元ダガーの俺が、魔族とこの世界を支配するまで

オットセイ芳沢

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プロローグ

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”この世に存在する全ての武器を以てしても、魂を打ち砕く事は叶わない”

とある伝説の鍛冶職人が遥か昔に残した言葉だ。
しかし、後に世界を揺るがした災厄の呪術師はこういった言葉を残している。

”魂など只の付加要素でしかない。偶然、人という器にこびりついているだけだ”


その呪術師は予言していたのだろうか。
…その器が、人間から武器へと移り変わる未来を。



◇◆◇



「イスタ・ルークマイアー、並びにその人装器…ジン・ルークマイアー。国家反逆の大罪により……極刑を処す」


巨大な円形の建造物。それは、国家的な大罪を犯した者を裁く為の施設だ。内部にある傍観席は中心から上に向かって傾斜が付いており、後方の人間にも裁かれる罪人の様子が明瞭に見える。逆に罪人は、どこに目を向けても…360度、醜い貴族達の顔が視界に入る。

そしてたった今判決を下された者は、十字架へと磔にされ、身体の一切の自由を奪われた青年。彼は獣のような眼光と恐ろしい程の殺気を纏い、目の前に屹立する裁判官に咆哮した。



「ふざけんじゃねぇぞ……俺とジンは国の為に…民の為に戦争したんだ!!!何の罪も無い奴らまで殺して…!!なのに何で…何で!!こんな場所で裁かれなきゃならねぇんだよ!!!」
「……貴様らは、この国を支える貴族達に容赦なく牙を剥いた。当然の報いだろう。……それに魔族は、生きているというその事実自体が悪なのだ」
「支える…?国民から絶え間なく金やら食料……果ては”魂”まで巻き上げようとする外道共が……!!」


周囲からどよめきが起こり始める。
裁判官は呆れたような表情を浮かべ、十字架の傍に置かれた一張の大弓を手に取った。



「ではこれより……人装器、ジン・ルークマイアーの”不浄死刑”を執行する。その次はイスタ、貴様だ」
「お…おい……不浄死刑って………魂ごと…消滅させるつもりかよ……」
「当然だ。…貴様らが行った所業は決してこれまでの功績や情け等で緩和されるものではない。そこで黙って見ていろ。……弟が無残に破壊される様を」

ニヤリと、口角を上げるその男を見た瞬間…これまで何度も何度も押さえつけて、押し殺してきた憎しみが…堰を切って溢れ出すのを感じた。


「…………てやる……」
「ん?何か言ったか?大罪人」
「殺して…やる………!!……人装器に関わる奴ら……人の魂を悪戯に弄ぶ奴ら……全部…全部…!!必ずこの手で殺してやる…!!!」





次の瞬間、男が持つその弓は………まるで灰に姿を変えていくように消えていった。
人間が生み出した醜い武器にこびりついた弟の魂は、全てに裏切られたまま…消滅したのだった。



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