ツンに恋する百合カタリ!

わまり

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ほんとはね、私

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ユリはトイレの個室内に座っていた。
(また…またやっちゃった…)
(前まではお姉ちゃんだったからまだ良かったけど…リノちゃんは…きっと)
(嫌われてるよ…)
胸が苦しくなり、嗚咽を漏らしながら涙をたらす。

最初の友達で初恋の人。やっと接点が出来て友達になれた。それなのに…
(いやだ!いやだ…!こんなに好きになったちゃったのに…!嫌われたくないよ…嫌われたくないよ!)

うずくまりながら何度も床に頭を叩きつける。
「リノちゃん………!」




「ユリちゃん!!」
個室の外から声がした。
リノの声だと分かった途端動悸が激しくなり、苦しくなる。
(なにか言わなきゃ…!嫌われたくない…!)
「う…あ、あの…」

「何も言わなくていいよ…」

「ご、ごめん!ごめんごめんごめん!!」



「私は大丈夫だよ。」
穏やかな声でリノが言った。
「謝らなくてもいいんだよ」

「リノちゃん……!」

「出てきてなんて言わない。ユリちゃん、私はここにいるから、ずっといるから。」

「………っ!」
目の奥が熱くなる。しかしこれは悲しくて泣いているわけではない


「私ね、中学生の頃プライドが高くって。中2からずっと友達いなかったんだ。」
「それでもずっと自分に言い聞かせて我慢してたの。『友達は必要ない』って。」
「でも本当は寂しかったの。」

ユリは涙を拭う。

「そんなときユリちゃんと出会えた。私は何も言わなかったんだけど、本当に嬉しかったんだよ?」
「友達ができた事がね」
「でもそれは誰でも良かったんじゃない。ユリちゃんが良かったの。」

「リノちゃん…!」
さらに胸が苦しくなる
(そんな子に私はあんなことしちゃったんだ…)

「ただの友達じゃない、そして親友以上なんだよ。」
「だからちょっとやそっとの事で嫌いになんかならないよ。例えさっきのでも。」
「こういうのも何だけど、さっきの本当は嬉しかったんだよ?内容はああいうのでも、ユリちゃんは私を思ってくれてるんだって。」
「だからこれからもずっと一緒にいたい。」

声を上げて泣いた。
好きになって良かった、ずっと想っていて良かった。(私も、私も一緒にいたい!)
「ごめんねリノちゃん…!ごめんね…!」

「だから謝らなくていいって」と優しく言う

「私も…!私もずっと一緒がいい!リノちゃんとずっと一緒にいたいよ!」

「うん。私も」

ドアを開け、リノに飛びつく。
そしてずっと泣いていた。その間もずっとリノはユリを抱きしめていた。


少し落ち着いてきて、外を見ると真っ暗だった。
「リノちゃん…もう時間…」

「大丈夫だよ、私泊まっていくから」

「いいの…?嫌じゃない…?」

「嫌じゃないよ、それにこのままユリちゃんを置いていけないよ。明日は学校休みなんだから。」

「ありがとう…私、リノちゃんと友達なれて本当に良かった」

「私もだよ。」



ユリの部屋で、同じベッドで布団に入った。
少し狭いせいか、肩と肩がくっつく。
「狭くない…?」

「うん。それにくっついていた方が安心しない?」

「そうだね、ありがと…」と、微笑む



リノはユリが言った「好き」という言葉を思い出した。そして
「ねえユリちゃん…」
と言い、言葉を切った。
ユリはすっかり寝ている。泣き疲れたのだろう。
私の手をしっかりと掴んでいる。
(この事は言わないでおこう。)
そう心に決め、目を閉じた。


目を覚ますと窓から日が差し込んでいた。
「ユリちゃん?」

ユリは横で寝ていた。
そして目を覚ますと顔を赤くした。
「リ、リノちゃん!?なんでここに?」

「ほら、昨日泊まったじゃない」

「そ、そうだった…」

「ユリちゃん」

「は、はい!」

「かしこまらなくてもいいのに」と微笑んだ。
「これからも、よろしくね」

ユリは顔を明るくし、
「うん!こちらこそ!これからもずっと一緒にいようね!」
そう言い笑った。
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