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8) 事件だぜ 

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コアが煩いので《サムネ50コンプリート》を目指し街に出ることにした。
クロがついて来たがったが、黒いスライムって珍しいから見られて騒がれると困るので留守番。

ゲーマーの勘で《サムネ50コンプリート》すると、きっと良いことが起こる。
何でもいいから<コピペ>だ。レアな報酬がゲット出来ますように!

剣士 鍛冶師 木工師 大工 裁縫士 農民 槍使い 採掘士 拳闘士・・etc

同じ職業はペースト出来ない。されるのだ。
慎重に見極めながら<コピペ>は続く。

狩人 魔導士 治癒師 重騎士 商人・・・・・・

商人発見! <ストレージ∞>持っているかも。<コピペ>だ!

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ガウロ 商人 男
職業レベル 150
属性 基礎 火
特性スキル *<ストレージ(小)>
シークレットスキル<xxx>
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(小)だったがポシェットより大きいからOK。


町の探索はまた今度にしようと立ち上がると、怪しい女がいた。
頭からフードを被っていて、その下が緑のジャージだ。
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イブキ オカダ<未定>女
Lv.1 

ーーーーーーーーーーーーー
この名前は日本人だな。

冒険者5人にガードされている。ついでに5人も<コピぺ>だ。
イブキって日本人を、じぃ~と見ていると商人ガウロが幌馬車にイブキ達を乗せた。

ガウロがこちらに気が付いたようで「もしや、ワイルナー伯爵家のシェル様ではありませんか。」と、人のよさそうな顔で声をかけてきた。

「そうだけど 何?」
商人は驚いて口を開けた。ポカーンって顔だな。

「以前お会いした時と雰囲気が違いますな。」
こんなおっさんは記憶にない。

「どこかで会ったっけ? 記憶喪失なんだ。」
「そうなんですか? 私は商人のガウロと申します。シェル様はここで何を?」

「俺 捨てられたんで、飯を買いに来た。」
「そ、それは大変でしたな。捨てられた?」
「そそ、もう平民だ、シェルって呼んでくれ。」

ガウロの顔が歪み、 俺はシェルの品位を木っ端微塵にしてると気づいた。
自身に対して嫌悪感が湧き上げる。ごめん、許せシェル。

「それなら私と王都に行きませんか。王都でお店を開いているんです。
捨てられたなら私が拾いましょう。」そう言ってガウロはにこやかに笑った。

「王都は行ってみたいぜ・・・です。」
「なら幌馬車にお乗りください。」

俺は幌馬車に乗せられてからコアに連絡を忘れたのを思い出した。


イブキは言葉が分からないようで、俯いて怯えていた。
フードを外すと長い黒髪のストレートヘアーが似合う美人さんだった。

幌馬車には俺と護衛冒険者5人とイブキ。
質素な馬車に従者2人とガウロが乗っていた。

王都までは3日もかかるらしい。 
移動中冒険者達からグランダ王国の話やスキルについて教えて貰った。

イブキはで異世界から渡ってきた重要人物らしい。
グランダ王国で探しており見つけた者は報酬が出るそうだ。

イブキを保護したのはワイルナー伯爵領のお隣の領主トップス子爵という貴族で
商売取引にやって来たガウロ商人にイブキを預けたのだと。

(Aクラスの護衛が付いていれば王都まで安全に届けてくれるだろう。)

時間が経つうちに、俺は馬車酔いでダウン。
治癒師にチェンジして回復していたが、またすぐダウン。
我慢できず自身に<気絶>を使った。

ガウロに拾われて初日の夜 俺は宿でベッドに寝かされていたが、気分も良くなったのでイブキが気になり廊下に出た。階段を下りると1階が食堂兼酒場になっている。

食堂の隅でイブキ達は夕飯を、酒場でガウロが従者の1人と酒を飲んでいる。
俺は馬車の旅が辛いので、王都行をキャンセルして貰おうとガウロに近づいて行った。

従者 「いや~いい拾い物でしたね。高く売れそうですね。」

ガウロ 「渡り人も坊ちゃんも美人だ。捨てられたゴミは拾って、どう処分しても文句は言われないさ。」

従者 「女は報酬より売った方が儲かりますかねぇ。」

ガウロ 「国の報酬なんざ微々たるもんさ。トップス子爵には報酬半分支払わねばならん。ヘタな手は打てない。」

従者 「しかし王都で誘拐に失敗した坊ちゃんが、まさかねぇ。」

ガウロ 「これぞ、女神さまのお導きだよ。 はははは」

この坊ちゃんってシェルの事なのか? 誘拐されそうになった記憶が蘇る。
母親を刺され失った事件はガウロが黒幕なのか。
怒りで体が震える。シェルが嘆き怒り狂っている。

ガウロは悪徳商人で、俺とイブキを売り飛ばすつもりだ。
踵を返すといつの間にか後ろに居た男に肩をガシッと掴まれ
「ガウロさん、酔って口が軽くなってますね。」
もう1人の従者に捕まった。


俺は馬鹿だ、なぜ<透明化>しなかったんだ。
縄で縛られてガウロの部屋に監禁された。

従者 「誘拐の件聞かれちゃいましたね。」

ガウロ 「あの時のメイドも始末した、証拠はない。構わんさ。」

今は我慢だ。こいつら絶対に痛い目に合わせてやる。

「僕は何も聞いてないよ。どうせ捨てられたんだ、どうでもいいよ。」

ガウロ 「そうですよ坊ちゃん、大人しくしていれば痛い目にあいませんよ。」

「あ~ 売るならお金持ちの家でお願い。僕は御曹司になりたい。」
それを聞いてガウロは大笑いした。

逃げても良かった。この3人を始末して消えれば済む。
イブキはどうなるのか。トップス子爵はこの悪事に絡んでいるのか。

(よし、王都に行くぜ。ガウロを潰して、イブキを王宮に連れていく。)
俺は従順なフリをして復讐の機会を待つことにした。

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