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す、好きな人って…!
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「それで…ユリちゃんは?」
リノはおずおずと訪ねた。
「ユリなら今トイレにいる」
ユリの姉、桜木結衣は済ました顔でいた。
「え、それって…」
「ショックだったんだと思う、起きた途端駆け出していっちゃった。」
「そうですか…なんか私まで申し訳なくて」
「いや、梨乃ちゃんは悪くないよ。じゃあ説明するね」
「はい」
「彼女、ユリはある癖があってね…」
「それがちょっと厄介なんだ。」
「それがさっきの…?」
「うん。彼女、体が弱った状態で『好きな人』に触れると、興奮して我を失ってしまうんだ。」
顔に血が登ってゆくのが分かった。頬に手を当て、目を逸らす。
「す、す好きな人って…私を…?」
前にユリが「好き」と言っていたのを思い出す。
(ほんとだったんだ…)
「まあそうだね、それにあの子、覚めた後は何も覚えてないみたいなの。それと詳しく言うと、10秒程度触れたらそうなるみたいなんだ。本人曰く、だんだんうずうずしてくるとか。」
「お詳しいんですね…」
「うん。あの子、前は重度のシスコンだったんだよ」
「えっ…」
「ちょっと長くなるけど…」
そう言い、話し始めた。
あの子が小6、私が中学生だった時の事なんだけど、あの子冬の日に風邪引いちゃって。
あの子体強いから大丈夫だと思っていたんだけどね…風邪が悪化して、寝たきりになってたの。
「ユリ、大丈夫?」
「お姉ちゃん…?ごめんね、迷惑かけちゃって…中学も休ませちゃって…」
「いいんだよ、ユリが大事」
「ありがと…」
虚ろな目でずっと私を見てた。
あまりにも苦しそうだったから、固く手を握ってやったんだ。
握っていると更にユリの息が荒くなっていって。
「だ、大丈夫!?」
「ごめん…なんか変な感じ…」
それから少ししたら急に起き上がって私に抱きついてきたの。
「どうしたの?もう大丈夫?」
何を言っても反応がなくて。
それにあの子、風邪とは思えない程強い力で抱きついてきたんだ。
まあ小6だったから大した知識はなかったんだろう、ひたすら抱きつかれてただけだった。
にしてもリノちゃんは不運だね、あの子が成長した後にこの状態になっちゃったんだもん。
その後も彼女が中学生の間数回あって。
その間にあの子の癖にも気が付いたの。
「そうなんですか…」
「うん。でもああいう時は無理して拒否しないでね。ゆっくり慰めてあげるのがいい」
「分かりました!」
「それとね、あの子、高校に入ってから変わったのよ。私があの子に10秒程度触れてもなんも起こらなくって。シスコンでもなくなったみたい。」
「男の子かと思ってたんだけど…まさかあなただったとはね…」
そう言い、笑みを浮かべた。
「今日はもう遅いし、泊まっていく?」
「でもお邪魔じゃないですか?」
「大丈夫、それにその方があの子の為にもなる。」
「じゃあお言葉に甘えて…」
「両親に電話かけておきます。」
「じゃあ私は戻るね。」
「あの子まだ閉じこもってるみたい。私はもう何もしてあげられないから、リノちゃん、あなたがあの子を助けてね。」
「は、はい!」
結衣は部屋を出ていった。
「ユリちゃん…」
『好きな人』という言葉を思い出し、また顔を赤くする。
「恥ずかしい…!!」
胸が苦しくなり、うずくまる。体中が熱い。
(いかなきゃ…)
「友達なんだから…!!」
立ち上がり、ドアを開けた。
リノはおずおずと訪ねた。
「ユリなら今トイレにいる」
ユリの姉、桜木結衣は済ました顔でいた。
「え、それって…」
「ショックだったんだと思う、起きた途端駆け出していっちゃった。」
「そうですか…なんか私まで申し訳なくて」
「いや、梨乃ちゃんは悪くないよ。じゃあ説明するね」
「はい」
「彼女、ユリはある癖があってね…」
「それがちょっと厄介なんだ。」
「それがさっきの…?」
「うん。彼女、体が弱った状態で『好きな人』に触れると、興奮して我を失ってしまうんだ。」
顔に血が登ってゆくのが分かった。頬に手を当て、目を逸らす。
「す、す好きな人って…私を…?」
前にユリが「好き」と言っていたのを思い出す。
(ほんとだったんだ…)
「まあそうだね、それにあの子、覚めた後は何も覚えてないみたいなの。それと詳しく言うと、10秒程度触れたらそうなるみたいなんだ。本人曰く、だんだんうずうずしてくるとか。」
「お詳しいんですね…」
「うん。あの子、前は重度のシスコンだったんだよ」
「えっ…」
「ちょっと長くなるけど…」
そう言い、話し始めた。
あの子が小6、私が中学生だった時の事なんだけど、あの子冬の日に風邪引いちゃって。
あの子体強いから大丈夫だと思っていたんだけどね…風邪が悪化して、寝たきりになってたの。
「ユリ、大丈夫?」
「お姉ちゃん…?ごめんね、迷惑かけちゃって…中学も休ませちゃって…」
「いいんだよ、ユリが大事」
「ありがと…」
虚ろな目でずっと私を見てた。
あまりにも苦しそうだったから、固く手を握ってやったんだ。
握っていると更にユリの息が荒くなっていって。
「だ、大丈夫!?」
「ごめん…なんか変な感じ…」
それから少ししたら急に起き上がって私に抱きついてきたの。
「どうしたの?もう大丈夫?」
何を言っても反応がなくて。
それにあの子、風邪とは思えない程強い力で抱きついてきたんだ。
まあ小6だったから大した知識はなかったんだろう、ひたすら抱きつかれてただけだった。
にしてもリノちゃんは不運だね、あの子が成長した後にこの状態になっちゃったんだもん。
その後も彼女が中学生の間数回あって。
その間にあの子の癖にも気が付いたの。
「そうなんですか…」
「うん。でもああいう時は無理して拒否しないでね。ゆっくり慰めてあげるのがいい」
「分かりました!」
「それとね、あの子、高校に入ってから変わったのよ。私があの子に10秒程度触れてもなんも起こらなくって。シスコンでもなくなったみたい。」
「男の子かと思ってたんだけど…まさかあなただったとはね…」
そう言い、笑みを浮かべた。
「今日はもう遅いし、泊まっていく?」
「でもお邪魔じゃないですか?」
「大丈夫、それにその方があの子の為にもなる。」
「じゃあお言葉に甘えて…」
「両親に電話かけておきます。」
「じゃあ私は戻るね。」
「あの子まだ閉じこもってるみたい。私はもう何もしてあげられないから、リノちゃん、あなたがあの子を助けてね。」
「は、はい!」
結衣は部屋を出ていった。
「ユリちゃん…」
『好きな人』という言葉を思い出し、また顔を赤くする。
「恥ずかしい…!!」
胸が苦しくなり、うずくまる。体中が熱い。
(いかなきゃ…)
「友達なんだから…!!」
立ち上がり、ドアを開けた。
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