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Ⅲ
謎
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敬介と連絡が取れない。
……もっと大変なことがあるんだ。それは国立DNA、研究所の……。
あの日、敬介が電話で言ったことが忘れられない。電波の状況が悪く、途中までしか聞けなかったのが、悔やまれる。
国立DNA研究所。
ここは、ありとあらゆる生物の、DNA情報を集めている。
生物の進化や突然変異、将来罹る恐れのある病気の予測。そして、遺伝子操作。
その研究内容は、多岐に亘る。
敬介は、そこの研究員だ。かつては溂もそうだった。
あそこが噛んでいるのか。
だが、七緒を捉えていったのは、厚生労働省だ。理由も、輸入届がどうとか言っていた。
厚労省とDNA研究所。
縦割り意識が強い役所同士の横の連携?
……わからない。
「もう、何日も研究所に籠もりきりなの。私たちにも、連絡がないの」
ケータイを諦め、家電にかけた。応答した妻の由実さんが言った。
「こういう働き方をするなら、あの人、覚悟した方がいいと思う」
後ろで、きなりちゃんが、ぎゃん泣きする声が聞こえた。
溂は、詫びを言って、電話を切った。
そして、友人の家庭が崩壊しないことを祈った。
……もっと大変なことがあるんだ。それは国立DNA、研究所の……。
あの日、敬介が電話で言ったことが忘れられない。電波の状況が悪く、途中までしか聞けなかったのが、悔やまれる。
国立DNA研究所。
ここは、ありとあらゆる生物の、DNA情報を集めている。
生物の進化や突然変異、将来罹る恐れのある病気の予測。そして、遺伝子操作。
その研究内容は、多岐に亘る。
敬介は、そこの研究員だ。かつては溂もそうだった。
あそこが噛んでいるのか。
だが、七緒を捉えていったのは、厚生労働省だ。理由も、輸入届がどうとか言っていた。
厚労省とDNA研究所。
縦割り意識が強い役所同士の横の連携?
……わからない。
「もう、何日も研究所に籠もりきりなの。私たちにも、連絡がないの」
ケータイを諦め、家電にかけた。応答した妻の由実さんが言った。
「こういう働き方をするなら、あの人、覚悟した方がいいと思う」
後ろで、きなりちゃんが、ぎゃん泣きする声が聞こえた。
溂は、詫びを言って、電話を切った。
そして、友人の家庭が崩壊しないことを祈った。
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