私、家出するけどちゃんと探してよね!

スーパー・ストロング・マカロン

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歪んだまま

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「今日もここで一泊するしかないのかな?」

ソラは暇を弄んでは変わり映えのない部屋から古ぼけた雑居ビルが立ち並ぶ殺風景な景色をまどろんでいた。

独りになってから退屈な時間をすっ飛ばす為に昼寝をして一瞬の時間旅行に繰り出す事も考えたが、ソラは愛しの夫がナイトになってに行方不明となった自分を探す為に額に汗を滲ませている。
そのように想像を膨らませると昼寝をするなんて事は言語道断だと痛感したのであった。

窓から見える景色は派手な女と胡散臭い男の組み合わせ、或いは地味な女と中年の男の組み合わせが多く、連れ合いの男女は汚い通りを風で吹き飛ぶ空き缶やビニール袋を避けて歩いていた。

ソラはベッドに横たわりテレビを付けたが画面がまだ暗いうちにリモコンでOFFのボタンを押した。

テレビのリモコンを枕付近に置き、仰向けで寝ているソラは天井のシミを懐かしむ。
ここの天井も決して綺麗とは言えないがウミと暮らしたオンボロアパートよりはマシだと思った。

ほぼ無音のなかマジマジと天井を見ているとウミと引っ越しをしたばかりの記憶が蘇ってきた。

蒸し暑い夏の陽射しを浴び、2人で軽トラックから荷物を部屋へ運び出した日の事、シュノケールを着けて水風呂に入りウミを呆れさせた事が遠い昔のように感じてしまい感傷的な気持ちに支配されている。
ホロリと目尻に涙こそ浮かべるが、心地良さもないわけではなかった。

想い出に浸り、感情に身体を委ねると2つの山のような乳房がゼラチンでできたスイーツのようにプルプル揺れる。
どんな登山家でもあまりに足場が不安定な為、頂上まで登りきるのは不可能かもしれない。

ソラは自分の長い艶やかな黒髪を指で摘んで鼻で匂いを嗅いでいる。
落ち着きを取り戻す為の行為だ。

「ウミィ。私はここだよぉ。」




*****


「エロい店が近くにあるロイヤルホステスはこの界隈ではここら辺しかねえもんな。」

ウミはスマホで市内のロイヤルホステスを調べていた。

「うん。やっぱそうだ。ここっきゃねぇ。ソラが宿泊しているビジネスホテルはよぉ。」

ソラと再会したら姫に忠誠を誓うナイトの称号を捨てて、いつも通りの"ロックな俺"で接してやろう。
ソラが泊まるホテルに一歩、また一歩と近づくたびウミは抑えきれず1人で声を出して笑った。

一台のトラックが通り過ぎると、その陰から1人の若い女の姿が見えた。

ウミはその女が妙に気になり、ビジネスホテルの入り口付近にある3段しかない短い階段の手前で立ち止まった。

「あの女は…ソラの家を襲ったピンクじゃねえかよ。」

まもなくモモもウミに気付くが、一瞬だけ歩みを止めたものの、ウミがいる場所までそのまま真っ直ぐ歩いてきた。

「ヤクザの女?おめえそこで何をやってんだ?おぅ?」

ドスの効いた声でウミは言った。

モモはウミを小馬鹿にしてわざとらしいため息を吐いた。

「あんさ、あんた何様?モモがどこを歩こうが関係ないでしょ?」

「おまえ、ソラのお母さんを襲いやがって!
アイツのお母さんはあの場では許したけどよ俺は許しちゃねえぞ!」

「あんさ、部外者のお兄さんは黙っていてくれる?
そもそもお兄さんは誰なのって話。」

「バカかてめえ!ソラの旦那に決まってるだろうがよ!
でなけれゃソラのお母さんとあんなに親しげに話せるかってんだぁ!」

ウミはビジネスホテルの駐車場を囲う緑色のフェンスを蹴飛ばした。

「ふーん旦那さんなんだ?」

モモは荒れ狂うウミに対して冷静に対処した。

「なんだ?文句あっか?」

「別に文句なんかないよ。たださ、奥さんであるソラちゃんがどうなってもいいのかなって思っただけ。」

この時モモは邪悪な性分が剥き出しとなった。
憎きセラの姉の旦那であるウミを、どうにかしてハメてやろうと悪意をみなぎらせていた。


























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