ツンに恋する百合カタリ!

わまり

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真面目ちゃんに変態ちゃん!?

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「ツンに恋する百合カタリ!」1


…転校してきてから6ヶ月、クラスの人達とも普通に話せるのに、「友達」というものは一向にできない。
輝かしい高校生活は険しい山のてっぺん。
「1人の方が楽、友達なんていらない」
って言い聞かせてきた。でももうやだ…


その後のクラスにて、顔を赤くしながらもじもじしている子がいた。
(今日も…大丈夫かも!イけるかな!?)
前のクラスの子を思い浮かべながら股間に手を当て、振動しているものを押す。
「んっ…!」
ちょっと無理かも…今日は早く帰ろうかな




靴を履きながらリノは下駄箱を出た。
1番に下校するのが自分の決まり。人が少ないのが好きなんだ。
単語帳をめくりながら石橋をわたる。

後ろから駆け足の音が聞こえてきた。

(友達がいたら振り返ってたな)
なんて思ってしまう。
決して自分にネガティブだとは思わない。少し、ほんの少しついてないだけ…
目頭が熱くなる。

さっきの駆け足をしていたであろう人が私を追い越そうとする…と、突然「ぎゃっ」という声と共に丁度真横にその人が倒れる。

そのままというのも良心が傷つくので、
「だ、大丈夫?」と言いながら手を差し出し、ふとその人が同じ学校の女子制服を着ているのが見えた。

その子が顔を上げる。
茶色がかった長い髪をしていて、いかにもドジっ子、ゆるゆるした外見の子だった。
「あ、やば…!そうだ、ありが…」

彼女がそう言いかけたが、私の視線は彼女の股の下に転がっている、ピンク色の小さなものに目が行っていた。よく見ると振動している。

それが何かと気付いた瞬間、顔に血が登っていくのが分かった。
彼女を見ると、彼女も顔を真っ赤に染め、俯いていた。
「あ、えっ、と…じゃ、じゃあ」
と言い、いち早くその場を去ろうとする。
(あれって、アレよね…!なんであの子が?気まず過ぎる!)

立ち上がった途端、スカートの裾を強く引っ張られた。とても慌てた様子で彼女が
「ま、待って!」
と言い、私の口を手で塞いだ。
「あれは…えっと、あれだから…と、とにかく付いてきて!」
自分は何されるのか分かったものではない。
嫌だという気持ちもあったが、それよりも「友達になれるんじゃ?」というちいさな希望が勝った。

おとなしく付いていくと、彼女の家らしい所に着いた。「桜木」と書いてある。

家の階段を登り、彼女の部屋に入ってゆく。
人形がいくつか置いてあり、普通の女子の部屋、という感じだ。

「誰にも言わないでよっ!?」
部屋に入って最初に言われたのがこの言葉だった。

「そ、そんなの承知してますよ!」
目を合わせられず、俯いて言う。

「見られたからには仕方ないよね、私は桜木百合。あなたは、えーと、小浜梨乃?さんだよね」

少し驚き、
「なんで知ってるの?」
そう言うと彼女は頬を赤くし、
「それは…生徒の名前くらい分かる、よ…」
最後の方につれて声が小さくなっていった。

「ともかく、誰にも言わないでね!折角だから少し話すけど。あなたが思った通り…私は、その…変なの。」

そういいながら、彼女は本棚の裏側を開ける。
まるでモザイクがかかりそうなものが並べられていた。また顔に血が登る。
「ちょっ、えっ、何してるの!?」
目を覆うと彼女の顔が目の前にあった。
「責任とってよ…?」
と、彼女が薄く笑みを浮かべる。

暫く沈黙し、また顔に血が登っていった。
やっと言葉が出た。
「責任って…なにを?」

「一緒に行動して」

「え?なんでよ」

「いいからっ」

言わないと言ったのだから、もうこれ以上関わる必要はないのでは。と思ったが、
友達になれるかも?と思い、つい頷いてしまった。

階段を降りる。
もう1度彼女を眺めるが、やっぱり信じられない。この外見であんな趣味…
彼女と目があった。気まずくなり、目を逸らす。

ドアの前で彼女が
「じゃあね、梨乃ちゃん」
言われた途端、思わず笑みがこぼれた。

「うん。…ユリさん。」

小さくガッツポーズしながら歩き出す。
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