は少し驚いているな。
「この腰の剣はこいつにもらったのさ」
「いや、貰ったのではなく奪ったのだろ?」
得意気な俺に騎士は呆れ口調でそう言った。
「しかし、その者たちをそこまで倒すとは貴様、只者ではないな?」
俺は驚いた。こいつらハリボテのくせに結構この辺りで恐れられるチンピラだったらしい。
「こいつら、そうでもなかったよ。それに俺は売られた喧嘩買っただけだ。殺しちゃいないから安心しな。あ、デブはワンチャンしんだかも」
ここまで言えば大丈夫だろう。立派すぎる正当防衛だからな。罪に問われる心配はない。
「え…ちょっと騎士さん?あの…?」
騎士は完全に殺る気むき出しで剣を抜いた。
「お前、この辺の民ではなかろう。近頃王都では怪しいものは捕らえるよう命が出ているため
なんとなく怪しい貴様を捕縛する!」
なんとなくでしばこうとするなぁ!こんな奴には勝てる訳ねェ!トンズラだ!!
…ってあれ?なんで俺剣抜いてるの?え?やる気なの?え?
「おいおい、一般市民に手ぇ出すなんだ物騒な役人だぜ」
何言ってるの俺?なんで騎士様に喧嘩売っちゃってるの?は?わけわからない?自分の意志とは関係なしに喧嘩腰?やめてくれよ!!
何か騎士様魔法陣展開しだしたよ!嘘だろ魔法に勝てるわけないだろが、逃げよ!俺!逃げよ!
「あんた市民じゃねェだろがぁ!」
終わっタァー!やばいって!
「なんだその低レベルな魔法は!」
この野郎強がりもいい加減にしろ!俺に魔法なんて使えるわけ無いだろ!しかしなんでこうも体が言うこと聞かないんだよ?
「その程度の魔法陣なら、こうしてくれるわ」
俺は騎士の魔法陣を真っ二つに割った。…ってえぇ!?まじで!?自分でもびっくりなんだけど?てかさっきから俺強くね?なんか体が無意識に動くんだよな?なんで怖さとかないの?
「相殺しただと?貴様!」
やべぇ!斬り掛かってくる!ここは説得だ!
「待てよ、あんた役人なら、騒ぎ起こすなよ」
騎士は歩みを止めて剣を腰にしまった。
「俺の名はシュバルゴ。王宮騎士だ。名を名乗ったのだから貴様も名乗れ!」
大体どのゲームでも騎士が名を名乗るのって、大体相手を認めたときとか、相手に敬服した時だ。うーわぁ。ノリで戦ったらなんか騎士さんに一目置かれちゃった。でもいくらなんでも相手の敬意を逆なでする行為はいけない。それに答えないと、いくらアニオタの陰キャでもそこまで堕ちたつもりはない。まぁ、多分結構廃人にはなったんだろうけど…。
「俺は大西カナメだ!よろしく」
「カラアゲ?い、いい名前だなぁ!」
こいつ俺の名前勝手に美味しそうにしてんじゃねェよ!どーやったらそう聞き違えるんだよ!あと絶対変な名前だと思ったよこいつ!
「まぁ、悪いやつではなさそうだな、冤罪をかけてすまなかった。君の強さと誠実さに免じて引き取らせてもらう」
なんか格好つけて去ってったけどさ、これ完璧な冤罪だよね!おい!
でも、なんか俺思ったより強そうだし、こっちの世界でも楽しくやれそうだぜ!てかこっちの世界のほうが絶対楽しめる!もうあの世界のことは忘れよう!これから始まるのは俺の異世界セカンドライフ…いいや、こっちが
「異世界ファーストライフだ!!!」
(続)
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる