私、家出するけどちゃんと探してよね!

スーパー・ストロング・マカロン

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それぞれの人生、それぞれの生き方

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「…もしもし。」

「もしもし?ウミ君、僕だよニシだよ。あはは。
さっそくだけど今晩って忙しいかな?
もし良かったら、これからについて話し合いたいと思ってさ。
ウミ君から希望がなければ、こちらで話し合う場所をセッティングしようと思うんだけど、どうする?」

「あんたに任せるよ。」

「…そう。では僕の行きつけの店でいいね。詳しい住所はショートメールで送っておくから。
じゃあまた後で。」

ウミは速攻で通話を切った。



PM20:00


「ここの和風創作料理屋は付き合いの長い僕の友人が経営している店でね、なかなか美味いんだよ。」

店内は薄暗く落ち着きのある雰囲気で、客もそこそこ入っていた。
ウミは有名なミュージシャンやタレントのサインが壁に何枚も飾られていたのを発見した。

「何か食べたい物はあるかい?」

「俺は飯を食いに来たわけじゃない。」

ウミは腕組みをしながら、普段より低い声で言った。

「それはその通りだな。単にディナーを食べに来たわけではないのだからね。
しかし注文しないわけにもいかん。」

近くにいた店員に手を挙げて呼びつけ、ニシはウミにも自分と同じ料理を注文した。

「俺は」
「ウミ君」

「お先にどうぞ。」

ニシは自分の発言を止めてウミの発言を優先した。

「俺はロックをやりたいんだ。あんたのプロデュースは俺が求めているものじゃねえんだよ。
あまりにポップ過ぎて毒にも薬にもならない。
俺を抜きにメンバーと話し合いを行なって、俺が書いた曲を勝手にアレンジしたよな。
ひでぇアレンジだった。しかも勝手にシングルで売り出そうとは何事だよ。」

ニシは湯呑みに入っているお茶を啜った。

「まず音楽性についてだがね、個人的には君の曲も詞も好きなんだ。
バンドのビジョンも素晴らしい。
しかしながら、今の音楽シーンにおいてヒットチャートに捩じ込むのは極めて難しいと考えているんだよ。
だから…」

ニシが話しているなか、ウミは割って入った。

「だったらなんで俺らをプロデュースしようと思ったんだ。
当初の俺らの音楽性やパフォーマンスが良いと思ったから、あの日楽屋に来たんだろ?
いざ、あんたの元でニューアルバムのレコーディングをしたらこのザマだ。
あんたの作りたいバンドがあるなら、俺らではなくもっと相応しいバンドを見つけてくればいいじゃねえか。
売れたいだけでバンドをやっている奴らは掃いて捨てるほどいるぜ。」

「君は理想を持ってバンドをやっている。それは良い事だ。
しかし一部のファンにしかアプローチできないと僕は思っている。
そこで圧倒的な音楽センスを持つ君の生み出した曲に僕が。」

「それが余計だってんだよ!今となりゃあんたにはこれ以上任せられない。プロデューサーを降りてもらうのと同時に俺の曲を勝手に売ろうとするな!」

「ウミ君。これは契約する際、書類に君らのサインを貰っている。
君ら自身が合意のうえでサインを交わしたんだよ。
契約に則ってキミは僕らに従ってもらわなくてはならない。
あの曲はこちらで売り出す事ができる。」

ニシは手元にあるバッグから書類を取り出してウミやその他のメンバーがサインした書類のコピーをテーブルに置いた。

「君は才能はあるしバイタリティも持ち合わせている。おまけにルックスもいい。
しかしキミはビジネスというものを、ちっとも理解していない。
若いから仕方がない事だがね。」

「お待たせしました。こちら"白子とウニとイカミソと明太子のごちゃ混ぜ丼"でございます。」

「おっほー美味そう!これが好きなんだ。ウミ君。君も食べなさいよ。」

「クソ喰らえ!契約は破棄だ!俺の曲は俺のであってお前のもんじゃねぇぞ!」

ウミは目の前で書類をビリビリに破り、千切れた紙をニシの料理に放り込んだ。

「騙しやがって!ビジネスは知らなくていい、知りすぎるとバンドのマジックが無くなるだとか言ってたろうが!」

怒り心頭のウミは店を出た。

「おまえの好きなようにはさせねえよ!」






























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