再会は甘い始まり~浮気された俺は同級生からの溺愛に癒されてます

syouki

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46.自然でした

喧嘩をしたわけじゃないけど、何となくケーキを買って帰宅した。けど、なんて言って渡そうか玄関前で暫く立っていた。

(普通に…普通に…お土産…よしっ!)

鍵を開けて、玄関を開けるとリビングの扉が開き、エプロン姿の隼がパタパタと出迎えに出てきてくれた。

「お帰り~お疲れ様」
「た、ただいま。これ、お土産」
「ありがとう!ケーキ?」
「あ、うん」
「食後のデザートだね!」
「ああ、コーヒー頼むな」
「任せてよ!」

靴を脱いだ俺と一緒にリビングに戻ると、チーズの匂いが鼻をくすぐった。

「今日はチーズフォンデュにしたんだ」
「へ~家でも出来るんだな」
「俺も家でするのは初めてだよ」

”初めて”という言葉に、少し嬉しくなる。

「あ、今日もごちそうさま。着替えて来るよ」

空のお弁当箱を渡し、着替えるために自室へと戻る。ネクタイを外しながら、一つ溜息をつく。

(良かった~…。いつも通りだ)

けど、昨夜と今朝のキスは無かったことになってるのかと思うと、少し心が痛んだ。

(って、何考えてるんだ俺。竹村に言われたばっかなのに…)

男同士なんだから、友情しかない。ただ、隼のスキンシップが過剰なだけで、それに俺が揶揄われてるだけ。そう、それだけ…。

部屋を出ると、隼が待ちくたびれたかのようにテーブルに座っていた。

「譲、遅いよ~」
「悪い。お~美味そう!」
「たくさん用意してるからね」
「ありがと。いただきます」
「いただきま~す」

チーズフォンデュ用のフォークに、まずは一口サイズにカットされたバケットを刺してチーズを絡める。伸びるチーズをクルクルと巻き取り、ふ~っと少し冷まして口にする。濃厚なチーズに微かに香るワインの匂いがまた食欲をそそる。

「うっま~!チーズめっちゃ美味しいんだけど!」
「良かった~。家にあるチーズ色々混ぜちゃったからどうかな~って思ってたんだけど」
「濃厚で美味いよ!あ、これ何?」
「パンだけだと物足りないかと思って、ライスボール作ってみたんだ」
「へ~」

それは、ケチャップライスをコロッケの様に揚げたものだった。いや、こんなのチーズに合わないわけないでしょ。がっつりチーズを絡めてかぶりつく。

「うん!美味しい!!」
「たくさん食べてね」

その後も二人で食べ進め、気が付けば鍋も具も空っぽで、完食していた。

「ごちそ~さま!あ~お腹いっぱい」
「食べすぎちゃったね。ケーキはもう少し後にしよっか」
「うん。風呂上がりで良いんじゃない」
「そうだね」

鍋のチーズが乾かないうちに水につけ、食器を洗うことにした。もちろん、片付けは俺の役目。

「隼は休憩な」
「うん、ありがと」

キッチンの中に入って食器を受け取り、スポンジで洗う。

「…俺の顔に何か付いてるか?」

隼が目の前に座ったままで、俺の顔をじっと見ていた。

「ううん。譲って良い旦那さんになるんだろうな~って思って」
「それなら、料理のできる隼の方が良い旦那になるんじゃないか?」
「無理無理!俺、こんな仕事で、将来も不安定だし」
「こんなって、隼の仕事は誇っていいと思うぞ。隼の作品を待っている人がいるんだから、こんなって言い方は待ってる人に悪いぞ」

そう言うと、隼の目が見開かれ涙が溢れそうになっていた。

「え?!ちょっ…」
「ごめん。そんな風に思ってるなんて思わなくて…むしろ、ちょっと引かれたと思ってたから…」
「いや、驚いたけど…隼はデザイナーって仕事に誇りを持ってるだろ?誇りを持てる仕事をしてるって、逆に羨ましいよ」
「うん…ありがと」

泣きながら笑う隼に自然と手が伸び、頭をなでていた。

「譲、子供じゃないんだから」
「あ!ご、ごめん…」

手を引っ込めようとしたら、隼に手首を掴まれ、手の甲にチュッとキスをされた。

「ありがと」

そのまま見つめられ、俺の体温は瞬く間に上昇した。


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