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千山万水五行盟(旅の始まり)
036:陰森凄幽(十一)
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「――それで、なんでお前までついてきたんだ? 黒明」
「え!? どこに、誰かが!?」
何も気づかなかった雷靂飛が驚ききょろきょろと見回している。煬鳳が気づいて凰黎が気づかぬはずはない。二人で背後を振り返ると、そこに立っていたのはやはり黒明だった。
「いやあ、僕も皆さんと一緒に森から出ようと思いまして」
「随分毎回狙いすましたような時に出てくるもんだな」
「やだな、気のせいですよ」
「それはどうかな……? どうだ、知ってる顔か? 清粛」
煬鳳が脇の茂みに視線を向けると、茂みから清粛が姿を現す。
「間違いありません。行方不明だった最後の一人――渓候です! てっきり榠先生に殺されたのだとばかり……」
「いいえ、渓候は榠祖孫によって間違いなく殺されたと思います。目の前にいるのは、彼の体を借りた別人ですから」
きっぱりと言い切った凰黎の言葉に黒明は「ほう」と可笑しそうに言った。
清林峰を早めに出たのには理由がある。
それに、凰黎が煬鳳に索冥花を飲むよう伝えたことにも。
清林峰に入ってから黒明の姿は一度も見なかったのに、あの日犯人の手掛かりとなりそうな情報を伝えるためだけにボロ屋敷を訪れた。気になってあのあと黒明のことを知る者がいないか清林峰の人たちに尋ねてみたのだが、黒明という人物について知る者は誰一人いなかった。
黒明は清林峰の中ではほとんど動きを見せない、それは清林峰には峰主も煬鳳たちも、門弟たちもいたからだ。動くなら清林峰を出たあとだろう、そう思っていた。
「恐れ入ったな。いつから気づいていたんだ?」
「清林峰の手前で会ったときからだよ。とあるおっさんが『蒼い光を見た』って言ってたからな、おおかた死人だろうと思ってた」
それは森に入る前、迷陣の門番が言っていた言葉。
『つい少し前のことだよ。森から蒼い光が飛んで行ったんだ。……あれは凶兆だよ。悪いことが起きるのを予見しているんだ』
それは『煞』といい、誰かか死んだときに現れるという――凶兆の印なのだそうだ。だから、初めて会ったときから恐らく森で死んだ者ではないかと薄々思っていた。
「そんなの、他の奴かもしれないだろ?」
「いま清林峰に残ってる遺体は厳重に張られた結界の中にいる。その中での出来事なら誰かしらが気づくだろうからな。やっぱりお前が一番候補に近いだろうって思ったのさ」
「ちぇ。わざわざ俺が猫被ったのも、意味が無かったってわけだな」
少なくとも煬鳳たちの前では気のいい青年を装っていた黒明だったが、いまは随分と砕けた口調に変わっている。どうやらこれが彼の素の状態のようだ。
「ちょっと待ってくれ! 話が見えん!」
ただ一人、雷靂飛は目の前で何が起きているのか全くつかめずに混乱している。凰黎はそんな雷靂飛に苦笑しながら「つまりですね」と言い添える。
「聞くところによれば死者の体を借りて現世に蘇る、借尸戻魂という術があるそうです。恐らく黒明は榠聡檸先生たちに殺され、森に打ち捨てられていた渓候の死体に宿ったということかと」
「なんだと!?」
一から説明を受けてようやく雷靂飛も理解したらしい。
「借尸戻魂術は誰でも使えるようなものじゃない。お前はかなりの使い手だ。……でも、どさくさに紛れて清林峰に入るために俺たちの前に現れたんだろうが、なんで帰りまでついてくるんだ?」
「最初は清林峰に使える霊薬がないか探しに来たんだ。でも無駄だった。当たり前だけど消滅した体を戻すような薬なんてあるわけないからな。帰りもしれっとお前たちに紛れて森から出ようと思っただけさ」
黒明はそう言って肩を竦める。その手には黒く燃え上がる炎が見える。
――来る!
一緒について行こうとした癖に、正体がばれた途端にすぐこれだ。舌打ちを死ながら煬鳳は振り返る。
「凰黎、下がれ!」
凰黎が動くより早く煬鳳は前に飛び出した。相手の力量もまだ分かってはいない、手加減などしてやられるようなヘマは絶対にできないのだ。力の限り掌に霊力を込め、煬鳳は黒明の放った一撃を迎え撃つ。
「煬鳳!」
激しい轟音と共に辺りの木が消し飛んだ。しかし、煬鳳の黒い炎はただの炎とは種類が異なり、簡単には燃え広がりはしない。周囲の物は吹き飛んでしまったが、炎が木々に燃え移ることはなかった。
「まさか翳炎をここまで使いこなすとは思わなかった。煬鳳、だっけ? お前結構やるな」
煙の中から現れた黒明の姿は悲惨なものだ。手と足は折れ、立っているのが不自然なほど。片手は黒曜の力で消し飛んで腕の先が黒く焦げ付いている。
「あー。こりゃ駄目だ。やっぱり死んだ人間の、しかも弱いやつの体を借りても大した力は出せないな」
己の惨状を見ながら黒明は困った顔で笑った。
「お前、いまの……」
煬鳳は信じられない顔で黒明を見る。先ほど黒曜をぶつけたときに驚いた。なぜなら黒明が放ったのもまた、同じ黒い炎だったからだ。しかも、黒曜とは見た目が異なってはいるが、その本質は同一のものであると煬鳳は直感した。
「聞きたいのは俺の方だ。その翳炎、どうして使えるんだ?」
「そんなの、俺が知るか」
これは本当でまだ随分幼い頃、煬鳳がそうと気づいたときには使えるようになっていたのだ。
翳炎、という言葉を聞き、それがこの炎の名前だったのかと内心で思う。
「へえ、まあいいや。俺はこんな体だからな。いったん今日のところは引き揚げることにするさ」
「逃げるのか? 教えろ、お前はいったい何者だ!」
「俺が何者であるか、それはいまは関係ないだろう? さっさと五行盟に報告に行くがいいさ。そうすればすぐに分かる」
「そんなの聞くわけないだろ!」
煬鳳は黒明に飛び掛かろうとしたが、凰黎に止められた。
「煬鳳。いまは止めておきましょう。森の中で戦うのは得策ではありません」
「そうそう、その兄さんの言う通りさ。それじゃ、またな」
言い終えた黒明の体が崩れ落ちる。
「渓候!」
走り寄った清粛が黒明の体を抱き起こしたが、既に黒明は体におらず、あるのはただ渓候の死体のみ。
「凰黎、行かせて良かったのか!? あいつの正体も分からないのに!?」
煬鳳は凰黎に駆け寄ったが、凰黎は至って冷静だ。あんなことがあったというのに少しも動じる様子は無く、逆に動揺している煬鳳の肩に手を乗せて頷いた。
「大丈夫。彼が何者だったのか、ある程度察しもついていますから。何より彼は今しがた攻撃を加えたこと以外、何もしていないのです。死体を借りはしましたがそれだけで追いかける理由にはならないでしょう」
「そうだけど……」
謎の男の使っていた翳炎――煬鳳と同じあの炎を使っている男が何者なのか、煬鳳はとても気になっている。しかし凰黎は煬鳳の手を取り、そっと耳打ちをした。
「さっき、かなりの霊力を使ったでしょう? 彼を追いかけるより先に、そちらを何とかしなければ」
既に煬鳳の体温はじわじわと上昇を続けている。
(清林峰を出る前に索冥花を飲んでおいて良かった……)
意外にも奇跡の薬の効能は期待以上だった。普段ならもっと熱の上昇は早いはずで、恐らくは薬の効能で体への負担が緩和されたのだ。いま、辛うじてそれを抑え込めているお陰で、煬鳳は熱が下がるまで休まずに森の出口へと出発することができた。
「私は渓候の遺体を清林峰へ運びます。どうか皆さん、お気をつけて!」
その場で見送る清粛に別れを告げ、再び森の出口を目指す。
「なあ……」
煬鳳は歩きながらチラリと凰黎に視線を向けた。
「なんですか?」
「その手……」
煬鳳の左手は凰黎と繋いだまま。というのも、熱の上昇は抑えられているとはいえ完全に落ち着いているわけではなかったのだ。だからどうしたかというと、凰黎と手を繋ぐことにより、冷気を融通してもらう方法を使った。
「手が、何か?」
有無を言わさぬ凰黎の微笑み。煬鳳はその微笑みの前に何もいうことができず、
「いや、なんでもない……」
と、大人しく引き下がった。
そんな二人を微妙な顔で雷靂飛は見ていたが、言うだけ無駄と思ったようでじきに視線を逸らして見ないよう努めることにしたらしい。不自然なほど煬鳳たちから視線を逸らしている姿があまりに滑稽で、悪戯心から煬鳳も背後から声を掛けたくなった。
「え!? どこに、誰かが!?」
何も気づかなかった雷靂飛が驚ききょろきょろと見回している。煬鳳が気づいて凰黎が気づかぬはずはない。二人で背後を振り返ると、そこに立っていたのはやはり黒明だった。
「いやあ、僕も皆さんと一緒に森から出ようと思いまして」
「随分毎回狙いすましたような時に出てくるもんだな」
「やだな、気のせいですよ」
「それはどうかな……? どうだ、知ってる顔か? 清粛」
煬鳳が脇の茂みに視線を向けると、茂みから清粛が姿を現す。
「間違いありません。行方不明だった最後の一人――渓候です! てっきり榠先生に殺されたのだとばかり……」
「いいえ、渓候は榠祖孫によって間違いなく殺されたと思います。目の前にいるのは、彼の体を借りた別人ですから」
きっぱりと言い切った凰黎の言葉に黒明は「ほう」と可笑しそうに言った。
清林峰を早めに出たのには理由がある。
それに、凰黎が煬鳳に索冥花を飲むよう伝えたことにも。
清林峰に入ってから黒明の姿は一度も見なかったのに、あの日犯人の手掛かりとなりそうな情報を伝えるためだけにボロ屋敷を訪れた。気になってあのあと黒明のことを知る者がいないか清林峰の人たちに尋ねてみたのだが、黒明という人物について知る者は誰一人いなかった。
黒明は清林峰の中ではほとんど動きを見せない、それは清林峰には峰主も煬鳳たちも、門弟たちもいたからだ。動くなら清林峰を出たあとだろう、そう思っていた。
「恐れ入ったな。いつから気づいていたんだ?」
「清林峰の手前で会ったときからだよ。とあるおっさんが『蒼い光を見た』って言ってたからな、おおかた死人だろうと思ってた」
それは森に入る前、迷陣の門番が言っていた言葉。
『つい少し前のことだよ。森から蒼い光が飛んで行ったんだ。……あれは凶兆だよ。悪いことが起きるのを予見しているんだ』
それは『煞』といい、誰かか死んだときに現れるという――凶兆の印なのだそうだ。だから、初めて会ったときから恐らく森で死んだ者ではないかと薄々思っていた。
「そんなの、他の奴かもしれないだろ?」
「いま清林峰に残ってる遺体は厳重に張られた結界の中にいる。その中での出来事なら誰かしらが気づくだろうからな。やっぱりお前が一番候補に近いだろうって思ったのさ」
「ちぇ。わざわざ俺が猫被ったのも、意味が無かったってわけだな」
少なくとも煬鳳たちの前では気のいい青年を装っていた黒明だったが、いまは随分と砕けた口調に変わっている。どうやらこれが彼の素の状態のようだ。
「ちょっと待ってくれ! 話が見えん!」
ただ一人、雷靂飛は目の前で何が起きているのか全くつかめずに混乱している。凰黎はそんな雷靂飛に苦笑しながら「つまりですね」と言い添える。
「聞くところによれば死者の体を借りて現世に蘇る、借尸戻魂という術があるそうです。恐らく黒明は榠聡檸先生たちに殺され、森に打ち捨てられていた渓候の死体に宿ったということかと」
「なんだと!?」
一から説明を受けてようやく雷靂飛も理解したらしい。
「借尸戻魂術は誰でも使えるようなものじゃない。お前はかなりの使い手だ。……でも、どさくさに紛れて清林峰に入るために俺たちの前に現れたんだろうが、なんで帰りまでついてくるんだ?」
「最初は清林峰に使える霊薬がないか探しに来たんだ。でも無駄だった。当たり前だけど消滅した体を戻すような薬なんてあるわけないからな。帰りもしれっとお前たちに紛れて森から出ようと思っただけさ」
黒明はそう言って肩を竦める。その手には黒く燃え上がる炎が見える。
――来る!
一緒について行こうとした癖に、正体がばれた途端にすぐこれだ。舌打ちを死ながら煬鳳は振り返る。
「凰黎、下がれ!」
凰黎が動くより早く煬鳳は前に飛び出した。相手の力量もまだ分かってはいない、手加減などしてやられるようなヘマは絶対にできないのだ。力の限り掌に霊力を込め、煬鳳は黒明の放った一撃を迎え撃つ。
「煬鳳!」
激しい轟音と共に辺りの木が消し飛んだ。しかし、煬鳳の黒い炎はただの炎とは種類が異なり、簡単には燃え広がりはしない。周囲の物は吹き飛んでしまったが、炎が木々に燃え移ることはなかった。
「まさか翳炎をここまで使いこなすとは思わなかった。煬鳳、だっけ? お前結構やるな」
煙の中から現れた黒明の姿は悲惨なものだ。手と足は折れ、立っているのが不自然なほど。片手は黒曜の力で消し飛んで腕の先が黒く焦げ付いている。
「あー。こりゃ駄目だ。やっぱり死んだ人間の、しかも弱いやつの体を借りても大した力は出せないな」
己の惨状を見ながら黒明は困った顔で笑った。
「お前、いまの……」
煬鳳は信じられない顔で黒明を見る。先ほど黒曜をぶつけたときに驚いた。なぜなら黒明が放ったのもまた、同じ黒い炎だったからだ。しかも、黒曜とは見た目が異なってはいるが、その本質は同一のものであると煬鳳は直感した。
「聞きたいのは俺の方だ。その翳炎、どうして使えるんだ?」
「そんなの、俺が知るか」
これは本当でまだ随分幼い頃、煬鳳がそうと気づいたときには使えるようになっていたのだ。
翳炎、という言葉を聞き、それがこの炎の名前だったのかと内心で思う。
「へえ、まあいいや。俺はこんな体だからな。いったん今日のところは引き揚げることにするさ」
「逃げるのか? 教えろ、お前はいったい何者だ!」
「俺が何者であるか、それはいまは関係ないだろう? さっさと五行盟に報告に行くがいいさ。そうすればすぐに分かる」
「そんなの聞くわけないだろ!」
煬鳳は黒明に飛び掛かろうとしたが、凰黎に止められた。
「煬鳳。いまは止めておきましょう。森の中で戦うのは得策ではありません」
「そうそう、その兄さんの言う通りさ。それじゃ、またな」
言い終えた黒明の体が崩れ落ちる。
「渓候!」
走り寄った清粛が黒明の体を抱き起こしたが、既に黒明は体におらず、あるのはただ渓候の死体のみ。
「凰黎、行かせて良かったのか!? あいつの正体も分からないのに!?」
煬鳳は凰黎に駆け寄ったが、凰黎は至って冷静だ。あんなことがあったというのに少しも動じる様子は無く、逆に動揺している煬鳳の肩に手を乗せて頷いた。
「大丈夫。彼が何者だったのか、ある程度察しもついていますから。何より彼は今しがた攻撃を加えたこと以外、何もしていないのです。死体を借りはしましたがそれだけで追いかける理由にはならないでしょう」
「そうだけど……」
謎の男の使っていた翳炎――煬鳳と同じあの炎を使っている男が何者なのか、煬鳳はとても気になっている。しかし凰黎は煬鳳の手を取り、そっと耳打ちをした。
「さっき、かなりの霊力を使ったでしょう? 彼を追いかけるより先に、そちらを何とかしなければ」
既に煬鳳の体温はじわじわと上昇を続けている。
(清林峰を出る前に索冥花を飲んでおいて良かった……)
意外にも奇跡の薬の効能は期待以上だった。普段ならもっと熱の上昇は早いはずで、恐らくは薬の効能で体への負担が緩和されたのだ。いま、辛うじてそれを抑え込めているお陰で、煬鳳は熱が下がるまで休まずに森の出口へと出発することができた。
「私は渓候の遺体を清林峰へ運びます。どうか皆さん、お気をつけて!」
その場で見送る清粛に別れを告げ、再び森の出口を目指す。
「なあ……」
煬鳳は歩きながらチラリと凰黎に視線を向けた。
「なんですか?」
「その手……」
煬鳳の左手は凰黎と繋いだまま。というのも、熱の上昇は抑えられているとはいえ完全に落ち着いているわけではなかったのだ。だからどうしたかというと、凰黎と手を繋ぐことにより、冷気を融通してもらう方法を使った。
「手が、何か?」
有無を言わさぬ凰黎の微笑み。煬鳳はその微笑みの前に何もいうことができず、
「いや、なんでもない……」
と、大人しく引き下がった。
そんな二人を微妙な顔で雷靂飛は見ていたが、言うだけ無駄と思ったようでじきに視線を逸らして見ないよう努めることにしたらしい。不自然なほど煬鳳たちから視線を逸らしている姿があまりに滑稽で、悪戯心から煬鳳も背後から声を掛けたくなった。
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