もう何も信じられない

ミカン♬

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23 学園祭典

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 学園では再びマリフル様が接触してきました。縁談を断られたと知って教室まで文句を言いに来たのです。

「断るなんてどういう事? お前が彼に何か吹き込んだのでしょう!」

「私は何も知りません。ただ、彼はまだ結婚する気は無いと言ってました」

「こんな良縁を断るなんてあり得ないわ、平民のクセに!」

 ナッシュの悪口に腹が立ちましたが留学前にトラブルを起こしたくないので黙っていると「何をしている」とエドアルト様が来てくれました。

「エドアルト様、この女が酷いのです。私の恋路を邪魔して縁談を潰したのです!」
「何を言ってるんだ?」
「ナッシュと縁談話があったんです。邪魔なんてしていません」

「私は彼を助けてあげたいのです。母親をこの女の叔父に毒殺され今は使用人としてこき使われています。気の毒で胸が痛みますわ」

 さっき『平民のクセに』と言った口で聖母みたいな事を言うマリフル様に、ポカーンと開いた私の口も塞がりません。

「ああ、ふざけた噂を巻き散らしてるのはドナモンド伯爵令嬢だったか。ウェンディと子爵家は無関係だ。これ以上の迷惑行為はクライン伯爵家が許さない」

「マリフル様・・・もうやめましょう」
「そうですよ。相手が悪いです・・・」
 連れの令嬢達が止めると「私は何も悪くないですわ! ウェンディ、覚えてなさい!」と言い残して自分達の教室に戻って行きました。


「今までずっと・・・ああだったのか?」
「今までは陰でこっそりでしたけど、最近は露骨に絡んできます」

 まさかエドアルト様の前でもあの調子とは・・・破談が余程ショックだったのでしょう。

「これからは傍にいるよ」
「いえ大丈夫です」

「ダメだ、絶対に一人にならないように! 留学するまでは離れないからな」
「突然どうしたんですか?」

 エドアルト様に何かのスイッチが入ってしまったみたいです。宣言通り彼は授業以外は私から離れず悪意から守ってくれたのでした。


 *


 留学の準備をすっかり済ませると春の学園祭典の日を迎えました。

 この日は普段の地味な色のドレスから華やかドレスを着て参加できるのです。華美過ぎてはいけませんがそれなりにお洒落できるこの日は女子生徒にとって特別な日なのです。

 昨年のドレスはエドアルト様の瞳のブルーでしたが、今年はナッシュの瞳のパステルグリーンにしました。そしてやはり「赤」は外せません。小さなルビーをあしらったアクセサリーを身に着ければ淑女の完成。

 ナッシュに見て欲しかったのに今朝は挨拶すら来ませんでした・・・残念です。


「おお、お嬢さん綺麗ですね! ああ、学園祭典ですね!」

 朝からテンションが高いヤンに「今日はどうしたの? エスコートに来てくれたの?」と聞けば「いいえ、旦那様に仕事のご報告で参りました」とのこと。

「アニーは元気?」
「元気ですよ。まじめにリハビリやってて足もかなり動くようになってます」

「そう、歩けると良いわね」
「ですねー。早く解放されたいです」

「随分痩せてスッキリしたじゃない」
「80キロ切ったらデブでは無く、名前を呼んでくれるそうです」
「それは楽しみね」

「お嬢さんも今日はお祭りを楽しんできて下さいね!」
「有難う、行ってきます」


 いつも通りマックに「一人になってはいけませんよ」と念を押されて学園の門を潜りました。

 小さな頃から両親が誘拐を恐れて外に出る時は常に傍には誰かがいました。主にヤンだったけど今はアニーに付きっ切り、ちょっぴり寂しいです。


 学園内はすでに熱気が上がって友人達は輪になり、恋人同士、婚約者同士が寄り添っています。


「ウェンディ、おはよう。グリーンのドレスも似合ってる」
 きっと彼が待っていると思いました。藍色のスーツ姿が素敵です。

「おはようございます。これは初恋の色なんです」

「俺は初恋の君ではないけどエスコートさせて欲しい」

「ダンスは参加しませんよ?」

「いいよ、学園生活最後の春だ。友人としてでいいから一緒に過ごそう」

 決別してからの方が身近に感じるなんて不思議です。付き合っていた時は、時々余所余所しくなる彼に言いたい事も言えず遠慮していました。まさか利用されているとも知らないで貴族と平民の差だと思い込んでいたのです。

「今ならいい友人になれそうです」

 私達は腕を組んで講堂へと向かいました。

 学園長や来賓の挨拶が終わるとイベントが始まり、私とエドアルト様は午後までずっと一緒に過ごしていたのですが、最後のダンスイベントが始まる頃になるとソーニア様が私達に近づいてきました。




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