╣淫・呪・秘・転╠亡国の暗黒魔法師編

流転小石

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第4章 獣王国編2

第105話 もうすぐ3回目の結婚式

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新しく三人目の妻が増えた事で、新築の”別荘”が早くも改装となった。

まだ多少の物資しか持って来てなかったので、変更するなら早目の方が良いと妻達の判断だ。
なお、今回の改装は獣王国の負担となったのは、基本的にパウリナの部屋が増える訳だから当然なのだ。

ある日、獣王国の高級旅館ビクトリアでパウリナと朝食を食べていると、ビエルナスが目を通して欲しいと書類を渡された。
それは結婚式の予定と王都アレグリアの建設計画だった。

建設計画ではパウリナ姫救出記念碑、パウリナ姫婚約記念碑、英雄モンドリアンとパウリナ姫の結婚記念碑(予定)、神龍降臨記念碑、棘王退治記念碑、英雄王の像と一生残る恥ずかしい物を沢山作るみたいだ。
それに王都を区画整理し今の倍の大きさにするらしく全国から獣人が集まり突貫工事をしているのだ。
エルヴィーノはいつも高級旅館ビクトリアに居るから知らなかったが、街の外へ向けて拡大しているらしい。

それと並行して城も改装し大がかりな修繕をしているとビエルナスから聞いた。
一応”他の国で”国王をちょっとやっているから気になって「そんな資金が潤沢なのか?」とビエルナスに聞いてみた。

「”この大陸”では獣王国が一番の広さと力が有り、近隣諸国には”あの日の出来事”をそれぞれの国に連絡してあり(各国の生き残った間諜から全て”大げさ”に報告されていたので、まさに驚異だった)獣王国の機嫌を損ねると、いつ自国にあの魔法が使われるかも分からないから、ちょっと圧力を掛ければ直ぐに集まります」
笑顔でそう答えたビエルナスだった。

そう聖魔法王国と獣王国は陸続きではあるが違う大陸なのだ。
二国間は大河で区切られて橋が架かっている。

因みにエルフ国は聖魔法王国の大陸で南西の先にある山と海に囲まれた(隔離された)場所だ。

「それにしてもこの計画は急ぎすぎるだろう!」
「大丈夫です。都市計画は三段階ありまして、ご結婚までは第一段階の王城と区画整理が中心で一時的に宿泊施設や便所も”あの時”を参考にして多く作られる予定です。第二段階は式典が終わった後に旧区画ごとに郊外に向けて整地した場所に、新築させて移転させる予定です。第三段階は旧区画を取り壊し新たな建物や施設を作らせる予定です」

「なるほどねぇ」
ノチェ・デル・インペリオ(夜の帝国)としては、そろそろゲレミオ(組合)から何人か来させた方が良さそうだな。
リカルドとフォーレに連絡した。
(ゲレミオとして獣王国へ行く準備を始めてくれ)



そして問題の結婚式の予定だが、一通の手紙が添えられていた。

(婿殿へ。結婚式では式の終盤で神龍を降臨させて欲しい。この願いを叶えてくれるなら、何でも婿殿の言う通りにするから、頼む。ライオネル・モンドラゴン) 

エルヴィーノは深い溜息をついた。
「如何でしょうか?」

ビエルナスが問うてくるので条件を付けた。
「夫婦の頼みの方がいいな。ただし、龍にも都合が有るからな、アレがダメだと言ったら諦めてくれ」

「ハイ! 分かりました」
そう言って勢いよく部屋を出て行った。

また面倒な事を頼まれたとゲンナリしたエルヴィーノを優しくねぎらってくれるパウリナ。
何が面倒かとはフィドキアに決まっている。
あのへそ曲がりが素直に聞いてくれるとは思えないからだ。

そして式典の予定表を見たら、式典用のブエロ・マシルベーゴォ(飛行魔導具)で王城から教会? まで街中をグルッと一周するのだ。
新しく教会作るのか? それだけでもゲンナリなのに龍王杯闘技大会なんてモノがあって、優勝者は英雄王と戦う権利を獲得出来るなんて書いてある。

「フザケンナッ! よくも俺の居ない所で勝手な事ばかりしてくれるぜ。パウリナ! 結婚式は止めだ。俺はもう二度とこの国には来ない。どいつもこいつも勝手な事ばかり言いやがって! お前が付いて来ると言うなら構わないが、どうする?」

怒ったエルヴィーノがパウリナに詰め寄った。

「私は貴男について行きます」
「じゃ、両親にサヨナラを言ってきなさい。明日迎えに来るから」
エルヴィーノは強く言い聞かせて宿屋の部屋から転移した。
取り残されたパウリナは1人で手紙を書いていた。
”姉2人”に向けてだ。

内容は
(両親がロリ姉様の結婚式に刺激されていろんな趣向を凝らした式典を考えた挙句に龍王杯闘技大会を行い優勝者は英雄王と戦う権利を獲得出来るなんて勝手に決めた事に怒って結婚式自体止めるとか、二度と獣王国には来ないとか言われて両親に別れの挨拶をして来いって。私はそれでも構わないけど国の人々が楽しみにしていたのに残念です。両親が悪いのは分かっていますが、このままで良いでしょうか? お姉様達のお知恵を賜りたいです。パウリナ) 

その手紙は所々涙で滲んでいて、同じ時、違う場所で深い溜息をつく2人の美女がいた。
直ぐに2人から似たような内容の返信があった。

(心配しないで私に任せて。ロリ)
(まずはご両親に、あなた達を交えて式典の準備をするように申し出なさい。そしてあなた達の意見を尊重してもらう事であの人を納得させると伝えなさい。あの人の事は何とかしますから。ロザリー)

そこに現れたビエルナス。
「あれ? モンドリアン様は?」

うつむいていたパウリナが大粒の涙を流しながら答えた。
「みんな勝手な事ばかりするから怒って帰っちゃった。結婚式も止めるって・・・もうこの国には来ないって・・・明日私を迎えに来るから皆に別れの挨拶をしておけって」

「なっなんですってー! それで何処に行かれたのですか?」
首を横に振るパウリナ。
「と、兎に角急いて戻り、この事を報告しましょう」

2人は歩いて城の会議室に向った。
そこで、獣王夫婦と一族に重鎮達が式典の計画を話しあっていたからだ。

会議室に入るなりビエルナスが報告をする。
隣で泣いているパウリナを抱き寄せるアンドレア。

「何だと何が不満なのだ!」
「まったくだ。こっちは誰の為に考えていると思っているんだ」
「やはり人族は薄情だな」
事情を知らない重鎮が口走る。

「別に良いではないか居なくとも」
好き勝手な声がパウリナの耳に入ってきて、流石に腹が立ったパウリナが机を両手でバンっと叩くと、机が壊れてしまったが全員がパウリナを見た。

「あなた達がそんなに勝手な事ばかり言うから怒るのは当たり前よ! 私達の結婚式に私達の意見が全く無いじゃない。私はあの人について行くから。もう二度とあなた達に会う事は無いわ。お父様、お母様、短い間でしたがお世話になりました!」

「ま、待て、パウリナ!」
父親の制止も聞かず、そう言ってパウリナは泣きながら廊下へ駆けだした。

「獣王よ、どうするのだ?」
親族の1人が聞いた事に全員が見守る中アンドレアが答えた。

「みなさん、一度あの子達と話し合ってみますわ。式典の内容は多少変わるかも知れませんが、私達も反省する必要があると思いますから。ねぇ、あなた」
腕を組み、うつむいて、黙ったままの獣王は無言でうなずいた。



獣王は考えていた。
式典の内容よりも主役が居ないと”恰好”がつかない事だ。
国民は英雄の存在と娘が結婚する事も知っており神龍も見ている。
今更後には引けない獣王は内容よりも2人の存在の重要性に今更ながら気づき、どうやって和解し戻ってもらうか考えていた。が、何をどう考えても良い案が出ない。

「仕方がない。借りは作りたくないが”奴に”頼むしかないか」
獣王は人族語で紙に書いた。

(助けてくれ。ライオネル)
獣王のエマスコは送り先が1人しか居ない。




夕食の後、プリマベラとイチャついていたリアムのエマスコが着信の点滅をしていた。
中の手紙を見ると、”助けてくれ”と書いてあった。
しかも”あの獣王”からだ。
能天気で、お調子者で、おおざっぱ(リアム目線)のあの獣王がだ。
驚きを隠せないが自分に助けを求めてくるとは・・・。

(このタイミングは国王絡みか?) 
そう思い (どうした?) と返信したら
 (主役を無視して勝手にいろんな結婚式の準備していたら怒ってしまったから、説得して連れて来て欲しい)

ヤレヤレと思い (調べてみる) と返したリアムは溜息をついた。

それは、自分達も一度怒らせた経験があるからだ。
だが、怒った理由も理解できる。
(”アレ”は道理を外れた事には、なりふり構わず怒り出すからな・・・クククッ) 
「楽しそうね。私にも教えてよ」

1人で思い出し笑いをしていたリアムにプリマベラが耳元で囁いて来た。
「ちょっとロリの所に行こうか」

コンコンッ
「ハイどうぞ」
クララ付きの召使いが返事をした。

部屋を入るなり告げる。
「ロリはいるか?」
「ハイ、奥の寝室でクララ様とお休み中です」

静かに寝室に入る両親は娘”母娘”の寝顔を見ながら微笑んでいた。
リアムがロリの頬を撫でるとパチッと目が開き「お父様!お母様!」驚いたロリが起き上がる。

「いいのよ、そのままで」
母の優しい言葉に「実は国王の事で相談が有るのだが」父との会話だ。

「獣王国の結婚式の件ですか?」
「おぉ流石に知っていたか」
「ハイ、先ほど”妹”から連絡が有りました」
そう言って立ち上がりリビングに移動した。



「実は私には獣王から連絡が有ったのだ。一体どうなっているのか、お前ならば知っていると思ってな」
「はい、私とお姉様に同じ連絡が有ったと思うから。どうも本人達が知らないうちに、結婚式以外にいろいろな式典を作ったそうで、私達の結婚式を獣王様が意識しているらしくて、それを知ったあの人が怒ったみたいなの」

「具体的にどんな内容なのだ?」
「1つしか書かれていなかったので、多分その事だと思うけど龍王杯闘技大会を行い優勝者は英雄王と戦う権利を獲得出来るなんて勝手に決めたが原因だわ」

ピクッとしたリアムは一計を考えていた。

「なるほど。”あれ”は無駄な争いを好まんからなぁ・・・良し、その件は英雄王と戦う権利を無くせば問題無いな! 他は?」
「詳しい事は聞いて無いけど」
「では会いに行こう。何処に居るのだ?」
「ちょっと待って。お姉様にも確認するから」
「分かった、早くしてくれ」

リアムの口元は緩んでいた。
(その闘技大会に名前を隠して出てやるぞ! クククッ)

ロザリーのエマスコが点滅し中を見る。
(あの人はそちらに行っていますか?) 
(いいえ、来ていないわ)
(何処に行ったか分かりますか? お姉様)
(多分お母様の所かしら? 聞いてみるわ)

 リーゼロッテに確認すると、アロンソと遊んでいるようだった。

(やっぱり居たわ。どうする? 行くのだったら私も行くけど)
(私は両親も一緒に行くと言っていますが大丈夫でしょぅか?)

しばらくして
 (良いって。じゃ行ってるわ)
(ありがとうございます、お姉様)
(私はあの人が逃げない様にしますから、あなた達はお母様に会ってください)

次々にダークエルフの家に訪れる親族たち。
ロザリーはエルヴィーノとアロンソを”あやし”ながら待っていた。
ロリ達親子はオリビアにリビングへと案内される。

「初めまして、ロリの父で元国王のリアムと申します」
「始めまして、ロリの母でプリマベラと申します」
「こちらこそ初めましてエルヴィーノの母でリーゼロッテと申します。王国の方々にはこの屋敷も手配して頂いて本当にありがとうございます」
「いいえ、私達は既に親族なので堅苦しい挨拶は止めましょう」


プリマベラからの申し出で本題に入る親子。
「実は・・・」


「ほほほほっ。そうですか、あの子がそんな事を」
「えぇ、私達も一度怒らせたことが有りましたが、彼は道理を外れた事には、なりふり構わず怒り出すので分かりやすいのですがハハハハッ」

(あなた、聞いて無いわよ!)
 (後で説明する) 

「それで、私にどうしろと?」
「いえ、説得は私達がしますので、もしもの時はお力添えを頂ければと思っていますが」
「分かりましたわ。パウリナさんも可哀想ですしね」


エルヴィーノとアロンソとロザリーが二階でが寛いでいるとロリが迎えに来てリビングに降りて欲しいと。

(大体ロザリーが来て何も言わないのがおかしいと思っていたんだ。まさか下に獣王が来てるわけ無いよなぁ)

リビングに入ると
「あっ」
(そうだった、リアム殿と獣王は昔からの知り合いだ)

リアム殿の顔を見て思い出した。
エルヴィーノは解っているが聞いてみた。
「どうしたのですか? 御揃いで」

その言葉を待っていたかのように告げる。
「国王がやりたい結婚式を考えて獣王に叩きつける為に集まったのだが」
「えっ」
意外な返事に思わず声が出てしまった。
「そっそれは」
周りを見渡すと全員ニコヤカに自分を見るのが怖かった。
エルヴィーノは深い溜息をしてソファに座った。

「俺が実家に居る理由は聞いていますか?」
「龍王杯闘技大会を行い優勝者は英雄王と戦う権利を獲得出来る。でしょ?」

ロリが応えたので苛立ちの理由を教えた。
「他にも有るが一番腹が立ったのも事実だよ。何でもかんでも俺達の意見も聞かないで勝手に決めやがって」

そこからリアム殿との会話になって行く。
「しかし国王よ、我らの時もそうだったではないか?」
「目的がまったく違います。この国の式典はロリの為、俺達の戴冠も有りましたが普通より人が多いだけで、奇抜なモノは有りませんでしたから。俺は獣王の家族以外では家臣2人しか知らないのが現実ですよ。国の見栄を張る為の物で、親族も家臣も誰も紹介してくれないのです」

困った顔のリアムだった。
(アイツめ、そこまで適当だったとは・・・)

「分かった、その辺の事は私から良く言っておこう」
「一応聞いておきたいが他には不満が有るか?」
「変な記念碑や銅像を作るのも止めて欲しいですね」
フムフム。

「もう1つ確認だが、”優勝者は英雄王と戦う権利を獲得出来る”が一番腹立たしい事だな?」
「ええ、そうです」
「では龍王杯闘技大会自体は問題無いと?」
「・・・俺が絶対に出ないのであれば構いませんが」
「そうか、それは良かった」
「何がですか?」
「あの国の闘技場を見ただろう。獣人族は武闘会が好きなんだ」
「それは獣王に言われたのですか?」
「それは違うぞ国王。私は過去にあの闘技場で戦った事が有るからな。あの戦い好きな獣人族が10年も武闘会を止めていたのだから、どれだけ国民が楽しみにしているかは私達には理解できないだろう」
エルヴィーノは黙っていた。

国が替われば大事なモノも変わると大見栄おおみえを切った経緯を思い出したからだ。
エルヴィーノは熟考して条件を出した。

「分かりました。俺の条件は獣王夫婦が”パウリナに”謝罪する事。俺とパウリナの要望を優先する事。リアム殿も参加してもらう事。今後如何なる闘技大会にも俺は参加しないし、景品にもならない事。この国同様、王としての職務は行わない事が条件でもう一度獣王国に行きます」

「おおおぉ流石は我らが国王だ! 何処かのケモノと違って賢い!」

「褒めても何も出ませんよ」

「ハハハハッ、国王からは沢山もらっているから何もいらんよ」

丸く収まったと事でそれぞれが帰路についた。











あとがき
ちょっとだけ、プチ切れ? 
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