★淫・呪・秘・転★カテナ・コピディタス編

流転小石

文字の大きさ
34 / 98
第一章 龍国と地上世界

第34話 帰国

しおりを挟む
「今までのダリアは何処に行ったの?」
と疑いたくなるほどの豹変ぶりを見せてくれた我が娘だ。
何故なら彼女は恋に夢中なのだから。

父である国王と恋愛に関して敵対関係になろうとも、恋の炎が燃え盛りラソンの援助を得て目的を達成しようとするダリアだった。

だがセジの不安はラソンが居なくなった後の事だ。
今までの経緯は全てラソンと出会ってから良い事ばかりで事が進んだからだ。
その変わりを我が娘が行なうとしてもラソンの実績とは比較にもならなかった。

そんなセジの思惑とは裏腹に全てはラソンの計画通りに進んで行った。
顔を合わせれば、いがみ合う様になったセジに妥協案を出したのだ。

セジの産まれた国や周辺国家にも土着の宗教らしきものが乱立する。
大地の神、山の神に川の神。
闘いの神、病気や怪我の神、食べ物の神に様々な神をたてまつっている。

そこで一計を考えたラソン。
森の奥の聖なる泉に建物を立てて神を奉り、何かしらの魔導具を作り念話で娘に助言する方法を立案する。
そうすれば魔導具を介しダリアに助言でき、セジの要望に応える事が出来るからだ。
人族の一生など龍人にとって一瞬のともしびだ。
ラソンにとってセジへの関与も時間の問題だった。

魔導具の事を隠してセジを説得し、泉の近くにやしろを作らせる事に成功する。
本当は石作りにしたかったのだが木造で妥協するラソンだ。
中身は何も無い倉庫の様な社に、こっそりと手を加えるラソン。
床は土間だったが流石にそれは我慢出来ず石の板を引きつめて綺麗にする。
適当に作られた何かを祀る為の祭壇に、装飾を施して魔石を散りばめた念話が出来る魔道具を用意した。

そして、もしもの場合の転移場所の確保だ。
そんな適当に作った社に対して、後に上位眷族(母親)から魔法を使い建物の耐久性を高めろと指示があった時は驚いた。

(いったい何を考えているのかしらお母様ったら・・・)

今までセジと暮らしてきた時よりも、残りわずかな時の長さでセジは寿命が来るだろう。
最初から解っていた事だ。
何時までも若い姿のままのラソンだが、そんなセジが死んでいく光景を見たくなかったのも事実だ。

もっとも運悪く戦いで敗れる可能性も有るがそれは低いだろう。
何故ならばラソンの加護が常時発動しているからだ。
当然ダリアにも内緒で加護を付与してある。

戦の時に味方に付与するのは、その場限りの加護だ。
加護と言っても形式上のお祈りを行なうのだ。
これは土着宗教を真似ての行ないだ。
本当の加護はラソンの思念で与える事が可能なのだから。

娘にも扱える加護を新たに作ったり、この地を離れる時の準備に余念がないラソン。
そしてとうとうその時を迎える。
それはダリアの婚儀だ。

小さな地方国家とはいえ、一国の王女が婚姻するのだ。
たとえ相手が流れ者の傭兵だったとしても。

ラソンに言わせれば、セジも娘の見つけた相手も同じく流れの者の傭兵だ。
しかし、セジは気に入らなかった。
国王となったセジは覇者であり、権力者となったからだ。
そんなセジをラソンが”言いくるめて”婚儀の今日まで進めて来たのだ。

「お母様、後の事は私にお任せください」

ついこの前までは、後を継ぐ事を否定していたとは思えない言葉が娘の口から放たれる。

「ダリア、練習したようにすれば私の声が聞こえるからね」
「はい、お母様」

引き継ぎの準備は万端、後は国王の交代をいつするかだが流石にこれはセジに一任するラソンだ。

婚儀は滞りなく進みラソンの役目が終わろうとしていた。
そして龍国に戻る直前に娘から吉報が伝えられた。
ダリアが妊娠したのだ。
手放しで喜ぶラソン。
娘にお願いされて名前を付ける事になった。

「まだ男の子か女の子か解らないのよぉ」
だが龍人たるラソンには解かったのだ。

産まれて来る子は女の子。
名を付けるとしたら・・・ジーナ。
それ以上は産まれて来る子の為にも先読みするのを止めたラソン。

ラソンには眷族の特徴である”先読み”が出来る。
未来視だ。
と言ってもわずかな未来でしかない。
そして自身の未来は解らない。

娘にだけ、そっとその名を告げて聖なる森の社から転移するラソン。
数十年ぶりに龍国に帰るラソンだ。

龍国の大まかな事は担当の妖精王から報告を聞いているので、帰国した報告をしに眷族達に挨拶回りを始める。









Epílogo
誰がいつフィドキアの事を教えるの?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

酔っぱらったせいで、勇者パーティーを洗脳してしまった

透けてるブランディシュカ
ファンタジー
悪友のせいで酔ったら。(※重複投稿しています)仲仁へび

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

処理中です...