12 / 123
第1部 第1章 黒ヒーラーと少女奴隷(エロなし)
第7話 隔離された楽園(前半)
しおりを挟む
リリカがアロン島に連れ去られてから、1ヶ月が経とうとしていた。アロン島での生活は彼女には、想像を絶するものであった。想像を絶するほど甘やかされた。もし、誰かがリアムに、「奴隷として考えられない待遇ではないか。」と指摘したならば、彼はきっと、「病人だから仕方なくだ。安静にするためには止むをえん。別にかわいいからかしずいてるとかじゃないからな。」と答えたことだろう。そう、しぶしぶ、あくまでしぶしぶである。
今回はリリカ入島からその後の1ヶ月の雑多な出来事のお話。
リアムはリリカの個室を用意し、温かいベッドをあたえた。扉の隙間をめばりして隙間風を弱め、地べたにゴザを敷いて寝るという生活をしていたリリカは、最初は恐れ多くて触れるのも躊躇された。
(逆に眠れない!)
ベッドを与えられた初日、リリカは床で寝た。それでも隙間風がなく、彼女にとっては心地良く眠れたが、翌朝リアムに叱られた。最近は普通にベッドで寝られるようになっている。夜は、「まるで、あったかい海の中に浮かんでいるよう!」と感動し、朝は、「こんなに目覚めの良い朝は今までなかった。」と驚くばかりだった。
身にまとっていたぼろ布を捨てられたリリカは、着るものが何もなくなってしまったので、当面はリアムの服を借りることとなった。といっても、まともにサイズの合うものはなく、やむなくリアムがインナーに着ているカットソーに(ブカブカだが)袖を通し、ほとんどワンピースのような感じで着こなした。サイズの合う下着もないので、カットソーの下は裸、という格好で屋敷内をウロチョロすることになった。無警戒にチラリズムを乱発するリリカに、リアムは幾度となくムラムラと欲望を疼かせたが、(まー待て、今はまだ病人だから。)と、一生懸命自制していた。とはいえ、この服装ではよほど部屋を暖かく保たないと、身体を冷やしてしまうので、早いうちに洋服の調達は必要であった。
しかし、誰がその服を買うのか、という問題があった。
・世捨て人となったリアムが、また黒装束を着てエルチェリータに繰り出し、服屋で(下着も含めて)少女の服を買いあさる→ありえない。できない。
・リアムがリリカを連れて一緒に買いに行く→ということは、彼シャツ+中身全裸の少女を連れた黒装束の男が、服屋で(下着も含めて)少女の服を買いあさる→いや、無理。もっとありえない。
・リリカが一人で買いに行く→論外
(そういえば、この屋敷に引っ越した際、カーテンやテーブルクロスや室内のあれこれを、用立てるのに、いろんな布をたくさん買ったんだった。あれがまだ余っているから、作っちまえばいいじゃん。)修道士の下積み時代、リアムはほつれた修道服の修繕だけでなく、時間があれば自分で仕立てたりするほど、被服・裁縫関係は精通していた。(それなら着せたい服を着せられるしな。)リアムは、妄想全開でリリカの服を考え始めた。
(よし、メイド服だ!)
・・・妄想全開である。うさ耳をつけるようなデザインを考えなかっただけましなのかもしれない。
「リリカ、いつまでも俺のインナーを着せるわけにもいかんからな。お前の服を作るぞ。」
「え?ご主人様にそんなことさせられません。それなら私が自分でやりますから!」
何としてもメイド服を作りたかったので、リアムは譲らなかった。
「お前、服なんか作れないだろうが。」
「作れます。家では妹たちに作ってましたもん。」
リリカの方も、いくら何でもご主人様に奴隷である自分の服を作らせるわけにはいかないという強い意志で固辞する。
「なら、手伝え。それならいいだろ。」
「え・・・、は、はい。頑張ります。」
結局一緒に作ることで両者は妥協した。紙と鉛筆を取り出して、リアムが構想を絵にする。リアムは絵もそこそこかける。リアムのデザイン画を見ながら、リリカが口を開いた。
「ご主人様、この胸元のくしゃくしゃした感じのは何ですか。」
「これか?くしゃくしゃって言うな。これは、フリルというものだ。ここにある白いレースの布地を使ってな、こういう感じで折りたたんで縫い合わせてだな。」
リリカが、頬を紅潮させて絶句する。
「・・・カ・・・、カワイイ!それ、可愛いです!!」
「そうだろう?お前きっと似合うぞ。」
「リリカ・・・、リリカこれ作ります。そ、袖口にもフリル付けていいですか?」
「おお、いいぞ。で、スカートな、下にこんな感じでパニエを履くことにすると、フワッて広がるんだぞ。これも可愛いだろう?」
「そ・・・、そんな可愛いものがあるんですね!いい!いいです!!それも、作りたいです。」
目をキラキラさせてリリカは同意した。他にもあれやこれや小一時間ほど服のデザインで二人はワイワイやっていた。
ついついリリカは、奴隷であることを忘れて、ノリノリでおしゃべりしていたが、リアムもノリノリだったので、特に叱られることはなかった。
蛇足だが、洗濯とかいろいろ大変なので、カジュアルな作業着なども作った。下着も。
----------------------------
生活サイクルが安定していく過程を描写する回のつもりでしたが、ちょっと長くなりそうなので、前後半に分けました。
リアムは、リリカ以外奴隷を買いませんでした。
元々たたき上げなので、手を動かすことは嫌いではなく、何でも自分でやり、一人で大変なことは魔法で片づけるというスタンスです。
二人だけの閉鎖空間を書きたいというのが、この作品のモチベーションなので、アロン島内は基本的に第三者は登場しません。
うん、歪んだモチベーションです。
今回はリリカ入島からその後の1ヶ月の雑多な出来事のお話。
リアムはリリカの個室を用意し、温かいベッドをあたえた。扉の隙間をめばりして隙間風を弱め、地べたにゴザを敷いて寝るという生活をしていたリリカは、最初は恐れ多くて触れるのも躊躇された。
(逆に眠れない!)
ベッドを与えられた初日、リリカは床で寝た。それでも隙間風がなく、彼女にとっては心地良く眠れたが、翌朝リアムに叱られた。最近は普通にベッドで寝られるようになっている。夜は、「まるで、あったかい海の中に浮かんでいるよう!」と感動し、朝は、「こんなに目覚めの良い朝は今までなかった。」と驚くばかりだった。
身にまとっていたぼろ布を捨てられたリリカは、着るものが何もなくなってしまったので、当面はリアムの服を借りることとなった。といっても、まともにサイズの合うものはなく、やむなくリアムがインナーに着ているカットソーに(ブカブカだが)袖を通し、ほとんどワンピースのような感じで着こなした。サイズの合う下着もないので、カットソーの下は裸、という格好で屋敷内をウロチョロすることになった。無警戒にチラリズムを乱発するリリカに、リアムは幾度となくムラムラと欲望を疼かせたが、(まー待て、今はまだ病人だから。)と、一生懸命自制していた。とはいえ、この服装ではよほど部屋を暖かく保たないと、身体を冷やしてしまうので、早いうちに洋服の調達は必要であった。
しかし、誰がその服を買うのか、という問題があった。
・世捨て人となったリアムが、また黒装束を着てエルチェリータに繰り出し、服屋で(下着も含めて)少女の服を買いあさる→ありえない。できない。
・リアムがリリカを連れて一緒に買いに行く→ということは、彼シャツ+中身全裸の少女を連れた黒装束の男が、服屋で(下着も含めて)少女の服を買いあさる→いや、無理。もっとありえない。
・リリカが一人で買いに行く→論外
(そういえば、この屋敷に引っ越した際、カーテンやテーブルクロスや室内のあれこれを、用立てるのに、いろんな布をたくさん買ったんだった。あれがまだ余っているから、作っちまえばいいじゃん。)修道士の下積み時代、リアムはほつれた修道服の修繕だけでなく、時間があれば自分で仕立てたりするほど、被服・裁縫関係は精通していた。(それなら着せたい服を着せられるしな。)リアムは、妄想全開でリリカの服を考え始めた。
(よし、メイド服だ!)
・・・妄想全開である。うさ耳をつけるようなデザインを考えなかっただけましなのかもしれない。
「リリカ、いつまでも俺のインナーを着せるわけにもいかんからな。お前の服を作るぞ。」
「え?ご主人様にそんなことさせられません。それなら私が自分でやりますから!」
何としてもメイド服を作りたかったので、リアムは譲らなかった。
「お前、服なんか作れないだろうが。」
「作れます。家では妹たちに作ってましたもん。」
リリカの方も、いくら何でもご主人様に奴隷である自分の服を作らせるわけにはいかないという強い意志で固辞する。
「なら、手伝え。それならいいだろ。」
「え・・・、は、はい。頑張ります。」
結局一緒に作ることで両者は妥協した。紙と鉛筆を取り出して、リアムが構想を絵にする。リアムは絵もそこそこかける。リアムのデザイン画を見ながら、リリカが口を開いた。
「ご主人様、この胸元のくしゃくしゃした感じのは何ですか。」
「これか?くしゃくしゃって言うな。これは、フリルというものだ。ここにある白いレースの布地を使ってな、こういう感じで折りたたんで縫い合わせてだな。」
リリカが、頬を紅潮させて絶句する。
「・・・カ・・・、カワイイ!それ、可愛いです!!」
「そうだろう?お前きっと似合うぞ。」
「リリカ・・・、リリカこれ作ります。そ、袖口にもフリル付けていいですか?」
「おお、いいぞ。で、スカートな、下にこんな感じでパニエを履くことにすると、フワッて広がるんだぞ。これも可愛いだろう?」
「そ・・・、そんな可愛いものがあるんですね!いい!いいです!!それも、作りたいです。」
目をキラキラさせてリリカは同意した。他にもあれやこれや小一時間ほど服のデザインで二人はワイワイやっていた。
ついついリリカは、奴隷であることを忘れて、ノリノリでおしゃべりしていたが、リアムもノリノリだったので、特に叱られることはなかった。
蛇足だが、洗濯とかいろいろ大変なので、カジュアルな作業着なども作った。下着も。
----------------------------
生活サイクルが安定していく過程を描写する回のつもりでしたが、ちょっと長くなりそうなので、前後半に分けました。
リアムは、リリカ以外奴隷を買いませんでした。
元々たたき上げなので、手を動かすことは嫌いではなく、何でも自分でやり、一人で大変なことは魔法で片づけるというスタンスです。
二人だけの閉鎖空間を書きたいというのが、この作品のモチベーションなので、アロン島内は基本的に第三者は登場しません。
うん、歪んだモチベーションです。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ブラック企業を退職したら、極上マッサージに蕩ける日々が待ってました。
イセヤ レキ
恋愛
ブラック企業に勤める赤羽(あかばね)陽葵(ひまり)は、ある夜、退職を決意する。
きっかけは、雑居ビルのとあるマッサージ店。
そのマッサージ店の恰幅が良く朗らかな女性オーナーに新たな職場を紹介されるが、そこには無口で無表情な男の店長がいて……?
※ストーリー構成上、導入部だけシリアスです。
※他サイトにも掲載しています。
拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました
星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎
王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝――
路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。
熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。
「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」
甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。
よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、
気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて――
しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!?
「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」
年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。
ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる