ツンに恋する百合カタリ!

わまり

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だめだって!

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ユリのしっとりとした暖かい息が首筋に当たり、
思わず身体を縮める。

「うぅ…っどう…したのっ……」

力が入らない。まさかこれも計算して…?

「動かないで…いいでしょ、いいよね…?」

「や、…だめだって!」

ワイシャツの下から手を入れようとしていた。
「ちょっと…ほんとに…ひっ…」

押しのけようとするが、空振ってしまう。
ユリの冷たい手が腹部に触れ、
「ひゃっ!」
そして上へ登ってゆく。

「いいよね…こんなに、こんな好きなんだもん…最後まで…」

女の子同士の最後とはなんなの。
頭ではつっこむが、実際は声を出そうとすると息に遮られる。
愛撫される度に喉の奥から短い息が漏れ、ユリの息と交差する。動かされる度悶える。

服の中の手が離れた。
ほっとして薄目を開けると、ユリの手は下半身に。
頭の中に様々なパターンが横切る。
机の一番下の引き出し、そこにはモザイクがかかるようなモノが入っている。
それは最悪のパターン!

ユリの手が下半身に触れ、思わず腰が浮く。

「そこはっ…だめ…!」
「それ以上は色々とっ!」
「うぅ…やだぁ…」

「あっ、これは…」ユリの手が止まる。
見られた。湿っているのを。

顔を手で覆う。やだ…なんでこんな…
ユリの眼はもうダメだ。
(この子…早くなんとかしないと…!)

愛撫される…もうだめだ…

「あ、あかんて!」
更にやってしまった。方言出してしまった。
信じたくないが、興奮している…感じてる。
(どうしてこんな事になったんだっけ…?)

数時間前を思い出す。


この日は午後から雨が降った。
「あちゃ、降ってきちゃったね…」

「梨乃ちゃん傘忘れたの?」

「うん…どうしよっかな…?」

「そ…その…私持ってるから…」

「え?」

「一緒に帰ろ?」

「ほんとに?ありがとー!」

助かったー、そう思っていた。
ユリが戻ってくる。何も持たずに。
「えと…ごめんね、わ、忘れちゃって」

やっぱり。これはまずい…
「いいよ、というか謝るのは私だし」

ユリは本当に申し訳なさそうな顔をしていて、罪悪感を覚える。
「止むまでまと?」

「そ、そうだね…」

そう言い、玄関の階段辺りで10分程待っていた。
そこでユリが思い出したように、
「あ!今日お姉ちゃんが帰って来るから早く帰らなきゃなんだった!」
「ごめん、先行っても…」

リノが寂しそうな目をしていた。
「そ、そうだ!私の家まで来て、そこで乾かしたりしよ?」

リノの顔が明るくなった。
「うん!そうするよ!」

それから走って下校することに。
しかし途中で雷が鳴った。
「これ近いよね!もっと走らなきゃ!」

「う、うん!」

しかしリノはろくに運動できない。
ユリに付いていくのでももう精一杯だ。
二人共顔を真っ青にしながら走った。
そして家に到着、リノは壁によっかかり座り込んだ。
「もうだめ…動けない…」

「わかった、じゃあいいよ、運ぶ」

「ありがと…」

ユリがリノを抱える。
ここでユリは異変を感じていた。
(あれ、お腹から足先までちょっと変…?)
リノを触り、見つめているとそれがどんどん強くなっていった。
(やだ…アソコがちょっとへん…火照ってきちゃったし…)
そこから何も考えられなくなっていった…

ユリが急に止まるので、なんだろうと思いリノが薄目を開けると、ユリにずっと見つめられていた。
胸が騒ぐ。何か起こったのかな?

突然、ユリが自分の部屋へ駆け出した。

(嘘!あんなに走ったのに!?)
そしてリノはベットに寝かせられ、濡れた服を脱がして貰った。
ユリは口元が緩んでいて、風邪じゃないのか、と思うほど顔が赤かった。
安らぎ、しばらく横になっていると
上にユリがかぶさってきた。

「どうしたの?」
と聞いても、とても小さな声で何か言っているだけで、反応は薄い。
急にユリが倒れ、体と体が密着した…

そこから初めに戻る。
(結局なんでか分からないじゃない!)

エスカレートしてゆくユリの手。
また冷たい感触を感じた。
(やばい、パンツを下ろそうとしてる!)

必死に抵抗するが、上手く力が入らない。
(この先何が起こるの…)

そして、ユリの「好きなんだから」という言葉を思い出す。
(あれはどういう意味…?)



突然部屋のドアが開き、
聞き覚えの無い声で
「ユリー!ただいまー♪」

そこでユリは目が覚めたように振り返る。
「お姉ちゃん?」
そこで自分の姉が固まっていることに気付く。
そして後ろに倒れているリノ、自分の湿った手に気付く。理解するのに時間はかからなかった。

「あ、その子が…?ご、ごめん…と、ごゆっくり…」
姉がドアを閉めようとする所で、

「ち、違うの!お姉ちゃん!って何が違うのかだけど…とにかく違うのぉ!」
そう言ってももうドアは閉まっていた。
顔を真っ赤にし、振り返る。
そこには服がはだけて息の荒いリノがいた。
何をやったのか理解できた。
(あ…よくわかんないけど、終わった…)
意識が遠くなる。



リノはユリが倒れているのに気付いた。
(さっき来たのがお姉さん?とにかく助かったぁ…)

「ユリちゃん、大丈夫?」
手を伸ばすが、力が出ない。
足もしびれ、動かすとくだけてしまう。
揺さぶってみるが、反応がない。
(これって、失神!?)
服をかき集め、頑張って声を出す。
「あ、あの!お姉さん、来てください!」

数秒後、その人が来た。
大学生くらいだろうか、ユリと似て、長い髪を真ん中辺りで止めている。
「ごめんね梨乃ちゃん、説明は後でするから」

なんで私の名前を?
しかし、上手く頭が回らない。
壁に寄りかかり、目を閉じた。
ユリの言った「好き」という言葉が浮かぶ。

そのまま眠気が来た。そして布団に倒れ込んだ。
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