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8.また飲みすぎました
「とりあえず、こんなもんかなぁ…」
予備のキャリーケースと鞄に、スーツと当面の着替え、時計等の貴重品を詰め、見たくもないベッドを横目に部屋を出た。
「神宮寺お待たせ」
「あ、羽柴ぁ、冷蔵庫の酒持って帰っていい?」
「ん?ああ、いいよ。そういえば、こっちにも貰い物の酒が…あ、あった」
キャビネットの奥から、箱に入った酒を何本か取り出す。酒は飲まれてなかったみたいだ。
「うわ!高そうなワイン!!」
「上司から貰ったんだ。せっかくだし今晩飲むか?」
「いいね~!飲もう飲もう!って、明日仕事は?」
「もともと有給取ってるから大丈夫だ」
「なら、決まりだな!帰りにツマミになるもの買って帰ろうぜ!」
「ああ」
取り出した酒を適当な紙袋に詰め、部屋の電気を全て消し、俺達は部屋を後にした。今度来るのは引っ越しの時だろう。結構気に入ってたんだけどなぁこの部屋…。
「羽柴ぁ、エレベーター来たよ~」
「今行く」
こうして俺は、彼女とこの部屋に別れを告げた。
「では、羽柴の新しい門出を願って、カンパ~イ!」
「乾杯、なのか?」
神宮寺の乾杯に疑問を思いながらも、赤ワインを注いだグラスを合わせる。チンと鳴った後、神宮寺はグイっと一気にワインを飲み干した。
「うっま~!」
「いや、ワイン一気飲みって…」
「お店じゃないんだから気にすんなよ~」
神宮寺は、空になったグラスにトポトポと二杯目を注ぎ、ローストビーフを一つ口にする。
「うん、このローストビーフうまい!」
帰りにデパ地下に寄り、総菜とチーズなどを購入した。ローストビーフは俺のおすすめだ。神宮寺は、カプレーゼやマリネ、カナッペを作ってくれた。
「神宮寺の作ったカナッペも美味しいよ」
「へへ、羽柴に気に入ってもらえて良かった」
お酒のせいなのか、少し頬を赤らめた神宮寺が満面の笑みを俺に向けてきた。その笑顔に少しドキッとしてしまった俺だが、気のせいだと自分に言い聞かせるようにグラスに残っているワインを一息で飲み干してしまった。
「羽柴だって一息じゃん!良し!今日は飲み明かそう~!」
その言葉を皮切りに、いつもより速いペースでグラスを明け、ツマミの美味しさもあいまって、いつの間にか二本の空き瓶がテーブルに上に並んでいた。
「じんぐ~じ~…おれってそんらりみろくない~?」
「大丈夫、羽柴は昔っからカッコいいよ」
神宮寺の肩にもたれて愚痴をこぼすと、神宮寺は俺の頭をなでながら慰めの言葉をくれた。その言葉が今の俺にはすごく心地よくて、しつこく何度も聞いていた。
「じんぐ~じ~、きょうはありあとな~」
「どういたしまして」
「じんぐ~じがいてくれれ、ろかった~」
「俺も、羽柴の役に立てて良かったよ」
「ふふ、はやと~ありあと~……」
「また寝ちゃった。…もう、いきなり名前呼びは反則だよ羽柴…」
フワフワとした気分の中、唇に柔らかい感触を感じたような気がしたが、俺はそのまま意識を手放した…。
予備のキャリーケースと鞄に、スーツと当面の着替え、時計等の貴重品を詰め、見たくもないベッドを横目に部屋を出た。
「神宮寺お待たせ」
「あ、羽柴ぁ、冷蔵庫の酒持って帰っていい?」
「ん?ああ、いいよ。そういえば、こっちにも貰い物の酒が…あ、あった」
キャビネットの奥から、箱に入った酒を何本か取り出す。酒は飲まれてなかったみたいだ。
「うわ!高そうなワイン!!」
「上司から貰ったんだ。せっかくだし今晩飲むか?」
「いいね~!飲もう飲もう!って、明日仕事は?」
「もともと有給取ってるから大丈夫だ」
「なら、決まりだな!帰りにツマミになるもの買って帰ろうぜ!」
「ああ」
取り出した酒を適当な紙袋に詰め、部屋の電気を全て消し、俺達は部屋を後にした。今度来るのは引っ越しの時だろう。結構気に入ってたんだけどなぁこの部屋…。
「羽柴ぁ、エレベーター来たよ~」
「今行く」
こうして俺は、彼女とこの部屋に別れを告げた。
「では、羽柴の新しい門出を願って、カンパ~イ!」
「乾杯、なのか?」
神宮寺の乾杯に疑問を思いながらも、赤ワインを注いだグラスを合わせる。チンと鳴った後、神宮寺はグイっと一気にワインを飲み干した。
「うっま~!」
「いや、ワイン一気飲みって…」
「お店じゃないんだから気にすんなよ~」
神宮寺は、空になったグラスにトポトポと二杯目を注ぎ、ローストビーフを一つ口にする。
「うん、このローストビーフうまい!」
帰りにデパ地下に寄り、総菜とチーズなどを購入した。ローストビーフは俺のおすすめだ。神宮寺は、カプレーゼやマリネ、カナッペを作ってくれた。
「神宮寺の作ったカナッペも美味しいよ」
「へへ、羽柴に気に入ってもらえて良かった」
お酒のせいなのか、少し頬を赤らめた神宮寺が満面の笑みを俺に向けてきた。その笑顔に少しドキッとしてしまった俺だが、気のせいだと自分に言い聞かせるようにグラスに残っているワインを一息で飲み干してしまった。
「羽柴だって一息じゃん!良し!今日は飲み明かそう~!」
その言葉を皮切りに、いつもより速いペースでグラスを明け、ツマミの美味しさもあいまって、いつの間にか二本の空き瓶がテーブルに上に並んでいた。
「じんぐ~じ~…おれってそんらりみろくない~?」
「大丈夫、羽柴は昔っからカッコいいよ」
神宮寺の肩にもたれて愚痴をこぼすと、神宮寺は俺の頭をなでながら慰めの言葉をくれた。その言葉が今の俺にはすごく心地よくて、しつこく何度も聞いていた。
「じんぐ~じ~、きょうはありあとな~」
「どういたしまして」
「じんぐ~じがいてくれれ、ろかった~」
「俺も、羽柴の役に立てて良かったよ」
「ふふ、はやと~ありあと~……」
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