クラス転移したひきこもり、僕だけシステムがゲームと同じなんですが・・・ログアウトしたら地球に帰れるみたいです

こたろう文庫

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更生

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立花さん達と買い物をした2日後、久しぶりに学校に行く。

「本当に来たのね。なんだかんだで来ないと思ったわ」
教室に入ってすぐ、クラスメイトに囲まれていた委員長が近付いてきて言われる。
あれだけ言っておいて、来ないと思っていたようだ。

「まあ、委員長の言う通り学校に行かずにやりたいことがあるかというと、今はないからね」

「素直に立花さんに会いに来たって言えばいいのに」
委員長が耳元で言う。

「別にそんなつもりではないよ。俗物みたいなことを委員長が言うなんて珍しいね」

「結構いい感じに見えたんだけど、本当に斉藤君にその気は全くないの?」

「うーん、全くないと言うと嘘になるかもしれないけど、立花さんと恋人になりたいかと言われると、はいとも言えないかな。クラスの誰と付き合いたいかと聞かれて、誰かの名前をあげないといけないなら立花さんの名前を出すかもしれないけど、だからといって告白するかと言われればそんなことはない。そんな感じかな」

「正直、今の関係がちょうどいいんでしょ?今は立花さんが斉藤君に合わせようとしているけど、付き合うってなったら、斉藤君も立花さんに合わせて生活を変えないといけないから」

「…………そうかもしれないね。前にやってたゲームをやらなくなっても、僕の中の最優先はまだゲームなんだ。だから、二の次にしている立花さんと付き合うのは悪い気がしているのかもしれない。ただ、それ以前の問題として、僕は人を好きになるって感覚にいまいちピンと来ないんだよね。委員長は前に誰とも付き合うつもりはないみたいなことを言ってたけど、誰かを好きになったことはあるの?」

「小さい頃にはあったわよ。近所のお兄さんのことが好きだったんだけど、今思うと、恋というよりは憧れだったかも。ほら、大人ってだけでなんでも出来るかっこいい人に見えるでしょ?」

「それはなんとなくわかるよ。僕がゲームにハマり出したのも歳の離れた従兄弟の影響だから。神下さんや中貝さんに言われるならわかるんだけど、なんで委員長が僕と立花さんのことにこれだけ関わってくるの?」
先日から気にはなっていた。
委員長も僕に好意を抱いているなんてことはあり得ないので、理由がわからない。

「色々と言いはしたけど、私は斉藤君に感謝しているのよ。今でもやり方を肯定することは出来ないけど、結果だけで考えるなら、斉藤君はみんなから賞賛されることをした」

「……まあ、そうかな」
急に絶賛されても反応に困る。

いや、結果だけと言っているし、絶賛はしてないか。

「だから、私に出来る形で恩を返しておこうと思って」

「なんで僕と立花さんをくっつけるのが恩返しになるのかわからないんだけど……。それとも、立花さんへの恩返しって話?」

「恋を成就させることが恩返しじゃなくて、斉藤君を更生させてあげようと思って。斉藤君が立花さんではなかったとしても、誰かを好きになったら十分更生出来たとは思わない?」

「別に更生したいとは思ってないんだけど……」

「斉藤君の気持ちは関係ないわ。私が斉藤君を更生させるって決めたから、更生させるの。斉藤君にわかりやすく言うなら、斉藤君を更生させるってクエストを進行中よ」
どこかで聞いたことあるようなことを言われる。
なるほど。大分根に持っているようだ。

「そんな迷惑なクエストは破棄してくれないかな?」

「冗談は抜きにして、本気で斉藤君は生き方をちゃんと考えた方がいいわよ。立花さんとのことも、私は自分のやりたいことが定まっているからこそ恋人を作る気がないけど、斉藤君は普通の中学生としての感覚がおかしくなっているだけだから」
本気で心配されているのか、僕を更生させる為の作戦なのかがわからない。

「……委員長はさ、僕を更生させるために何をするつもりなの?」

「特に変わったことはしないわよ。今日学校に来てくれたし、もうほとんどやり終えたと言ってもいいくらいね。ちゃんと毎日学校に来て、みんなで給食を食べて、たまに寄り道をして帰ったりしてれば、自然とまともな思考に戻るわよ」
いいことを言っているようで、最後の最後に僕の思考が狂っていると遠回しに言ってきたな。
否定はしないけど。

「立花さんのために学校に来た方がいいみたいに言ったのは、こうやって学校に来させるためだったってこと?」

「別に立花さんのことなんて話してないわよ。実際立花さんが周りからどう思われているかも知らないもの。でも、今の斉藤君と関わってプラスに思われることはないと思うわね」

「それじゃあなんであんな言い方をしたの?」

「私は斉藤君と立花さんはお似合いだと思うのよ。だから応援しようかなって思ってね。それと、斉藤君が立花さんを異性として意識し始めたら、それが斉藤君が更生したっていう合図になるかなって。だから、勝手にだけど、斉藤君更生計画の目標をそこに決めたわ」
なんとも自信たっぷりな顔で委員長は宣言した。

「……そのふざけた計画について詳しく教えてもらおうかな」


「委員長おかえり。斉藤君がいるのは珍しいね。また先生に呼ばれたの?」
委員長から僕の更生計画とやらを聞き出そうとしていると、中貝さんが登校してきてこっちにやってくる。
他の人は僕が委員長と話していることで近寄ってこないが、中貝さんは気にしないようだ。

「いや、委員長に騙されるような形で登校しただけだよ」

「今日から斉藤君はサボらずに学校に来るから、中貝さんも仲良くしてあげてね」

「わかったよ、委員長ママ」

「おちょくるつもりで来るように言ってたなら、今からでも帰っていいかな?」

「ごめんごめん、やめるわ。本当に斉藤君は毎日学校に来るの?」

「まあ、仕方なくね。そういえば、立花さんと神下さんとは一緒に学校に来ないんだね」

「家が離れているからね。学校を囲んで三方向にあるの」

「そうなんだ。それなら仕方ないね」

「……斉藤君の家って四葉ちゃんの家の方向だったよね?」

「そうだね。離れてはいるけど、方向は同じだね」
僕の家から学校に行く通り道の近くに立花さんの家はある。
中貝さんが何を言いたいのかもう予想出来るけど、とりあえず答える。

「通学路で周りの大人が目を光らせてくれているって言っても、女の子が1人なのは危ないと思わない?」

「そういう中貝さんも1人じゃないの?」

「私は別のクラスの友達と一緒だから。でも、四葉ちゃんは1人だから心配だね」

「まあ、立花さんの家は学校から近いからね」

「おはよう。私がどうかしたの?」
タイミングが良いのか悪いのか、立花さんが登校してきた。
ちょうど名前だけ聞こえたみたいだ。

「立花さんが1人で登下校してるって聞いたところだよ」

「学校まで10分も掛からないからね」

「短い時間でも変な人とかいるかもしれないから気を付けてね」

「うん、気を付けるね」


中貝さんに呆れられた後、始業のチャイムが鳴りそれぞれの席へと戻っていく。

出席の際に僕の名前が呼ばれもしなかったけど、先生を責めることは出来ないだろう。
僕が飛ばされたまま出席を先生がとり終えた後、ちゃんと委員長が指摘してくれた。


1時限目の授業中に進路相談室へ呼ばれたりしつつも、久しぶりの登校を無事に終え放課後になる。

みんな先日の行方不明のニュースのことが気になっていたみたいだけど、説明するのも、対応しろと言われるのも嫌だったので、知らないと答えておいた。

「朝の話だけど、1人は危ないから、すぐそこではあるけど一緒に帰らない?」
帰り支度を終え、立花さんに声を掛けたところで堀田君に睨まれるが無視する。

「う、うん。一緒に帰ろ」

「それじゃあ、また明日ね」
神下さん達に挨拶して教室を出る。


「杖は魔法特化に強化していくんだよね?それなら今日は宝玉魚を釣りに行こうか」

「全然釣れないんだよね」

「手伝うよ。そういえば、湖で召喚獣を遊ばせると親密度にボーナスがつくらしいよ。あ、もう立花さんの家に着いたね」
サモナーストーリーの話をしていたらすぐに立花さんの家の前に着く。

「送ってくれてありがとう。先にインしてたぬきちを撫でてるね」

「明日の朝も迎えにくるよ。近くまで来たらメールするね」

「いいの?」

「立花さんが嫌じゃないならね。学校に行かない時も連絡するから」

「うん、ありがとう」
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