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後日談:アインさんの秘密
01-01:あれから
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僕の記憶が戻ってから――そして、祖父の一件があってからほんの少し時間が流れた。
とはいっても劇的に何かが変わったわけでもなく、僕も成長したわけでもない。相変わらず時々失敗する、ちょっとドジな「きょっぴー」のままだ。
もっと頑張って、はやくヴィクターに追いつきたいなんて思ったりはするものの、なにせ相手は200年程度生きているベテランだ。そう簡単には追いつくことは叶わない。
「きょっぴーもあと200年くらい生きた頃には、きっとボクみたいになってるはずだよ!」
と、ヴィクターに元気よく言われたけれど、生憎200年も経つ頃には、僕はお墓の中にいることだろう。……多分。
なんたって半分はヴァンパイアとはいえ、残り半分は人間なのだから。
『ビストロ・ノクターン』のみんな程ではなくてもいいから、せめて一人前のホールスタッフになれるようには努力したい。
「焦っても仕方ない、きょっぴーは自分のペースでいいんだよ」
というのは、アインさんの言葉。
それは、分かってはいるんだけど……。
「アインさん? アインさん?」
ランチタイムも終わって、店内が少し落ち着きを取り戻した頃だ。
怒涛のような接客を終え、ようやく僕がおそい昼食を休憩室でとった後。ヴィクターと交代する為にホールに戻ってきたところで目に入ったアインさんの姿。
普段から多少ぽやっとしている所はあるけれど、今日はそれとは全然違う。
どことなく心ここにあらずで、ホールの隅にある椅子に腰かけ、少し物憂げな表情でぼんやりとしていた。
「あー、そっか。もうすぐ……だっけ」
そんなアインさんの姿を見て、ヴィクターがぽろりと零す。
「ヴィクターはもしかして、理由を知ってるんですか?」
何気なく僕が尋ねると、ヴィクターは何故だか『しまった』という顔をした。
「う、うーん? 知ってるというか……ウン、気のせい!」
あからさまな誤魔化され方をされてしまい、僕は次に出す言葉に悩んでしまう。一体何なんだろうと訊き返すより早く、ヴィクターは「休憩はいりま~す!」と言って、僕の前から消えてしまった。
怒っている訳じゃないけれど、あそこまで動揺しながら僕に隠した理由って、一体なんだったんだろうか。
もう一度アインさんの方を見れば、今度は天井近くにはめ込まれた大きな窓をぼんやりと眺めていた。時間もまだ午後、太陽は真上。
……ヴァンパイアのアインさんに言うのもなんだけれど、差し込む光に照らされながら見上げる姿は神々しくも見えて、やっぱりとても『美しい人』だと思ってしまう。
それにしても。
アインさんの様子が変な事と、ヴィクターも様子が変だった事と。アインさんだけなら気のせいかなと思ったけれど、ヴィクターまでとなるとそうでもない。
きっと、何か僕には言えない理由があったのだろうな、と思った。
「きょっぴー! お客様が一人お見えになりましたよ!」
ジェドさんの声で僕は我に返る。
そうだ、ランチタイムが終わってもカフェタイムがやってくる。僕もぼんやりしている場合じゃない。
なんたって、目指せ一人前のホールスタッフ、なんだから。
「はいっ!」
僕は元気よく返事を返すと、お客様を迎えるために慌てて入口の方へと向かった。
とはいっても劇的に何かが変わったわけでもなく、僕も成長したわけでもない。相変わらず時々失敗する、ちょっとドジな「きょっぴー」のままだ。
もっと頑張って、はやくヴィクターに追いつきたいなんて思ったりはするものの、なにせ相手は200年程度生きているベテランだ。そう簡単には追いつくことは叶わない。
「きょっぴーもあと200年くらい生きた頃には、きっとボクみたいになってるはずだよ!」
と、ヴィクターに元気よく言われたけれど、生憎200年も経つ頃には、僕はお墓の中にいることだろう。……多分。
なんたって半分はヴァンパイアとはいえ、残り半分は人間なのだから。
『ビストロ・ノクターン』のみんな程ではなくてもいいから、せめて一人前のホールスタッフになれるようには努力したい。
「焦っても仕方ない、きょっぴーは自分のペースでいいんだよ」
というのは、アインさんの言葉。
それは、分かってはいるんだけど……。
「アインさん? アインさん?」
ランチタイムも終わって、店内が少し落ち着きを取り戻した頃だ。
怒涛のような接客を終え、ようやく僕がおそい昼食を休憩室でとった後。ヴィクターと交代する為にホールに戻ってきたところで目に入ったアインさんの姿。
普段から多少ぽやっとしている所はあるけれど、今日はそれとは全然違う。
どことなく心ここにあらずで、ホールの隅にある椅子に腰かけ、少し物憂げな表情でぼんやりとしていた。
「あー、そっか。もうすぐ……だっけ」
そんなアインさんの姿を見て、ヴィクターがぽろりと零す。
「ヴィクターはもしかして、理由を知ってるんですか?」
何気なく僕が尋ねると、ヴィクターは何故だか『しまった』という顔をした。
「う、うーん? 知ってるというか……ウン、気のせい!」
あからさまな誤魔化され方をされてしまい、僕は次に出す言葉に悩んでしまう。一体何なんだろうと訊き返すより早く、ヴィクターは「休憩はいりま~す!」と言って、僕の前から消えてしまった。
怒っている訳じゃないけれど、あそこまで動揺しながら僕に隠した理由って、一体なんだったんだろうか。
もう一度アインさんの方を見れば、今度は天井近くにはめ込まれた大きな窓をぼんやりと眺めていた。時間もまだ午後、太陽は真上。
……ヴァンパイアのアインさんに言うのもなんだけれど、差し込む光に照らされながら見上げる姿は神々しくも見えて、やっぱりとても『美しい人』だと思ってしまう。
それにしても。
アインさんの様子が変な事と、ヴィクターも様子が変だった事と。アインさんだけなら気のせいかなと思ったけれど、ヴィクターまでとなるとそうでもない。
きっと、何か僕には言えない理由があったのだろうな、と思った。
「きょっぴー! お客様が一人お見えになりましたよ!」
ジェドさんの声で僕は我に返る。
そうだ、ランチタイムが終わってもカフェタイムがやってくる。僕もぼんやりしている場合じゃない。
なんたって、目指せ一人前のホールスタッフ、なんだから。
「はいっ!」
僕は元気よく返事を返すと、お客様を迎えるために慌てて入口の方へと向かった。
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