短編物語パンドラ 【百合】

わまり

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弁明 8

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今日も夢を見る。
私は未来を変えられるのか、を知りたい。
まずは状況を詳しく知らないと。


ーーーーー
「…あ」
微かに声が出る。つっかえが取れたようだ
「…はな、せる」
しかし、まだいつものようには喋れない。

「声、でます?」
医師が顔を覗き込んだ

「はい」
枯れた声で言う。少し低い

「よかった、その調子で行きましょう」
そう言って微笑んだ。

「質問があります」
所々途切れてしまう。

「無理に声出さなくてもいいよ、これ使ってもいいし」
そう言って使っていた玩具を差し出した

私はその上に手を置き、指を滑らせた
まずは被害状況を知らないと…
それから救う方法を考える。
ぱ そ こ ん は あ り ま す か

そうなぞると、医師は私のベッドの背を上げ、テーブルを引き寄せてその上にパソコンを置いた
「何を知りたいんだい?」

じ し ん に つ い て く わ し く

「被害状況でいいの?少しショックを受けるかもしれないけど」
そう言いながらワードを打ち込んだ

私はコクリと頷いた
それでも、知らないといけないんだ。

「このページだよ、マウスあげるから、自由に見て。他のが見たかったら言って」
そう言ってマウスを私の左手に持たせた

スクロールする。
写真とともに文が書かれていた。じっくりと見る。
2017年、2月26日発生した地震はマグニチュード8、震度7で津波の被害がとても大きかったらしい。
震源地は、私達の街から10キロ…近い。
死者は二十万人、行方不明者が五万人近くいるらしい。大半が海に拐われた。

街は真っ黒になっていて、コンクリートは崩れ、山の表面は剥げている。
私の街は大半が津波に飲まれ、生存者は街の5割。

被害が大きい。これじゃとても…
全員助けようなんて最初から思ってなかった。せめて大切な人だけでも…
私の街に関する事がとても少ない。

もっと細部まで知りたい…
犠牲者の名前を眺める。
クラスメイトの名前があった。
私以外、全て…

更に見ると、私の両親、親戚の名前まであった。涙が溢れてきた。
こんなに人が死んでいる…

広範囲に被害が及んでいる。
旅行にでも誘うか?
家族ならともかく、クラスメイト全員は無理かもしれない。どこか被害の受けない場所を見つけないと。
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