★淫・呪・秘・転★カテナ・コピディタス編

流転小石

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第一章 龍国と地上世界

第26話 それぞれの思い2

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至福の時。
しかし、それはいつしか焦りに変わっていた。
何故ならば、定められた時の期限が迫っているからだ。
なのに、全く懐妊の兆しが無いのだ。
予兆も母から聞いており、あらゆる手段を講じて来たにも関わらず、懐妊しないのだった。
そして焦りが苛立ちとなり、相手にぶつけてしまう事もある。

本龍は理解しているつもりだった。
短い期間での繁殖は賭けだったと。
インスよりも先にフィドキアの側に居たかった思いが、その夢は壊れかけていた。
無口なフィドキアと些細な事で口論となるが、思いをぶつければぶつけるほど相手は口を閉ざしてしまう。
やるせない気持ちが龍人としての職務を停滞させる程だった。

「ラソン。貴女の気持ちは解かるわ。でも限られた残りの時間を悔いの無いようにね」

母からの言葉にも頷くだけだ。
解っている。
自分の望んだ事だ。
理解している。
今、何をするべきかを。

この数日、口喧嘩が元でフィドキアと会っていない。
やるべき事は謝る事。
そして全ての愛を捧げる事。
例え結果がどのようになろうとも・・・
許された時を一緒に居たい。
「フィドキアァ・・・」

※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero

そんなラソンが絶好調だった頃、インスティントの耳に僕から情報が入って来た。

「ラソン様とフィドキア様が交配されているとの事です」
「ふぅ~ん。じゃあたしも交配しようかな」

あっけらかんとしたインスティントが僕に事情を探らせた。
僕同士で情報の共有も行なっているが、恋愛関係の情報は僕達にとっても楽しいネタなのだ。

ラソンは恋愛感情の元で自然交配を基本に考えているが、龍国では龍為的な交配も実験的に行われている。
多種多様な交配で生み出された新種は地上世界に放たれて観察される。

ある時、フィドキアに思いを打ち明けたインスだった。
「ねぇ、あたしも貴男と交配したいなぁ」
「・・・今は出来ない。それに我らの交配は神からの命令だ。我らの一存では出来ないのだ」

あっさりと否定されたが、決定的な情報を入手したインス。
(じゃ、お母様にお願いして、神様に何とかしてもらおう)

安易な発想の元、母である第1ビダのヒラソルに懇願した。
「ねぇお母様。あたしもフィドキアと交配したいよぉ」

突然の問いかけに訳が解らなかったヒラソルは詳しくインスに確かめた。
「・・・そう。だったら我が創造主たるフォルティス・プリム様にお願いするよりも、テネブリス・アダマス様に掛け合った方が良いわね」

ヒラソルの母、使徒のフォルティス・プリムは七天龍セプティモ・カエロと外出が多い。
閉ざされた龍国から出て、宇宙空間を探索しているのだ。その大事な仕事中に娘の我が儘をお願いしたりはしないし、より良い方法を知っているからだ。

一応名前は”姉の物”となったが、本龍からは以前と変わらなく接して欲しいとの要望で、ヒラソルにナルキッスとプリムラにも定期的に会っていたロサだ。

無論、会って何をするのかは言うまでもない。
それぞれに永遠の愛を確かめる為だ。

だが、フィドキアの交配に関してはヒラソルも知らない事だっだ。
そんな事をするのは”姉”の企みに決まっている。
そんな企みに横槍を入れようとする妹が動く事にした。

そんな思いを胸に、定期的に訪れるロサに詰め寄るヒラソルだった。
「ロサッ、貴男にお願いがあるの。あたしのお願いだから叶えてくれるわよね」

会って早々に迫ってくるヒラソルに狼狽えるロサだ。
「フィドキアとラソンが交配しているそうじゅない。何故あたしには教えてくれなかったの? インスが焼餅焼くとでも思ったの?」
「んっ、あっああ。そうだなぁ」
内緒にしていた事がバレたので、しどろもどろのロサだ。

「インスは女の子よ。そしてフィドキアの事が好きなの・・・何を言いたいか解かるわよね」
「・・・まぁな。だがカマラダやバレンティアも居るではないか」
「あの子達は若すぎるわ。それにインスの気持ちが大事よ」
「・・・」
一応困った表情を見せるロサ。
「それとも姉さんの子だけを受け入れて、あたしの子はダメだって言うの!?」
眉間にシワを寄せて怒気が膨らむヒラソルの顔にゾクッとしたロサだ。
「まっ待て、ヒラソル。話せばわかる」
「へぇ、何を話すと言うのかしら。教えて頂戴」

龍種の中では最強を誇るセプティモ・カエロの眷族と認識しているロサだ。
ヒラソルと争う事など無いし、愛する者を傷付ける事など絶対に無いと考えているロサだ。

「あれは我らが神の決めた事だ。我らがフィドキアに命じた事では無い」
本当の事だが、責任転換してヒラソルの怒気を治める事に成功する。

「じゃ姉さんが神様にお願いしたのね。だったらあたしもお願いするわ。テネブリス様からの命令だったら問題無いわよね、ロサ?」
「あっ、ああ」

※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero

ヒラソルは宇宙探索から戻って来た母、使徒のフォルティス・プリムと七天龍セプティモ・カエロに説明した。

「ヒラソルよ。ではインスは強い子を作れるのだな?」
「勿論です、我が神よ。フィドキアとインスの子であれば間違い無く」
「そうか。じゃ、姉さんに掛け合って来るか・・・」










Epílogo
セプティモ・カエロの姉とは漆黒の髪を持つ女性の事です。
龍為的=人為的


この後重大な事件が発生するが”第2章テネブリスの回想”で明らかになります。
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