★淫・呪・秘・転★カテナ・コピディタス編

流転小石

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第一章 龍国と地上世界

第23話 2人の関係

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長い時を経て龍族達の住む国は眷族の繁殖や地上世界から優秀な種族の引き抜きに、文明の産物も多く取り入れていた。

魔素を体内にやどし、魔法を使う種族からは魔法と魔導具を。
魔素の少ない種族からは魔素を必要としない道具や別の動力源を必要とする機械と呼ばれる物を取り入れた。
それらが龍国の僕達によって魔導機械と呼ばれる物に発展していった。

地上世界の者達は始祖龍スプレムス・オリゴーの殻を月と呼んでいた。
そんな月は自転しない。たえず一方向を向いているのだ。
スプレムスが飛び出した穴は地上とは反対面の為に見る事は出来ないが、綺麗に擬装され表面上は穴など皆無なのだ。

だが出入口は存在する。
隕石の衝突跡の陰に隠れる様に開閉する扉が数か所あるのだ。
もっとも龍国の住人達は転移で外に出る事も可能だ。

龍種は宇宙空間での活動も可能だが、アルセ・ティロによって衛星内を木々や植物で満たされた世界は十分な酸素を保有し、酸素呼吸を必要とする末端の眷族や地上世界から連れて来た者達は、宇宙空間で活動する為に作られた専用の魔法を使い、地表での研究も行なっている。

擬装された天井からは太陽光が差し込み、龍国内を照らしていた。
また、太陽光が入らない夜になると中央の御柱みはしらと決められたが柱が魔法を使い輝いて国中を照らしていた。

そんな龍国内の、とある塔から数人が衛星外へと転移した。

転移したのは七天龍のセプティモ・カエロと使徒のフォルティス・プリムに第1ビダのヒラソルだ。外界に出たら変身を解き本来の姿に戻り魔素を使って飛行する一行だ。

第2ビダのシエロと龍人のインスティントは留守番だ。とは言えシエロは魔法の開発に従事しているし、インスティントはようやく成龍に変身出来るようになったので、しばらくは国内の中央にある巨大空間で飛翔や成龍体での訓練があるのだ。

セプティモは始祖龍である母から広大な暗黒空間(宇宙)の調査と監視を任命されたのだ。
母曰く、子供達の中で最も強い力を持つあなたが探求し、外敵と遭遇しても不覚を取る事も無く殲滅し監視領域を広める事。と任務を命ぜられたのだ。

もっとも当のセプティモは母の御世辞を鵜呑みにはしていない。
姉達2人には敵わないと自覚しているのだ。
今や姉達2人して妹を最強だと褒め称えるが、セプティモが成龍となる前に全力で力を使い戦ったにも関わらず、姉達2人はケロリとしていたのだ。
聖なる姉には完璧に防御されて、暗黒たる姉には何をされたのか理解出来ない程、自分の攻撃が無力化されたのだ。
それ以来強さに固執した魔法関係の開発に特化しているがセプティモの眷族だ。

そして母達が仕事でしばらく留守をする事で一番嬉しがっているのはインスティントだ。
何故なら、中央の巨大空間で成龍体の訓練を監督するのは大好きなフィドキアなのだから。

親達の予定を聞いた数日前からインスティントの心は浮かれていた。
(ああぁぁフィドキアァ。また2人だけで一緒に居れるのね。ウフフフ)

フィドキアから教えられるのは成龍体での基本的な動作と攻撃だ。
アィドキア以外の二足歩行型として産まれた龍人には成龍体へ変身が可能になってから体に慣れる為練習するのだ。
ラソンも指導したし、カマラダとバレンティアも予定に入っている。
魔法攻撃の練習は外界に転移して宇宙空間で行なわれる。
そして戦闘訓練だ。
成龍体では活動する機会が無いため、フィドキアが龍人の全員を指導するように神と崇める存在からのお達しなのだ。

龍種達は属性直系が眷族で、出生段階が同族と言う区別を取っている。
暗黒龍テネブリスの眷族は使徒のベルム・プリムから先の者達だ。
テネブリスの同族は聖白龍アルブマと姉弟達五体だ。
あたりまえだが始祖龍スプレムスの眷族は全ての龍種で同族はいない。
龍種として一括り出来るが、眷族達から反対意見が出たからだ。
眷族の末端龍種は知らないが、始祖龍以下三代は途轍もない力と巨大さで他を圧倒するとフィドキア先生が若い龍人達に教えていたからだ。

偉大なる存在。
それが地上世界から引用した神と呼ぶ存在に相応しいとフィドキアが力説していたのだ。
そんなフィドキアはアルブマが生誕した以降、全ての龍種の誕生を目の当たりにしており、全員がフィドキアの世話になっている。
全ての龍種はテネブリスの眷族を手本として成長し、言語や生活習慣も同様だった。
唯一違うのは属性による特性と個性であろう。

親達を見送り、浮かれて中央空間へと出向くインスティント。
(あぁ早く一緒に飛びたいなぁ)
二体で飛翔する光景を思い描いてウキウキ気分で走って行く赤い髪の女性だった。

その事を知っていたのは、遠くからその光景を見ていた金色の髪を持つ者だ。
可愛いかった妹が、ある時から同じ者を好きだと公言するようになったのだ。
普段は仲の良い関係だが、特定の者が近くに居たりするとお互いが意識しだして、それぞれが相手の気持ちを知る事になったからだ。

※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero

ある時、些細な事で衝突した事が有った。
普段からインスティントがフィドキアに対しての馴れ馴れしい態度が気に入らなかったラソン。2人きりの時に小言を言ったのだ。

「インス、お母様達がいらっしゃる時はもう少し”ちゃんと”しなさい」
「何よそれぇ。私はちゃんとしてるわ」
「してないから言ってるのよ」
「何をしていないのか具体的に言ってよねぇ」
インスティントに指摘されて小声らなるラソン。
「・・キアとベタベタしないの」
「えっ、何ぃ?」
「・・・」
「もう聞こえないって」

恥ずかしさの余りやけになるラソンだ。
「あぁもう、フィドキアと馴れ馴れしくしてはダメなの」
「えー何でよぉ。別に良いでしょぉ」
「そ、それはぁ。あなたがベタベタすると周りの者が不快に感じるからよ」

ニヤリと微笑むインスだった。
「わたし、知ってるから。姉さんがフィドキアの事を好きな事」
「なっ!」

ラソンが何言ってるの、違うわよと言う前にインスが続けた。
「知ってるけど私も好きなの。良いでしょ?」

2人はお互いの性格を理解している。
片方は知的で冷静に考えて行動する。
片方は感覚と感情で素早く行動する。

お互いの性格と思い人を慕う気持ちが無言の目線で応戦している。
しかし、直情型の反応が早かった。

「あの人の心をどちらが先に奪うか競争よ、姉さん」

一方的に宣戦布告されて動揺するも、自分の方が妹より先に好きになったと自負が有るのか口から出て来た言葉に自分でも驚く事となる。

「私からあの人を奪うなんて出来ないわよ。あなたよりもずっと長い時を一緒に過ごして来たのだから」

優雅に微笑んで返すラソンにイラつくインスが口撃を放つ。
「そうかしら、フィドキアも若い龍が好きみたいだしぃ」
「ふん、何も知らない子供が随分と知ったような事を言うわねぇ」
「だってフィドキアって凄く説明上手だし、尻尾も絡ませてくるのよぉ」

インスの作り話しだが、尻尾の部分が癇に触れたのだろう。そこからはインスの幼かった頃の話を引き出して一方的に問い詰めるラソン。流石に舌戦では勝ち目が無いと思い悪態をついてその場を離れようとする。

「フンだ。姉さんが意地悪するならフィドキアに言い付けるんだから」
「な、そんなことしたらどうなるか解っているの?」
「インス知らなぁい」
「クッ、こらぁぁぁ!」





Epílogo
恋の好敵手は思い切った方法を使う事になる。
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