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薬
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コレットさんの叔父さんがやっているという酒場に入る。
「なんでも好きなものを注文してくださいね」
「ご馳走になります」
「いただきます」
酒場ではあるけど、お酒とおつまみ以外の食事メニューもあったので、レッドボアの煮込みという料理を僕は食べることにする。
「さっきのお姉ちゃんの説明だと、コレットさんのお母さんをなんでお姉ちゃんが助けることになったのかわからなかったんですが、聞いてもいいですか?」
お姉ちゃんの説明ではよくわからなかったので、コレットさんのお母さんに詳細を訊ねる。
「いいわよ。今から1年半前くらいに護衛の依頼で王都に向かっていたの。あと少しで王都に着くという時に、私達が対処しきれない魔物と遭遇してしまって、なんとか護衛対象を護りながら逃げることは出来たのだけど、私は爪で切り裂かれて大怪我を負って気を失ってしまった。王都の治療所がどこにあるのか知らないパーティメンバーは、冒険者ギルドに私を運んで、治療所に先生を呼びに行ってもらいながら、その場にいた冒険者に私の治療を頼んだけど、私の傷は酷くて助かりそうになかった。そんな私を治療してくれたのがエレナちゃんだったって話よ。気を失っていたから、私も聞いた話だけどね」
「助かってよかったです。でも、お姉ちゃんに何かきっかけを与えたようなことはなかったように聞こえますけど……」
「私が自分の力を自覚してから初めて回復魔法を使ったのがこの人だったってだけよ。助けて欲しいって声が聞こえて、その時に、昔お母さんが神父様に私の治療をして欲しいと頼んでいたことを思い出したの。この力を神父様のように誰かの為に使おうって、そう思った時だからよく覚えているだけ」
お姉ちゃんが答える。
「なんだか不思議な縁を感じるね」
「そうだね」
「お母さん。私、エレナさんと一緒に困っている人を助ける為に世界を回りたい。今すぐって話じゃなくて、お母さんとお父さんに心配させないように準備が出来たら、行くのを許して欲しい」
コレットさんが頼む。
コレットさんの家に向かう最中に、お姉ちゃんがコレットさんに将来、食べる物に困っている村を中心に世界を回る計画をしているという話をしていた。
その時コレットさんは何も言っていなかったけど、一緒に行きたいようだ。
「エレナちゃんは、娘が同行することを迷惑とは思っていませんか?正直に言ってください」
「迷惑どころか、一緒に来てくれるなら嬉しいです。ただ、私もお父さんからまだ反対されています。私は村や街を回って、食べるものがない人、治療するお金がない人に無償で援助するつもりでいるからです。今は、その方達からお金を頂かなくてもいいように色々と準備を進めている最中ですが、難しいことをやろうとしているのはわかってます。私と一緒に行くことで、コレットさんが不幸になってしまうかもしれません。私が心配しているのはそれだけです」
「それが本当にコレットのやりたいことなら、お母さんは応援してもいいわよ。でも、ゆっくりと冷静に考えて決めて欲しい。お父さんもコレットが本当にそれがやりたいのだと分かれば応援してくれるはずよ。前は、王都に行ったところでエレナちゃんに会えるかどうかもわからないのに、漠然としたまま行きたいと言っていたから反対されたの。あれだとお母さんも応援出来ないわ」
「うん。ちゃんと考える」
食事も食べ終わり、コレットさん達とは別れる。
「お姉ちゃんはスキル屋から何かスキルを買ったの?」
学院長の屋敷へと帰る最中、気になっていたことを聞く。
「食べ物を生み出すようなスキルが欲しいと言ったわ。エルクのスキルみたいなやつを期待してね。でも、そういったスキルは無いからと薬学というスキルを与えられたわ。このスキルがあると抽出・調薬・防腐の3つのことも出来るって言ってた」
お姉ちゃんも僕と一緒でスキル屋が選んだスキルを買わされたようだ。
「いいスキルを貰ってよかったね」
でも、お姉ちゃんのやりたい事を考えると、食べ物を生み出すスキルよりもいいスキルだと思う。
治療所が必ずあるわけではない村では、食べ物があれば長く生きることが出来るというわけではない。
「エルクはこのスキルを何に使うのかわかるの?回復薬を作るようなスキルだと思ってたんだけど、設備を借りてやってみたら失敗したの。根本が違うような感覚はあるんだけど、何が違うのかわからないから、色々と試している所なの」
「回復薬を作るスキルだと僕も思うけど、お姉ちゃんが貰ったスキルはもっとお手軽に薬を作ることが出来るんじゃないかな。僕も詳しくは知らないけど、回復薬は錬金術師が長い時間を掛けて生成しているよね。だから、少し体調が悪いからって使えるほど安くない。それがそのスキルなら簡単に作れるのかもしれないね。僕の予想だけど、薬草とかから回復薬を作るのに必要な成分だけを抽出することが出来て、集めた成分を調薬することで回復薬が作れる。さらに、防腐処理をすることで長期の保管が可能になるから、近くに治療所や錬金術師がいない村でも必要な時に使うことが出来るかなって。もしそうなら、薬草とか必要なものはあるけど、お姉ちゃんに最適なスキルかもしれないなって僕は思うよ」
話を聞く限りでは薬剤師になれるスキルのように聞こえた。
お姉ちゃんには回復薬と言ったけど、風邪薬とか腹痛薬を作れるスキルかもしれない。
「……そうかもしれない。だからスキル屋の人は私の回復魔法についても助言していったのかな」
「何か言ってたの?」
「治癒魔法と回復魔法は同じようで、癒える工程に大きな違いがあるって。治癒魔法は怪我をした相手の自然治癒力を活性化させて怪我を癒す。回復魔法は術者の力で、正常な状態に戻るようにエネルギーを送っているって。だから、回復魔法は相手を選ばないって言ってたの」
「そうなんだ。あんまりよくわからないけど……」
工程が違うだけで、結局どっちも同じなんじゃないかなと思う。
「治癒魔法だと、治せる怪我に限界があるみたい。術師がどれだけ優秀だとしても、癒すのに使うエネルギーは怪我をした本人だから、体力が保たなければ助からない。でも、回復魔法は術師の魔力が無くならなければ、相手がどれだけ弱っていても癒すことが出来るってことみたい。スキル屋がなんでそんなことをその時に言ったのかわからなかったけど、エルクの話を聞いて、一つ可能性が浮かんだわ。もしかしたら回復魔法は人以外にも使えるのかもしれない。もし疲弊した土も回復出来るなら、薬草を大量に育てることが出来るわ。薬草だけじゃなくて、畑の収穫量も増えると思う」
「そうだといいね」
もしスキル屋がそんな思惑でお姉ちゃんに薬学のスキルを与えて、回復魔法について教えたというのなら、スキル屋はお姉ちゃんの夢を応援しているということかな。
「色々と試して確認してみる」
僕も同じスキルを創って、何が出来るか試してみよう。
「なんでも好きなものを注文してくださいね」
「ご馳走になります」
「いただきます」
酒場ではあるけど、お酒とおつまみ以外の食事メニューもあったので、レッドボアの煮込みという料理を僕は食べることにする。
「さっきのお姉ちゃんの説明だと、コレットさんのお母さんをなんでお姉ちゃんが助けることになったのかわからなかったんですが、聞いてもいいですか?」
お姉ちゃんの説明ではよくわからなかったので、コレットさんのお母さんに詳細を訊ねる。
「いいわよ。今から1年半前くらいに護衛の依頼で王都に向かっていたの。あと少しで王都に着くという時に、私達が対処しきれない魔物と遭遇してしまって、なんとか護衛対象を護りながら逃げることは出来たのだけど、私は爪で切り裂かれて大怪我を負って気を失ってしまった。王都の治療所がどこにあるのか知らないパーティメンバーは、冒険者ギルドに私を運んで、治療所に先生を呼びに行ってもらいながら、その場にいた冒険者に私の治療を頼んだけど、私の傷は酷くて助かりそうになかった。そんな私を治療してくれたのがエレナちゃんだったって話よ。気を失っていたから、私も聞いた話だけどね」
「助かってよかったです。でも、お姉ちゃんに何かきっかけを与えたようなことはなかったように聞こえますけど……」
「私が自分の力を自覚してから初めて回復魔法を使ったのがこの人だったってだけよ。助けて欲しいって声が聞こえて、その時に、昔お母さんが神父様に私の治療をして欲しいと頼んでいたことを思い出したの。この力を神父様のように誰かの為に使おうって、そう思った時だからよく覚えているだけ」
お姉ちゃんが答える。
「なんだか不思議な縁を感じるね」
「そうだね」
「お母さん。私、エレナさんと一緒に困っている人を助ける為に世界を回りたい。今すぐって話じゃなくて、お母さんとお父さんに心配させないように準備が出来たら、行くのを許して欲しい」
コレットさんが頼む。
コレットさんの家に向かう最中に、お姉ちゃんがコレットさんに将来、食べる物に困っている村を中心に世界を回る計画をしているという話をしていた。
その時コレットさんは何も言っていなかったけど、一緒に行きたいようだ。
「エレナちゃんは、娘が同行することを迷惑とは思っていませんか?正直に言ってください」
「迷惑どころか、一緒に来てくれるなら嬉しいです。ただ、私もお父さんからまだ反対されています。私は村や街を回って、食べるものがない人、治療するお金がない人に無償で援助するつもりでいるからです。今は、その方達からお金を頂かなくてもいいように色々と準備を進めている最中ですが、難しいことをやろうとしているのはわかってます。私と一緒に行くことで、コレットさんが不幸になってしまうかもしれません。私が心配しているのはそれだけです」
「それが本当にコレットのやりたいことなら、お母さんは応援してもいいわよ。でも、ゆっくりと冷静に考えて決めて欲しい。お父さんもコレットが本当にそれがやりたいのだと分かれば応援してくれるはずよ。前は、王都に行ったところでエレナちゃんに会えるかどうかもわからないのに、漠然としたまま行きたいと言っていたから反対されたの。あれだとお母さんも応援出来ないわ」
「うん。ちゃんと考える」
食事も食べ終わり、コレットさん達とは別れる。
「お姉ちゃんはスキル屋から何かスキルを買ったの?」
学院長の屋敷へと帰る最中、気になっていたことを聞く。
「食べ物を生み出すようなスキルが欲しいと言ったわ。エルクのスキルみたいなやつを期待してね。でも、そういったスキルは無いからと薬学というスキルを与えられたわ。このスキルがあると抽出・調薬・防腐の3つのことも出来るって言ってた」
お姉ちゃんも僕と一緒でスキル屋が選んだスキルを買わされたようだ。
「いいスキルを貰ってよかったね」
でも、お姉ちゃんのやりたい事を考えると、食べ物を生み出すスキルよりもいいスキルだと思う。
治療所が必ずあるわけではない村では、食べ物があれば長く生きることが出来るというわけではない。
「エルクはこのスキルを何に使うのかわかるの?回復薬を作るようなスキルだと思ってたんだけど、設備を借りてやってみたら失敗したの。根本が違うような感覚はあるんだけど、何が違うのかわからないから、色々と試している所なの」
「回復薬を作るスキルだと僕も思うけど、お姉ちゃんが貰ったスキルはもっとお手軽に薬を作ることが出来るんじゃないかな。僕も詳しくは知らないけど、回復薬は錬金術師が長い時間を掛けて生成しているよね。だから、少し体調が悪いからって使えるほど安くない。それがそのスキルなら簡単に作れるのかもしれないね。僕の予想だけど、薬草とかから回復薬を作るのに必要な成分だけを抽出することが出来て、集めた成分を調薬することで回復薬が作れる。さらに、防腐処理をすることで長期の保管が可能になるから、近くに治療所や錬金術師がいない村でも必要な時に使うことが出来るかなって。もしそうなら、薬草とか必要なものはあるけど、お姉ちゃんに最適なスキルかもしれないなって僕は思うよ」
話を聞く限りでは薬剤師になれるスキルのように聞こえた。
お姉ちゃんには回復薬と言ったけど、風邪薬とか腹痛薬を作れるスキルかもしれない。
「……そうかもしれない。だからスキル屋の人は私の回復魔法についても助言していったのかな」
「何か言ってたの?」
「治癒魔法と回復魔法は同じようで、癒える工程に大きな違いがあるって。治癒魔法は怪我をした相手の自然治癒力を活性化させて怪我を癒す。回復魔法は術者の力で、正常な状態に戻るようにエネルギーを送っているって。だから、回復魔法は相手を選ばないって言ってたの」
「そうなんだ。あんまりよくわからないけど……」
工程が違うだけで、結局どっちも同じなんじゃないかなと思う。
「治癒魔法だと、治せる怪我に限界があるみたい。術師がどれだけ優秀だとしても、癒すのに使うエネルギーは怪我をした本人だから、体力が保たなければ助からない。でも、回復魔法は術師の魔力が無くならなければ、相手がどれだけ弱っていても癒すことが出来るってことみたい。スキル屋がなんでそんなことをその時に言ったのかわからなかったけど、エルクの話を聞いて、一つ可能性が浮かんだわ。もしかしたら回復魔法は人以外にも使えるのかもしれない。もし疲弊した土も回復出来るなら、薬草を大量に育てることが出来るわ。薬草だけじゃなくて、畑の収穫量も増えると思う」
「そうだといいね」
もしスキル屋がそんな思惑でお姉ちゃんに薬学のスキルを与えて、回復魔法について教えたというのなら、スキル屋はお姉ちゃんの夢を応援しているということかな。
「色々と試して確認してみる」
僕も同じスキルを創って、何が出来るか試してみよう。
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