クラス転移したひきこもり、僕だけシステムがゲームと同じなんですが・・・ログアウトしたら地球に帰れるみたいです

こたろう文庫

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つまらない作戦

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「ネロの占いの件はいい。残念ではあるが、理由が何にしろ、カードが無くなったから出来なくなったと言われれば、私が何を言ったところで占うことは出来ないのだろう。しかし、君が協力出来ないとはどういうことだ?」
レイハルトさんに問いただされる。

「魔導具で魔王を拘束し、動けなくなった魔王にパイプを通して僕の武器で作り出した血を流し込んでじわじわと魔王の体力を奪い討伐する。確かに確実な方法かもしれませんが、果たしてそれが騎士としてふさわしい戦いなのでしょうか?」
サラボナさんが僕と模擬戦をした時のことを話したことをきっかけに考えられたのが、『血の池』のスキルを安全なところから発動して魔王をなぶり殺しにするという、僕が少し前にレベル上げでおこなったような作戦だ。

「確かに騎士として相応しいやり方ではないだろう。私も本来であればこのような作戦を立案したくはない。他にやり方があれば、別のやり方をとっただろう。しかし、君からその言葉が出るのは不可解だ。君は騎士道なんて気にしないだろう」

「それなら言い方を変えます。この作戦はつまらないので手伝いたくありません」

「ちょっとクオン君、流石に冗談が過ぎるわよ。何を隠しているのか知らないけど、今は世界の危機なのよ。私達が生まれた世界ではなくても、それよりも大事なことがあるの?」
委員長に責められる。
ここまできてまだ隠し事をするのかと怒っているようにも見える。

「怖気付いたのではなく、あくまで元団長はやり方が気に食わないと、そう言いたいのですね?」
ルージュさんに冷たい目を向けられながら言われる。

「そうです。もっと心躍るような作戦を立ててくれれば協力するかもしれません」

「そうか……。元団長を評価していた私が間違っていたということですね。何か隠しているようですが、あなたを作戦に組み込むのはリスクが高すぎる。団長、元団長は作戦から抜くべきです」
ルージュさんは嫌悪感を露わにし、レイハルトさんに進言する。

「……決めるのは早計だろう。しかし、私としてもルージュの言うことはわかる。全てを話せと言うつもりはないが、納得のいく説明をしてもらわなければ、ルージュの意見を聞くしかない」
レイハルトさんはルージュさんの意見を尊重しつつも、結論は出さない選択をする。

「僕に魔王を倒さなければならない理由はないので、作戦に加わるなというなら従いますよ」
ネロ君のカードは既に無くなっているので確認する術は無いが、僕の推測が合っているなら魔王を倒すのに僕は必要ない。なので僕が作戦から抜けても問題ない。
そもそも、魔王が世界を滅ぼすわけではないのだから、焦って魔王を討伐する必要もない。


会議室を出た後、クローネが言っていた伝言のことをゆっくり考える為に自室へと帰る。

考えたくはないけど、クローネが僕のことを作り物ではないと言った意味の見当はついている。
ただ、それが合っていたとして、僕が何をすればいいのかわからない。

僕がつまらない人間になったわけではないと証明すればいいのだろうが、面白いことをやろうと思ってやるというのは演技と変わらないし、演じたところで僕が虚しい気持ちになるだけで結果は変わらないだろう。

だから、僕が本心から楽しいと思えることで、あの世界を作り変えたいと思っている神々の気持ちを覆すことをしなければならないはずだ。


「間違ってたら恥ずかしいけど、もしかしてクオンさんですか?」
何をしようか考えつつ、立花さんと一緒にノワールとたぬきちを可愛がったり、他のオンラインゲームを開拓してみたりして日々を過ごしていたある日、立花さんと街道沿いで素材集めをしていると他のプレイヤーに話しかけられる。

「あんころ……僕の知ってるあんころさんですか?」
あんころという名前には心当たりはあるけど、そのあんころさんかはゲームが違い見た目が異なるからわからない。
そして、クオンさんですか?と聞かれても、僕のキャラ名はクオンなので、その質問は意味を成していない。

「前に龍玉を譲ってもらったあんころです。声が似てたのでそうかなって思ったんだけど……」

「こんな偶然あるんですね。お久しぶりです」

「クオンさんはゲームをやめてしまったのだと思ってたけど、このゲームに移行してたんですね」

「あんころさんもですか?」

「私は他にも色々やっているわよ。ゲームごとに違った面白さがあるからね。どのゲームもやり込み度はすくなくなっちゃうけど、その日の気分で選ぶのも楽しいわよ」

「そうですね。ずっとあのゲームばかりやってましたけど、緩やかな時間を楽しむこういったゲームの楽しさを再認識しました」

「そっちの女の子は?」
あんころさんにヨツバの方を見て聞かれる。

「リアルの知り合いです」

「はじめまして。あんころです。フレンド申請してもいいかな?」

「はじめまして。ヨツバです。こちらこそお願いします」
あんころさんから僕の方にもフレンド申請が届いていたので承認しておく。

「クオンさんがどんな子を相棒にしたのか気になるわ。紹介してくれない?」

「いいですよ。ノワールおいで」
素材集め中は拠点で待機させていたノワールを召喚してあんころさんに見せる。

「……かわいい子を選んだわね。クオンさんならバジリスクとかヒュドラみたいな魔物をモチーフにした子を選ぶと思ってたから、予想が外れたわ。称号も『もふもふ』なんてかわいいのを付けてるし、クオンさんのイメージが大分変わったわ」

「この称号を付けてるとノワールの毛並みが悪くならないから、いつでも最高の撫で心地なんですよ。あっちでは称号によるステータスの変化はなかったので、一番レアなやつを付けてただけです」
サモナーストーリーの称号にはそれぞれ特典が付いており、自分を他のプレイヤーにアピールするだけの飾りではない。
『もふもふ』の称号を付けている間は毛並みの数値が減少しないという特典が付いており、時間が経っても毛がごわごわにならない。
ごわごわになったらブラッシングしてあげればいいだけではあるけど、ブラシは消費アイテムなので、少しごわごわしただけで使うのはなんだかもったいない気がする。

「『神殺し』だったよね。あの称号はアップデート後もクエストの難易度調整がされたから、今でも持っている人は少ないわよ」

「レイドボスでもいいくらいの相手にソロで挑まないといけませんからね。僕も倒すまでに何回死んだか覚えてません。そういえば、クロノスさんがレアドロップがあるって噂を聞いて周回してましたね」

「あれはゲーム実況の検証企画ですよ。確かレアドロップは本当だったけど、『神の血』という名前だけ凄そうなネタアイテムだったはずです。クロノスさんがゲーム実況者だってクオンさんは知らなかったですか?」

「神の血の入手法はそんな鬼畜仕様だったんですね。クロノスさんが実況者なのは知らなかったです」
やけに上手いと思っていたけど、プロだったようだ。
他の人がプレイする動画はほとんど見ないから知らなかったけど、知っている人が配信しているなら、今度見てみようかな。

「このゲームも前に実況してましたよ。その後はやってないみたいなのですけど。あ……、長々と身内話をしてると彼女さんに悪いわね。それじゃあ今度一緒にプレイしましょうね」
あんころさんは勝手な思い込みを口にした後、手を振りながらログアウトした。
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