クラス転移したひきこもり、僕だけシステムがゲームと同じなんですが・・・ログアウトしたら地球に帰れるみたいです

こたろう文庫

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接触

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僕はヨツバとこれからの事を相談する。

「アナフラフは猛毒だったね。何に使うと思う?」
僕はヨツバに聞いてみる

「え、それは……」

「まあ、誰かを殺す為だよね。誰かってのは状況的に木原君だと思うけど」

「……うん。私もそう思うよ。でも冒険者なんだったら、魔物を倒す為かもしれないよ?……自殺しようとしてるのかもしれないし」

「戦っているのは木原君みたいで、薬師さんは連れて行かされてるだけみたいだし、魔物に使う為なら木原君が持ってるんじゃないかな?自殺用ってのは考えられるけど、昨日不気味に笑ってるのを見たって言ったでしょ?自殺用なんだとしたら、使うかどうかを迷ってるんだと思うんだ。それなのに、不気味かどうかは別としても笑ってることはないと思うんだよね」

「そうだよね。どうしたらいいのかな?」
ヨツバが目指すゴール地点と僕の目指すゴール地点は違う。
薬師さんがこの世界に残りたいと思っているとは思えないから、僕は薬師さんを殺すことにすると思う。
過程は考えないといけないけど、薬師さんを殺せば本人を救うことは出来るからだ。

ただ、ヨツバは木原君の支配下から薬師さんを救い出したいのだろう。
さらに、僕が薬師さんを殺すのも良しとはしていない。

僕が見る限りだと、木原君は薬師さんを簡単に手放すとは思えない。
木原君が薬師さんに気づかないように、余裕を持たせていないのだと思うけど、ポーションを作れるならそれだけで生活をしていくことが出来る。
そうさせないのは木原君が薬師さんのスキルの恩恵を得る為だろう。
薬師さんが僕の考えている方法でお金を稼げば、収入面では上下関係が逆転すると思う。

「詳しく薬師さんのスキルのことを知らないとなんとも言えないけど、薬師さんが1人でお金を稼いで生活していくのは簡単だと思うんだ。問題は木原君からどうやって引き離すかだね。力ずくでやるのは簡単だけど、後々面倒にならないようにしたいな」

「薬師さんは簡単にお金を稼げるの?」

「例えば、薬草を治癒のポーションにするスキルだとして、制限や制約がないのだとしたら無限にお金を増やせるよ。無限には言いすぎたかもしれないけど、遊んで暮らせるくらいには稼げるよ」

「どうやって?」

「まずは薬草を必要量手に入れる。必要な経費はこれだけだよ。その薬草から治癒のポーションを作って売ります。売るところは冒険者を相手にしているアイテム屋でいいかな。ギルドでも買い取ってくれそうだけど。売ったお金で薬草を買います。また治癒のポーションを作って売ります。また売ったお金で薬草を買います。これの永遠繰り返しだよ。当然薬草よりも治癒のポーションの方が価値が高いから、薬草を買った金額と治癒のポーションを売った金額の差が毎回儲けになるよ。ボロ儲けだね」

「すごいね。それを薬師さんに教えたらいいんじゃないの?そしたら薬師さんは木原君に依存する必要がなくなるよね?」

「依存する必要はないけど、木原君が何か弱みを握ってるかもしれないでしょ?そうなら、先にそれをなんとかしないといけない。それから毒の件ね。現状から抜け出すために木原君を殺そうとしているのか、それとも殺さないと立ち直れないくらい恨みが溜まっているのか」

「弱みを握られてるのかは、薬師さんに聞いてみればわかるよね?」

「そうだね。話してくれれば、なんとか出来るかもしれないね」

「毒の件は、どっちだったとしても止めないの?」

「止めるつもりではいるよ。ただ、恨みを晴らすために殺そうとしているのかどうかは聞いておきたい」
薬師さんが木原君を殺した場合、その後に僕が薬師さんを殺したら、薬師さんは殺人者として元の世界に戻ることになるだろう。情状酌量の余地ありみたいな感じかもしれないけど、それは可哀想だ。
しかも殺したはずの木原君も日本に生きて帰ってきている。それでは報われない。

「止めるんだね。クオンが殺したいなら殺させればいいとか言わなくて良かった」

「そんなことは言わないよ。話をしてみないことにはわからないこともあるから、今日の夜に薬師さんに接触しようか」
死んだら元の世界に帰れる事を知らなければ、そう言っていたかもしれない。
感情的に殺してしまったとかではなく、殺した後に捕まって処刑されることまで分かった上で、それでも殺したい相手なら殺せばいいのでは?と思ってしまう。
結果的に憎い相手と心中しているようなものだから、僕なら絶対にその道は選ばないけど……。

「わかった」

その日の夜、僕達は薬師さんのところへと向かう。
ノックをする前に、中に薬師さんがいることを確認する。

薬師さんが中にいたので、ノックする。

返事はない。勝手に使っているのだろうから返事はしないか。
「薬師さん、立花です。入っていいですか?」
僕よりもまずはヨツバに話をしてもらった方が、薬師さんも話をしやすいと思った。

「……立花さん?」
ゆっくりと玄関のドアが開き、薬師さんが顔を出す。

「久しぶり。木原君と2人でいるところを先日見かけて、少しは薬師さんの状況はわかってるつもりなんだけど、とりあえず中に入れてもらってもいい?」
ヨツバには前もって、木原君と薬師さんが一緒にいるところを見たと言うように話してある。
その方がその後の話がすんなりいく可能性が高いと思ったからだ。

「入って。斉藤君もどうぞ。私の家じゃないけどね」
薬師さんは僕の事を覚えていたようだ。
僕は忘れていたので少し申し訳ないなと思う。
そしてやっぱりこの家は薬師さんのものではなかった。

「早速で悪いんだけど、木原君は薬師さんがここで寝泊まりしていることは知ってるの?」
僕は確認する。

「知らないと思う。木原君は私が野宿していると思ってると思う」

「そっか。薬師さんは木原君に何か弱みでも握られてたりする?それとも木原君がいないと生活出来ないから、従ってるだけ?」

「弱みは握られてないよ。私1人だと食べるものも手に入らないから、仕方なく一緒にいるだけ」
弱みを握られているわけではないなら、やりようはいくらでもあるな。

「そっか。薬師さんのスキルは盗み聞きしたけど、生産系だよね。ポーションが作れるのかな?詳しく教えてもらってもいい?」

「私のスキルは[薬品化]だよ。出来ることは錬金術師さんと同じ感じかな。斉藤君の言う通り薬草をポーションにしたり出来るよ。1日に3本しか作れないけどね」

「それは薬師さんのレベルの関係?それともスキルとして3本しか作れない制約でもあるの?」

「私のレベルが低いからだよ。魔力みたいなのが足りないから」

「そっか。そのスキルで毒薬も作れるんだよね?」

「なんでそんなこと聞くの?」
今までは軽い感じで返答していた薬師さんの表情が一瞬こわばる。

「薬師さんが不在の間に勝手にこの家に入らせてもらったんだよ。毒薬が隠してあるのは知ってる」
僕は隠さずに話をする

「私を止めるつもりでここに来たの?」

「薬師さんは殺したい程、木原君が憎いの?」

「殺してやりたい。そう思って毒薬を作った。毒を入れるタイミングも考えた。でも木原君のおかげで生きていられるのは間違ってない。だから踏ん切りがつかなくて、行動に移せてない」

「木原君に感謝することは何もないよ。僕が薬師さんが1人でお金を稼ぐ方法を教えてあげる」

僕は昼間にヨツバに話した事を薬師さんにも説明する。
1日に3本しか作れなくても、生活できるくらいには稼げると内容は変えてある。

「木原君もこの方法には気付いているんじゃないかな?薬師さんも木原君と出会ってなくて、冷静に考えることが出来たなら思いついていたかもしれないよ」

「そんな……。許せない」
薬師さんは怒りを隠そうともしない

「待って!なんで薬師さんを焚きつけてるの?クオンは薬師さんを止めに来たんでしょ?」
ヨツバが話に割り込む

「僕は事実を話しているだけだよ。あ、クオンっていうのは僕のことね。こっちの世界ではクオンで通しているから、外で声をかける時はクオンでよろしく」

「だったらなんで煽ってるのよ。踏ん切りがつかないって言ってるのに、後押ししてるようにしか聞こえないよ」

「後押しするつもりはないけど、薬師さんの本音を聞きたかっただけだよ。それで薬師さんは木原君を本気で殺したいの?捕まれば処刑されるかもしれないよ?」

「殺してやりたい。さっきよりも気持ちは強くなったわ。……でもあんなやつを殺すために自分の命を捨てるのは嫌よ」

「そっか。その恨みは僕が代わりに晴らしてあげるよ」

「「えっ?」」
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