ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します

かにくくり

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第31話 王国との決別1

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 ロリエの二度目の襲撃から一週間後、魔王から俺をロリエの補佐として魔界北部の統治を任せるという正式な任命書が届いた。
 同時にかつてモロクの居城だったモリックス城を与えられ、ノースバウム村から引っ越しをする事になった。

「ルシフェルトお兄ちゃん、いつでも遊びに来てね!」

「ルシフェルトさん、今までお世話になりました」

「落ち着いたらまた遊びに来ますよ、レミュウもハッサムさんもお元気で」

 俺は村人たちに見送られながらノースバウム村を後にした。
 その傍らには表向きは魔界北部の支配者という事になっているロリエの姿もある。

 あの後結局俺はロリエに定期的に黒魔力を提供する事に決めた。
 彼女が食事をする周期は七日間隔だ。
 ロリエの襲撃から自分の身を守る為には俺は全ての黒魔力を使い切るまで戦う必要がある。
 そんな無駄な事を毎日続けるよりも週一で黒魔力を提供して見返りを得る契約をした方がましだと考えての決断だ。
 それに魔力が枯渇しても魔瘴石があれば俺は黒魔法を使うことができる。
 メリットとデメリットを比較してロリエは味方につけておいた方が得策だと俺は考えた。

 ノースバウムからモリックスまではかなりの距離がある。
 俺とロリエはグリフォンの背に跨り空からモリックス城へ向かった。

「ロリエはモリックス城には行った事があるの?」

「ええ、何度か宿泊所として利用させていただいた事がありますわ」

「どんな所?」

「そうですわね、住居として利用するなら最低ですわ」

「そ、そうなの……」

 モリックス城はモロクが自らの権力を誇示する為に暗黒の地と呼ばれる大森林ストライプタイガの中央に建築した巨大な城である。
 その見た目は一言で言うとおぞましい。
 更に塔のように無駄に高く聳え立つその城は住居として利用するにはまるで適していない。
 寝室や謁見室に至ってはその最上階にあるそうだ。
 馬鹿と煙は高いところを好むとは良く言ったものだ。

 ロリエは城の設計者であるモロクの事を単純にセンスがないと評価する。

 しばらくして前方に漆黒に染められた巨大な城が見えてきた。

 成程、確かに聞いた通りだ。
 様々な不快害虫の不快な部分だけを付け合わたようなその外見は見ているだけで気分が悪くなってくる。
 ロリエの話ではその内部は人間の臓器を模したような造形をしており更に気持ちが悪いとの事だ。

 元々人間と魔族では感性が違うとは言われているけど、魔族であるロリエから見てもドン引きするレベルとか相当なものだ。

「これからここに住まないと行けないのか……」

 俺は到着早々にテンションが駄々下がった。

「ロリエ様、ルシフェルト様、お待ちしておりました!」

 城の前ではモロクの部下だった者たちが俺とロリエを出迎えた。
 ノースバウムでの戦いで見逃してやった顔もちらほらいる。

「見たか、あれがロリエ様の補佐としてやってきた人間だぞ」

「人間如きがロリエ様に馴れ馴れしくしやがって」

「おいやめろ、ルシフェルト様を怒らせたらお前なんて簡単に消されるぞ……」

 出迎えの魔族の中には人間である俺に対して良く思っていない者も多くいるようだ。
 ノースバウムで痛い目に遭った者達は俺に対して畏怖の念を持っているようだけど、初見の魔族たちは完全に舐めてかかっている。

「ずいぶんと不人気ですわねルシフェルト。私が彼らに分からせてきましょうかしら」

「いや、その必要はないよ」

「あら、何か考えがあるのですわね」

 俺はグリフォンから降りるとモリックス城の前に整列している魔族たちに問いかけた。

「今城の中に残ってる人はいる?」

 先頭に立っている魔族が答えた。

「いえ、ロリエ様とルシフェルト様をお迎えする為に全員ここにおりますので城の中には誰もいません」

「それを聞いて安心したよ。お前たちちょっと左右に移動してくれ」

「え? はあ、ルシフェルト様のご命令とあらば……」

「おい、どういう事だ? 俺たちはロリエ様をお出迎えする為にここに並んでいるんだぞ」

「黙って従え、ルシフェルト様は何かをするつもりだ」

「あの野郎、もし下らない事をするつもりなら二度とあいつの言う事には従わねえぞ」

 俺の力を知っている者と知らない者の間で俺の命令に対する反応が二分している。
 丁度いい機会だ、彼ら全員の俺に対する評価を統一させてあげよう。
 魔族たちが射線上からいなくなったことを確認すると俺は城に向かって手を翳した。

「……崩壊魔法、ブレイクダウン!」

 俺が黒魔力を解き放った次の瞬間、轟音を響かせながらモリックス城は崩落した。

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