短編物語パンドラ 【百合】

わまり

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みゆりこ 8

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りこが力を緩めたので、そっと手を離す
「ありがと、みーちゃん」

「うん、じゃあ行こっか」
落ち着いてはいたが、相手の恐ろしさに気付いた為恐怖は大きくなっていた。

枯れ木に注意しながら一歩づつゆっくりと進む。
足音がした。紛れもなく相手のだ。
「りこ」

「うん」

足音の方向から遠ざかる様に進む。
山は寒い為、私達の温度は目立つ筈なのだが見つからないのは相手が鈍いからだ。急な発熱に敏感だと考える。
なら朝になったらどうなるのだろうか。消える?温度を奪うとしたら、暖まった物からどんどん奪う筈だが…

音には反応するのか?熱だけだとしたら、摩擦熱でも敏感に捉えるのかもしれない。急な発熱の場合、小さな温度でも…?

平たい石を取り、地面に平行になるよう意識して投げる。カツンと木にぶつかるが、足音に変化は無かった。

小さな温度では無理か、それと音でも気付かないのかもしれない。なら熱だけ。
太陽の上がる時、気温が上がった時を見て下山しよう。

足音が遠くなっていった。
見つかっていない時は多分、適当に歩いているのだろう。それか小さな温度を…。

何のためにいるのかは分からないが、今はとにかく逃げる事だけだ。
「りこ、戻ろ」
足音がしなくなり、街の風景が見えなくなってきたので元の道へ戻ろうとする。

少し進むと、すぐに足音がした。
ザッ、ザッ、とゆっくりのペースで歩いている。
「近いわね…」

「どっち行く?」

「左。少し降りよう」
そう言ってコソコソと降りていく。なだらかな斜面だが、万が一転がりでもしたら相手に見つかる可能性もあるし、それに怪我するかも知れない。
2人で手を繋ぐ。しかし少し中に空洞を作り、暖まらないようにする。

足音は山を登っている様だった。少しペースが落ちている所に人間のようだと思う。
もし、相手が転がりでもしたらどうなるのだろうか。死ぬのか、いやとっくに死んでいるのか。

「あと5時間もあるのね…」
時計を見て言う。
夜は明けない。次の夜明けを見るにはまず助からなくてはならないが。
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