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面接
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集まりすぎた氷魔法を使える人の面接を進める。
人柄を見て決めたいけど、面接なんてしたこともなければ、されたこともない。
どうしたものか……。
「なんでこの仕事がしたいと思ったんですか?」
「氷魔法が使えるので、自分の力が活かせると思いました」
僕がそれらしいことを聞くと、大体同じような答えが返ってくる。
「なんでこの仕事がしたいと思ったんですか?」
「実は娘が病気で、お金が必要なんです」
こういった答えが返ってくる時もある。
「嘘をついているのじゃ」
オボロが教えてくれる。
オボロは嘘を言っていると空気でわかるらしい。
僕には本当かどうか分からないけど、オボロにはなんとなくわかるようだ。
「娘さんが病気なら街を離れない方がいいんじゃないですか?」
「い、いや……それでも治すために離れてでも稼がないといけないんです」
今の反応で流石に僕もさっきのが嘘だとわかった。
「それでは質問は以上です。あちらからお帰りください」
オボロ達がダメだと言っている人には帰ってもらう。
さっきの人の他にも、複数人募集しているが俺なら1人で問題ないと言う人もいた。
オボロ曰く実際にそれだけの魔力量を保有しているらしいけど、お帰りいただした。
1人でやるかわりに給金を増やすようにも言ってきたからだ。
がめつい人はトラブルを起こしやすい気がする。
後は実際に氷魔法が使えるのか見させてもらって、オボロが問題ないと言う人には別室で待ってもらっている。
結局、50人くらい面接した。
募集する時にコロネさんが殺到すると言っていたけど、その通りだった。
「コロネさんはどの人がいいと思いましたか?」
面接を手伝ってくれたコロネさんに聞く。
「あの人は別として、他の人はあまり差はありませんね。この屋敷に残ってもらった人なら、マオさんが気になった人でいいと思います。でもマオさんがこんなに人の見る目がある人だとは思いませんでした。少なくても私が大丈夫かな?と思う人は全て帰ってもらってましたね」
1人だけ変わった人が来ていたけど、他の人は能力的には同じくらいだと思う。
選ばなかった人には申し訳ないけど、僕の好みで決めさせてもらおう。
「シトリー、この人とこの人を採用するから残りの人には残念ではあるけど帰ってもらって、2人にはこの部屋に来てもらって。それから、この人には別件で話をしたいから部屋に残ってもらうように言っておいて」
シトリーにメモを渡して頼む。
「わかりました」
シトリーが呼びに行き、しばらくして男性が2名入ってくる。
「あなた達を採用することにしました。これからよろしくお願いします」
「ありがとうございます」
「よろしくお願いします」
「雇い主は僕ですが、運搬中に関しては基本的に商品を運んでいる御者の人の指示に従って下さい。シーラの街に向かっている最中に仕事はありませんが、一緒に行動するわけなので、可能な範囲で困っていることがあれば手伝ってあげてください。お給金に関しては、この屋敷まで品物を届けてくれる話になってますので、その時に都度お支払いします。何か質問はありますか?」
「いつから出発になりますか?」
「ここに運搬をしてくれる方が住んでいるので、その人と相談して下さい。次は大体1週間後くらいだと思います」
僕は簡単に地図を書いて教える。
「わかりました」
「他になにか…………なさそうですね。では何か分からないことがあれば聞きに来て下さい。よろしくお願いします」
2人は帰っていく。
これで美味しい魚が手に入るな。
肉なんかも仕入れてもらうように頼んでおこう。
さて、もう一人の人と話をしようかな。
「シトリー、遅くなったけど昼ご飯にしようか。準備をお願い。コロネさんも食べていきますか?」
「ありがとう。いただくわ」
「待たせている人とは食べながらゆっくりと話をするから、4人分お願い。それからみんなの分もよろしく」
「はい、わかりました」
遅めの昼食の準備が出来たところで、集まって食事にする。
「お待たせしてすみません。フェレスさん、遅くなってしまったので、食べながらお話をしましょう」
「ああ、すまないな。それで、私は採用していただけるのだろうか?」
フェレスさんに聞かれるが、先程採用者は決まっている。
「すみませんが、他の方を採用させてもらいました」
「……そうか。あの部屋に私だけ残されたからてっきり採用していただけるのだと思っていたのだが、残念だな。さしつかえなければ不採用の理由を聞いてもいいか?それから、私だけ残された理由もな」
「フェレスさんは魔導士だとおっしゃってましたよね?それで研究を進めるのにお金が必要だと」
「その通りだ」
「まず不採用の理由ですけど、手っ取り早くお金を稼ぎたい、楽して金を稼ぎたいというのが見て取れたからです。能力としてはズバ抜けていましたが、そこまでの能力は求めていません。他の真面目に働いてくれそうな人を選びました」
「そう言われると仕方ないな。手を抜くつもりはなかったが、研究の片手間だと思っておったのは事実だ。それで他に話があるのだろう?」
「はい。別の仕事を頼みたいと思いまして、フェレスさんには他の方とは別で残ってもらいました」
「……何を頼みたいんだ?研究の時間をあまり割きたくないから、あまり拘束されない仕事だとありがたいが」
「調べて欲しい物があるので、それの研究もしてほしいです。これなんですけど、見たことありますか?」
僕は緑色をしたスキル球のような球を収納から取り出してフェレスさんに見せる。
「……見たことないな。とてつもないエネルギーを感じるが、これはなんだ?」
「わかりません。ある事情があって、同じような物をたくさん待っています。心当たりはあるのですが、今は話せません。フェレスさんに頼みたいのはその球の研究です。それから、今は話せませんが色々と問題を抱えていまして、相談役にもなってもらいたいです」
盗んだもので、記憶にあるのに実物がない物に心当たりはある。
ATKとかDEFとかだ。なのでこれを使うと力が増したり、体が硬くなったり、体力が増したりするのではないかとは思っている。
ただ、使った場合にどうなるのかが怖くて使えない。
もしかしたら違うものかもしれないし、合っていたとしても体の許容を超えて上昇して、耐えられなくなって死ぬかもしれない。
フェレスさんは面接の時に、オボロやユメ達を見てすぐに上位の魔物だということに気づいた。
魔力やエネルギーを感じ取る術があると言っていた。
そして、魔物の種類も言い当てたので、知識が豊富だということもわかった。
品物を凍らせる仕事として雇うのは断ったが、稀有な存在だとは思った。
王国といつか対立することにもなるかもしれないので、その時に相談にも乗って欲しい。
「なるほどな。対価は?」
「今フェレスさんが行っている研究にはどれだけのお金が必要ですか?」
「あればあるだけだが、月に大銀貨5枚くらいは掛かっている」
「……それだと当初の仕事で雇ったら足りなくないですか?」
僕が提示したのは2週間間隔に大銀貨1枚だ。
1月で大体大銀貨2枚だから全然足りない。
「貯蓄はある。それに研究で得たものを売って金にもしている。ただ、それ以上に金が減っていくからここにいる」
「そうでしたか。では、月に大銀貨5枚で雇います。研究に使う部屋はこの屋敷を使ってもらって構いません。寝る部屋と食事も用意します。もちろん僕が頼んだ球の研究に必要な物の費用は別途払います。いかがですか?」
「……悪くはない。ただ、お前さんの研究はどのくらいのペースで進めればいい?そちらを優先して私の研究が止まるのでは意味がない」
「そうですね……。1日に8時間は僕が頼んだ物の研究をして下さい。週に2日は休みにします。空いた時間はフェレスさんの自由にして下さい。それから、さっき見せた球以外にも調べて欲しい物が出てきたらそれも頼みたいです。こちらの頼みたい物がない時は毎日自由にしていてくれて大丈夫です」
「本当にそれでいいのか?」
「ええ、もちろんです。ちなみにフェレスさんは何について研究されているんですか?」
「魔法とはなにか?魔法が発動する仕組みとは?どうやったらさらに高度な魔法を使えるのか?そういったことを研究している。魔法は奥が深い。私の師匠は魔法の深淵を垣間見たと言っていた。私は師匠のさらに先をいきたい。深淵を覗き、理解して私のものとしたい」
フェレスさんはなんだか危ない人のような目をしてそう言った。
「あ!…………マオさん、少しいいですか?」
コロネさんが急に声を上げた後、部屋の外に連れ出される。
食事も終わっているので問題はないけど、どうしたのだろうか……。
「マオさん、フェレスさんをどこかで見た気がしていたのですが、思い出しました。鬼才とも奇才とも言われている変人で有名なフェレスさんです。ファウスト家の三男ですが、変人が故に追い出されたと聞いたことがあります。ファウスト家の暴君という通り名でも有名です。腕は確かかもしれませんが、私はお勧めしません。ギルドにも、フェレスさんの家で爆発があるとか、異臭がするとかで、危ないのでやめさせて欲しいとの依頼が度々来ていました」
危ない人のようなではなく、危ない人だったようだ。
「……それでも腕は確かだと思うから採用するよ。でも屋敷内で爆発とか異臭騒ぎにはしたくないから離れを使ってもらうことにする」
「そうですか……」
「教えてくれてありがとうございます」
僕達は部屋に戻る。
「それで受けていただけるということでよろしかったですか?」
僕はフェレスさんに最終確認をする。
「ああ、こちらからも頼む」
「フェレスさんに一つ聞いておくことがあります。フェレスさんの家で爆発とか異臭があるというのは本当ですか?」
「研究に失敗はつきものだ」
否定はしないようだ。
「それではフェレスさんには離れを使ってもらいます。食事やお風呂などはこちらの屋敷を使ってくれて構いませんが、危ない薬品などは持ち込まないようにお願いします。寝る場所はこちらでもいいですが、どうしますか?」
「いや、離れで済むものはそちらで済ますつもりだ。ただ、使えなくなることもあるかもしれない。一部屋借りれるなら借りておきたい」
「わかりました。それから、離れを汚したりしても構いませんが、爆発とかして使えない状態にしたら、その分の修理費用は請求しますので気をつけて下さい」
修理代が欲しいわけではないけど、これでむやみやたらと壊したりはしないだろう。
「承知した。よろしく頼む。早速で悪いが一つ頼みがある」
なんだろうか?
人柄を見て決めたいけど、面接なんてしたこともなければ、されたこともない。
どうしたものか……。
「なんでこの仕事がしたいと思ったんですか?」
「氷魔法が使えるので、自分の力が活かせると思いました」
僕がそれらしいことを聞くと、大体同じような答えが返ってくる。
「なんでこの仕事がしたいと思ったんですか?」
「実は娘が病気で、お金が必要なんです」
こういった答えが返ってくる時もある。
「嘘をついているのじゃ」
オボロが教えてくれる。
オボロは嘘を言っていると空気でわかるらしい。
僕には本当かどうか分からないけど、オボロにはなんとなくわかるようだ。
「娘さんが病気なら街を離れない方がいいんじゃないですか?」
「い、いや……それでも治すために離れてでも稼がないといけないんです」
今の反応で流石に僕もさっきのが嘘だとわかった。
「それでは質問は以上です。あちらからお帰りください」
オボロ達がダメだと言っている人には帰ってもらう。
さっきの人の他にも、複数人募集しているが俺なら1人で問題ないと言う人もいた。
オボロ曰く実際にそれだけの魔力量を保有しているらしいけど、お帰りいただした。
1人でやるかわりに給金を増やすようにも言ってきたからだ。
がめつい人はトラブルを起こしやすい気がする。
後は実際に氷魔法が使えるのか見させてもらって、オボロが問題ないと言う人には別室で待ってもらっている。
結局、50人くらい面接した。
募集する時にコロネさんが殺到すると言っていたけど、その通りだった。
「コロネさんはどの人がいいと思いましたか?」
面接を手伝ってくれたコロネさんに聞く。
「あの人は別として、他の人はあまり差はありませんね。この屋敷に残ってもらった人なら、マオさんが気になった人でいいと思います。でもマオさんがこんなに人の見る目がある人だとは思いませんでした。少なくても私が大丈夫かな?と思う人は全て帰ってもらってましたね」
1人だけ変わった人が来ていたけど、他の人は能力的には同じくらいだと思う。
選ばなかった人には申し訳ないけど、僕の好みで決めさせてもらおう。
「シトリー、この人とこの人を採用するから残りの人には残念ではあるけど帰ってもらって、2人にはこの部屋に来てもらって。それから、この人には別件で話をしたいから部屋に残ってもらうように言っておいて」
シトリーにメモを渡して頼む。
「わかりました」
シトリーが呼びに行き、しばらくして男性が2名入ってくる。
「あなた達を採用することにしました。これからよろしくお願いします」
「ありがとうございます」
「よろしくお願いします」
「雇い主は僕ですが、運搬中に関しては基本的に商品を運んでいる御者の人の指示に従って下さい。シーラの街に向かっている最中に仕事はありませんが、一緒に行動するわけなので、可能な範囲で困っていることがあれば手伝ってあげてください。お給金に関しては、この屋敷まで品物を届けてくれる話になってますので、その時に都度お支払いします。何か質問はありますか?」
「いつから出発になりますか?」
「ここに運搬をしてくれる方が住んでいるので、その人と相談して下さい。次は大体1週間後くらいだと思います」
僕は簡単に地図を書いて教える。
「わかりました」
「他になにか…………なさそうですね。では何か分からないことがあれば聞きに来て下さい。よろしくお願いします」
2人は帰っていく。
これで美味しい魚が手に入るな。
肉なんかも仕入れてもらうように頼んでおこう。
さて、もう一人の人と話をしようかな。
「シトリー、遅くなったけど昼ご飯にしようか。準備をお願い。コロネさんも食べていきますか?」
「ありがとう。いただくわ」
「待たせている人とは食べながらゆっくりと話をするから、4人分お願い。それからみんなの分もよろしく」
「はい、わかりました」
遅めの昼食の準備が出来たところで、集まって食事にする。
「お待たせしてすみません。フェレスさん、遅くなってしまったので、食べながらお話をしましょう」
「ああ、すまないな。それで、私は採用していただけるのだろうか?」
フェレスさんに聞かれるが、先程採用者は決まっている。
「すみませんが、他の方を採用させてもらいました」
「……そうか。あの部屋に私だけ残されたからてっきり採用していただけるのだと思っていたのだが、残念だな。さしつかえなければ不採用の理由を聞いてもいいか?それから、私だけ残された理由もな」
「フェレスさんは魔導士だとおっしゃってましたよね?それで研究を進めるのにお金が必要だと」
「その通りだ」
「まず不採用の理由ですけど、手っ取り早くお金を稼ぎたい、楽して金を稼ぎたいというのが見て取れたからです。能力としてはズバ抜けていましたが、そこまでの能力は求めていません。他の真面目に働いてくれそうな人を選びました」
「そう言われると仕方ないな。手を抜くつもりはなかったが、研究の片手間だと思っておったのは事実だ。それで他に話があるのだろう?」
「はい。別の仕事を頼みたいと思いまして、フェレスさんには他の方とは別で残ってもらいました」
「……何を頼みたいんだ?研究の時間をあまり割きたくないから、あまり拘束されない仕事だとありがたいが」
「調べて欲しい物があるので、それの研究もしてほしいです。これなんですけど、見たことありますか?」
僕は緑色をしたスキル球のような球を収納から取り出してフェレスさんに見せる。
「……見たことないな。とてつもないエネルギーを感じるが、これはなんだ?」
「わかりません。ある事情があって、同じような物をたくさん待っています。心当たりはあるのですが、今は話せません。フェレスさんに頼みたいのはその球の研究です。それから、今は話せませんが色々と問題を抱えていまして、相談役にもなってもらいたいです」
盗んだもので、記憶にあるのに実物がない物に心当たりはある。
ATKとかDEFとかだ。なのでこれを使うと力が増したり、体が硬くなったり、体力が増したりするのではないかとは思っている。
ただ、使った場合にどうなるのかが怖くて使えない。
もしかしたら違うものかもしれないし、合っていたとしても体の許容を超えて上昇して、耐えられなくなって死ぬかもしれない。
フェレスさんは面接の時に、オボロやユメ達を見てすぐに上位の魔物だということに気づいた。
魔力やエネルギーを感じ取る術があると言っていた。
そして、魔物の種類も言い当てたので、知識が豊富だということもわかった。
品物を凍らせる仕事として雇うのは断ったが、稀有な存在だとは思った。
王国といつか対立することにもなるかもしれないので、その時に相談にも乗って欲しい。
「なるほどな。対価は?」
「今フェレスさんが行っている研究にはどれだけのお金が必要ですか?」
「あればあるだけだが、月に大銀貨5枚くらいは掛かっている」
「……それだと当初の仕事で雇ったら足りなくないですか?」
僕が提示したのは2週間間隔に大銀貨1枚だ。
1月で大体大銀貨2枚だから全然足りない。
「貯蓄はある。それに研究で得たものを売って金にもしている。ただ、それ以上に金が減っていくからここにいる」
「そうでしたか。では、月に大銀貨5枚で雇います。研究に使う部屋はこの屋敷を使ってもらって構いません。寝る部屋と食事も用意します。もちろん僕が頼んだ球の研究に必要な物の費用は別途払います。いかがですか?」
「……悪くはない。ただ、お前さんの研究はどのくらいのペースで進めればいい?そちらを優先して私の研究が止まるのでは意味がない」
「そうですね……。1日に8時間は僕が頼んだ物の研究をして下さい。週に2日は休みにします。空いた時間はフェレスさんの自由にして下さい。それから、さっき見せた球以外にも調べて欲しい物が出てきたらそれも頼みたいです。こちらの頼みたい物がない時は毎日自由にしていてくれて大丈夫です」
「本当にそれでいいのか?」
「ええ、もちろんです。ちなみにフェレスさんは何について研究されているんですか?」
「魔法とはなにか?魔法が発動する仕組みとは?どうやったらさらに高度な魔法を使えるのか?そういったことを研究している。魔法は奥が深い。私の師匠は魔法の深淵を垣間見たと言っていた。私は師匠のさらに先をいきたい。深淵を覗き、理解して私のものとしたい」
フェレスさんはなんだか危ない人のような目をしてそう言った。
「あ!…………マオさん、少しいいですか?」
コロネさんが急に声を上げた後、部屋の外に連れ出される。
食事も終わっているので問題はないけど、どうしたのだろうか……。
「マオさん、フェレスさんをどこかで見た気がしていたのですが、思い出しました。鬼才とも奇才とも言われている変人で有名なフェレスさんです。ファウスト家の三男ですが、変人が故に追い出されたと聞いたことがあります。ファウスト家の暴君という通り名でも有名です。腕は確かかもしれませんが、私はお勧めしません。ギルドにも、フェレスさんの家で爆発があるとか、異臭がするとかで、危ないのでやめさせて欲しいとの依頼が度々来ていました」
危ない人のようなではなく、危ない人だったようだ。
「……それでも腕は確かだと思うから採用するよ。でも屋敷内で爆発とか異臭騒ぎにはしたくないから離れを使ってもらうことにする」
「そうですか……」
「教えてくれてありがとうございます」
僕達は部屋に戻る。
「それで受けていただけるということでよろしかったですか?」
僕はフェレスさんに最終確認をする。
「ああ、こちらからも頼む」
「フェレスさんに一つ聞いておくことがあります。フェレスさんの家で爆発とか異臭があるというのは本当ですか?」
「研究に失敗はつきものだ」
否定はしないようだ。
「それではフェレスさんには離れを使ってもらいます。食事やお風呂などはこちらの屋敷を使ってくれて構いませんが、危ない薬品などは持ち込まないようにお願いします。寝る場所はこちらでもいいですが、どうしますか?」
「いや、離れで済むものはそちらで済ますつもりだ。ただ、使えなくなることもあるかもしれない。一部屋借りれるなら借りておきたい」
「わかりました。それから、離れを汚したりしても構いませんが、爆発とかして使えない状態にしたら、その分の修理費用は請求しますので気をつけて下さい」
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