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第一章 龍国と地上世界
第33話 ある家族の記憶
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あの男と決して同じでは無い。
良く似ているだけ。
髪や瞳の色も違うのだから。
(でも何と無く話し方も似てるのよねぇ・・・)
そう思いながらも、既に心を許しているラソンだった。
2人は魔物を倒した後、一緒に街に行く事になった。
聖なる泉を管理する者などと適当な事を言ったが、更に森の奥に隠れ住んでいた事にする。
そして街に行きしなにセジから仲間になって欲しいと申し出を受けた。
仲間には魔法使いや回復役も居るが、自身が目の当たりにした魔法を使える者は未だかつて見た事が無かったからだ。
そんな魔法を使える美しい女性を頬っておくほど愚かでは無いし、街に行けば男共が良い寄って来るのは火を見るより確かだ。
「いいわ。でも条件が有るわよ」
「何だ、言ってみろ」
「貴男の子供が欲しいわ」
「なにぃっ!」
死ぬ寸前の所を助けてもらった女。
ついさっき知り合った女に子種を求められてしまったセジ。
これが、容姿に問題が有れば即座に断っただろう。
だがしかし、美しいのだ。
それも自身が見て来た女性の中で一番の美女だ。
それに未知の魔法を扱い、自分に言い寄って来る。
まるで夢のような話だ。
理性は警戒するが、本心は凄く嬉しいセジだった。
「わ、我で良いのか?」
「ええ」
ニッコリと微笑むラソン。
髪と瞳の色が違うが、あとは非常に良く似ているとセジの一挙一動を観察するラソン。
(まさかあの人の眷族の末裔も入っているのかしら?)
その可能性は有るだろう。
しかし、都合良く北の妖精王の管轄に居たものだと感心する。
しかも自身が繁殖に来た、この時期に丁度良い成体になっているからだ。
何者かの関与も脳裏をかすめたが、そんな事が可能なのは自身の両親くらいだ。
余計な詮索はせずに、唯一好感が持てた眷族の末裔に対して即座に交配の申し出をしたラソンだった。
セジからあっさりと承諾を取り、当分の間一緒に行動する事にした。
※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero
年月は流れ、2人には娘が産まれた。
ラソンに取ってはわずかな時だが、セジの暮らす地方は小国が乱立し互いが覇権を争う戦乱の時代だった。
そんな中で、セジと仲間たちが頭角を現してくる。
陰で力を貸していたのはラソンだ。
数人の仲間が集団となり、覇軍となって愚かな統治者を倒し、民衆の支持を得ていく。
そんなセジに良くも悪くも噂が流れる。
セジの妻となっていたラソンの事だ。
何故ならば、一向に歳を取らないからだ。
出会った時と変わらぬ美しさのままで居れば誰でも不思議がるだろう。
時を同じくして、セジを中心とした集団が国落としを始める。
近隣の部族を取り込み数千人となっていた一団は大きな賭けに出た。
ここまでの大群になれたのは理由が有る。
ラソンの加護だ。
無論内緒で行なっている。
自称聖なる泉の管理者として、お祈りを捧げる行為がセジの率いる軍を全戦全勝となる要因として知れ渡っていたのだ。
そして今後は15歳となる娘が成人として母に替わり祈りをささげる事となる。
もっとも、セジの目標だった国落としの後に建国を行なう所まではラソンが面倒をみると約束していたのだ。
※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero
愚帝を滅ぼし、新たな国を興したセジは忙しかった。
新国王とはいえ、国は荒廃し、隣国は戦々恐々なのだ。
しかし、そんな状況でもラソンの判断で全てが良い方向で進んで行った。
区切りの付いた所で、セジに予言するラソン。
「娘が婿を取れば私は一旦泉に戻る事にします」
セジは解っている。
今までの成功は全てラソンのお蔭だと。
だから抵抗した。
「許さんぞラソン。我の側から離れるな」
そんな事を言っても無駄な事。
例え牢に入れられたとしても転移するだけの事だから。
どれだけセジと話をしても平行線だった。
当然だろう。
だがラソンにはもう1人説得する者が居た。
それは年頃になった娘だ。
母に似て美しく、引く手あまたの美少女に成長している。
「ダリア、以前から言ってあるけど、あなたが結婚したら私は一度国に帰るからね」
「お母様・・・いつもそんな事ばかり言って。私は結婚なんてしないわよ!!」
最近、母娘の会話はこんな繰り返しだ。
しかし、本人の意思とは関係無く運命は訪れる。
アレだけ抵抗していた娘が恋に落ちたのだ。
手の平を返すような豹変ぶりだが応援するラソン。
当然のように猛烈に反対するセジだ。
しかし、どちらに似たのか自分の我を通す娘。
それぞれの言い分は有るが、時の歯車は回って行った。
Epílogo
娘の幸せを願うラソンだった。
良く似ているだけ。
髪や瞳の色も違うのだから。
(でも何と無く話し方も似てるのよねぇ・・・)
そう思いながらも、既に心を許しているラソンだった。
2人は魔物を倒した後、一緒に街に行く事になった。
聖なる泉を管理する者などと適当な事を言ったが、更に森の奥に隠れ住んでいた事にする。
そして街に行きしなにセジから仲間になって欲しいと申し出を受けた。
仲間には魔法使いや回復役も居るが、自身が目の当たりにした魔法を使える者は未だかつて見た事が無かったからだ。
そんな魔法を使える美しい女性を頬っておくほど愚かでは無いし、街に行けば男共が良い寄って来るのは火を見るより確かだ。
「いいわ。でも条件が有るわよ」
「何だ、言ってみろ」
「貴男の子供が欲しいわ」
「なにぃっ!」
死ぬ寸前の所を助けてもらった女。
ついさっき知り合った女に子種を求められてしまったセジ。
これが、容姿に問題が有れば即座に断っただろう。
だがしかし、美しいのだ。
それも自身が見て来た女性の中で一番の美女だ。
それに未知の魔法を扱い、自分に言い寄って来る。
まるで夢のような話だ。
理性は警戒するが、本心は凄く嬉しいセジだった。
「わ、我で良いのか?」
「ええ」
ニッコリと微笑むラソン。
髪と瞳の色が違うが、あとは非常に良く似ているとセジの一挙一動を観察するラソン。
(まさかあの人の眷族の末裔も入っているのかしら?)
その可能性は有るだろう。
しかし、都合良く北の妖精王の管轄に居たものだと感心する。
しかも自身が繁殖に来た、この時期に丁度良い成体になっているからだ。
何者かの関与も脳裏をかすめたが、そんな事が可能なのは自身の両親くらいだ。
余計な詮索はせずに、唯一好感が持てた眷族の末裔に対して即座に交配の申し出をしたラソンだった。
セジからあっさりと承諾を取り、当分の間一緒に行動する事にした。
※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero
年月は流れ、2人には娘が産まれた。
ラソンに取ってはわずかな時だが、セジの暮らす地方は小国が乱立し互いが覇権を争う戦乱の時代だった。
そんな中で、セジと仲間たちが頭角を現してくる。
陰で力を貸していたのはラソンだ。
数人の仲間が集団となり、覇軍となって愚かな統治者を倒し、民衆の支持を得ていく。
そんなセジに良くも悪くも噂が流れる。
セジの妻となっていたラソンの事だ。
何故ならば、一向に歳を取らないからだ。
出会った時と変わらぬ美しさのままで居れば誰でも不思議がるだろう。
時を同じくして、セジを中心とした集団が国落としを始める。
近隣の部族を取り込み数千人となっていた一団は大きな賭けに出た。
ここまでの大群になれたのは理由が有る。
ラソンの加護だ。
無論内緒で行なっている。
自称聖なる泉の管理者として、お祈りを捧げる行為がセジの率いる軍を全戦全勝となる要因として知れ渡っていたのだ。
そして今後は15歳となる娘が成人として母に替わり祈りをささげる事となる。
もっとも、セジの目標だった国落としの後に建国を行なう所まではラソンが面倒をみると約束していたのだ。
※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero
愚帝を滅ぼし、新たな国を興したセジは忙しかった。
新国王とはいえ、国は荒廃し、隣国は戦々恐々なのだ。
しかし、そんな状況でもラソンの判断で全てが良い方向で進んで行った。
区切りの付いた所で、セジに予言するラソン。
「娘が婿を取れば私は一旦泉に戻る事にします」
セジは解っている。
今までの成功は全てラソンのお蔭だと。
だから抵抗した。
「許さんぞラソン。我の側から離れるな」
そんな事を言っても無駄な事。
例え牢に入れられたとしても転移するだけの事だから。
どれだけセジと話をしても平行線だった。
当然だろう。
だがラソンにはもう1人説得する者が居た。
それは年頃になった娘だ。
母に似て美しく、引く手あまたの美少女に成長している。
「ダリア、以前から言ってあるけど、あなたが結婚したら私は一度国に帰るからね」
「お母様・・・いつもそんな事ばかり言って。私は結婚なんてしないわよ!!」
最近、母娘の会話はこんな繰り返しだ。
しかし、本人の意思とは関係無く運命は訪れる。
アレだけ抵抗していた娘が恋に落ちたのだ。
手の平を返すような豹変ぶりだが応援するラソン。
当然のように猛烈に反対するセジだ。
しかし、どちらに似たのか自分の我を通す娘。
それぞれの言い分は有るが、時の歯車は回って行った。
Epílogo
娘の幸せを願うラソンだった。
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