異世界創設者の姫は遠征したい!

わまり

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20話 どちらが悪者ですかね

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爆発音のした方へ走って向かう。
ミルが遅いので脇に抱えて走った。
まさかサビエル、やられた…?
いやそんなはずはない。しかし相手の強さを私は知らない。

「ねえぇ!そろそろ下ろしてよー!」
抱えたミルがじたばたと暴れる。

「あんた遅いでしょ、魔力も無いんだし」
そう言って口を手で塞ぐ。「んー!んー!」と言いながらまだじたばたする。
「もううっさいわね!今あんたはほぼただの人なの!」
そう言って再度拘束した。

住宅街を抜け、工場の柵を破って煙の上がっている方向へ向かう。
灯台が無くなっている。あの音と風、まさかプロミネンス?
火が出ていない所を見ると、なんとか引火は免れたようだ。

灯台の跡が見えてきた。無残に鉄の骨組みを残して上半分が崩れている。
その下に助手ともう1人、鎧を纏った者がいる。助手は手を振り上げながら何かを言い、鎧を纏った者は片膝をついて頷いている。

「じい…!!」
脇に抱えたミルがか細い声を上げる。
「ねえあれどうにかしてよ、じいが死んじゃう!」そう私に叫んだ。

「分かってるわよ、私だって殺す気は無い」「でも…」
助手はそうじゃない、私がミルを助けた事を知らないし、捕まえて返す事に従わなかった彼をサビエルは力づくで従わせる。
命令に忠実過ぎるのもどうかと思う。

「早くして!早く!」
ミルがまた叫んだ。

助手に魔法は使いたくないけど…
「分かってるわよ」
振り上げた腕を硬化させる。腕が動かなくなった助手は自分の上げた手を見上げ、そしてこちらを向いた。

「姫…、なぜミルが?」
驚いた顔をしてそう言う。

「助けたの、返してない」
助手に近寄り、言う
「あなたは探すだけで良かったのよ」

「…そうですね、すみません」
そう言って振り上げた白い盾を下ろす。
久しぶりに見たあの盾、それはすぐに消えていった。

ミルをポンと地面に置くと、片膝を付いていた部下が顔を上げてミルを見た。
「姫…ご無事でしたか」
優しげな声でミルに言うと、ミルも部下を見上げた。

「じい…死ななくて良かった、良かったよ…」
普通の女の子の様に立ち上がって部下に駆け寄り抱き着いた。

「すみません、力及ばず」
「心配をかけて…」
部下も手を回す。動かした関節からポロポロと鎧の欠片が落ちた。


「…ん、あんたも怪我したの」
隣に助手が座った。脚の鎧が剥げているし、胴体に着ていた服に血が滲んでいる。

「ええ、まあ」
「…こうしてるとまるで私達が悪者みたいですね」
そう言って助手は苦笑する。

「なに、あんな風にしたいわけ?」
ミルとその部下は幼子とあやす父親の様に見える。魔王だなんて見えない。

「いえ、そんなつもりは」
助手は首を横に振った
「ただ、俺も頑張ったんですよ?」

「ええ知ってる、盾を見たら分かるわよ」
「そうね、お疲れ様」
そう言ってミルの方へ向かった。

まだミルは部下の腕の中で声を上げて泣いていた。
「あんた、ミルを抱えといて」
そう言うと部下は頷いてミルを抱え上げた。そして透明にする。

「人が集まってきてる、さっさと退散するわよ」
助手にもそう言い、ミル達を連れて工場を出た。すでに周りには大量の人だかりが出来ていて、「なにあれ」「灯台なくない?」などと話している。

そこで何があったかを示す剣や鎧の欠片は既に消してしまっていた。壊れた灯台とえぐれたコンクリートを除いては。
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