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第9章 魔王国編2
第258話 我が儘と、願い事の準備
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晩餐会も滞りなく終わり、シーラはパウリナの案内で城内を見学すると言う。
都合良くパウリナが相手をしている間に四天王たちをラ・ノチェ・デル・カスティリオ・インペリオに連れて行くことにした。
リカルドからの連絡も有り準備は整っていると言う。
まずは、シオンをリカルドに紹介しよう。
フォーレから説明してあるが初対面なので事前に会わせる事にした。
「初めまして。親衛隊長の任を拝命されたリカルドと申します」
「こちらこそ初めまして。陛下から従者として配列する許可を頂いたレボル・シオンと申します。以後お見知り置きください」
「しかし、大きいですねぇ」
「はっはっはっ体だけが取柄でしてな」
「フォーレから聞きましたが、元は将軍にまで登り詰められたとか?」
「いやいや、たいした事はありません。陛下の千分いや万分の一程の力しか無いのですがね」
「はははっご謙遜を」
(まずは様子見と言った所かな)と勝手に思い込む常闇の帝王だ。
「じゃ用意するか」
三人は謁見の間の裏にある控室に居た。
「リカルド殿、それはっ!」
エルヴィーノとリカルドは常闇の帝王と闇の親衛隊と思えるような、黒一色の軽装の鎧と衣装に装飾品を身に着けていた。
リカルドから昼と夜の衣装をワザワザ替えるのは、気持ちの入替えと威厳を出す為と説明されて「是非我にもお願いします」と跪き、目をウルウルさせるオッサンを見たくないので「リカルドに任すから寸法を測って貰ったら?」と丸投げした。
リカルドが着用する帝國の衣装を見て同様の物をおねだりするシオンだ。
四天王のサケオ、バンディド、ピラタ、デサフィオはフォーレとガンソと共に、帝王の間へ繋がる龍と棘の彫刻で浮き上がった巨大な両開きの扉で、扉の由来や開け方などを感心しながら聞いていた。
扉の脇に置いてある台座に乗った玉に手を置きフォーレが唱えた。
【虚言を掻き消し虚像を打ち砕け。真理は常闇と共に】
一瞬静まるが、ゴゴゴゴッと天井まである石の扉が開きだすと「「「おおおおおおっ」」」と思わず声が出た四天王たった。
中から見えて来たのは真っ白な空間に真っ赤な絨毯が敷いてあり壁際に龍の石像が左右に並んでいる。
天井にも細長い龍の像が扉に向って飛んでいるように彫られていて、彫刻の周りから照明の光が輝いて、壁面にある龍の像も同様に後ろからの照明が室内を照らしている。
四天王への儀式行為はノタルム国で終わっているが、本人達には正式に帝王の間に通す事と、エルヴィーノにとっては二度掛けが重要なのだ。
今回はリカルドとシオンが左右に立つ。
シオンの衣装は無いが同様に魔素を放出するようにした。
魔素の放出も気張る必要があるので2人の方が楽なのだ。
そしてリカルドが決め台詞を叫ぶ。
「ノチェ・デル・インペリオの支配者、常闇の帝王エル・モンド陛下の謁見である。そのお姿を拝見出来る事を光栄に思うが良い。皆の者、面を上げよ」
(・・・)
次の機会からは交互に宣言を言い合うように提案しようと我が儘な事を考えているシオンだった。
夜の儀式も無事に終わり、ゲレミオの宴会が始まった。
最初だけ顔を出し、妻と婚約者に呼ばれて城に戻ったエルヴィーノだ。
そのまま別荘に行くと思ったらそうでは無く、超高級旅館エスピナの黒龍王専用特別室に泊まると言う。
どうやら第一、第二夫人が正式に妻としての儀式が終わってから別荘の使用を許可するとパウリナに伝えたらしく、それまでは超高級旅館エスピナがシーラの宿泊先になる。
必然的にパウリナも泊まり、召使いも同様で別室を用意した。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
(モンドリアンさん、起きてますか?)
エルヴィーノは昨夜、明け方近くまで2人の相手をしていたので、深く睡眠を取っていたが、お構いなしで念話が入る。
(おはよぉコラソン。後で良いか?)
(クククッ、良いですよ。お疲れの様ですからね。ただインスティントに伝えて欲しいので、起きたら連絡して下さいね)
(ああ、おやすみ)
寝ぼけていると判断したコラソンは御立腹の妖精王を宥めて計画を確認していた。
その計画とはインスティントとフィドキアの件だ。
2人がイグレシアの料理店で食事をするならば、どうしてもラソンにバレテしまうからだ。
だからラソンに用事を作り不在にする必要が有った。
それがコラソンの計画なのだが、肝心のエルヴィーノが”お疲れ”で爆睡しているのだ。
仕方なく起きるまで待つことにしたコラソンとヴィオレタだった。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
パウリナと一緒に起きて身支度をするシーラ。
パウリナとの念話でエルヴィーノに数人の子供が居る事を知ったのだが、愛する男の事は何でも知りたいと思うのは当然の成り行きだった。
エルヴィーノも隠す訳でも無く、いずれ誰かが話すだろうと考えていた。
子供達全員の事をパウリナから聞いて、自分の双子であれは会っても良いと了解を得て、会わせてもらうのだ。
アロンソはリーゼロッテに聞かないと分からないと返事をしたパウリナだ。
子供同士は異母兄弟だが、管理者がそれぞれ違うので余計な揉め事を起こさない様にしているらしい。
必要ならばエルヴィーノに聞いた方が良いと助言されたシーラだった。
パウリナが午前の謁見を終わらせてから子供達と合わせた。
「キャァァァッ! 可愛いぃぃぃ!」
満面の笑みがこぼれるアンドレアだった。
「いやぁぁん、目の色が左右違うのね。超ぉ可愛いぃ!」
シーラの羨ましがる言葉が嬉しいパウリナだ。
「良いなぁ、男女の双子なんて。一度に全てを手に入れたじゃないお姉様」
笑顔が収まらないパウリナに(どうやって作ったの? 教えて)と念話で聞くと(たまたまよ)と答える。
(ウソォ、絶対何かしているわ)
(そりゃ、”いっぱいしたけどね”)
(もぉお姉様ったら)
笑顔の2人が子供達をあやしていた。
双子の赤ちゃんを見せびらかし優越感に浸るパウリナと、自分の子はもっと可愛い子が出来ると想像を膨らますシーラだった。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
その頃エルヴィーノはトレ・デ・エスピナスでコラソンと会っていた。
「やぁコラソン、悪いね無理言って」
「大丈夫ですよ、モンドリアンさん」
エルヴィーノはシーラがらみで迷惑をかけて申し訳ない気持ちだが、コラソンも”元々の関係性”がモンドリアンを巻き込む形に成っているのが気兼ねしていた。
「それでですねぇ、近日中に段取りしたいのですが良いですか?」
「具体的には何日後だい?」
「そうですねぇ明日以降二日間の間であれば大丈夫ですよ」
「分かった。料理店に確認して予約しよう。フィドキアは大丈夫か?」
「勿論大丈夫ですから、インスティントに早く連絡した方が良いですよ。あ、くれぐれも秘密厳禁と連絡して下さい」
「分かった」
コラソンとのやり取りを終えると、いつもの様にコラソンへ挨拶するヴィオレタだ。
「それではコラソン様、”私達”は予定が有りますので、これで失礼させて頂きます」
これはヴィオレタが一方的に告げる予定で、トレ・デ・エスピナスに来てコラソンと重要な打ち合わせが終わると自動的に強制連行されるのだ。
もっとも、そうなっても良いように他の予定が無い時間帯に訪問するようにしているエルヴィーノだ。
「ああ、ルルディ。解かっていると思いますが、夕方までにはちゃんと帰すのですよ」
少し不満そうな表情で
「はい、”いつもの様”にキッチリとお返しします」
コラソンとヴィオレタ。
普段の2人にどのようなやり取りが有るのかは知らないし詮索もしないエルヴィーノだ。
コラソンには感謝の気持ちと、ヴィオレタには込み上げてくる欲情を制御するのが精いっぱいのエルヴィーノは、たっぷりと魔精を吸い取られて解放されるのだった。
☆
レボル・シオンはRevolutionをもじった名で、四天王は略奪、山賊、海賊、挑戦です。
都合良くパウリナが相手をしている間に四天王たちをラ・ノチェ・デル・カスティリオ・インペリオに連れて行くことにした。
リカルドからの連絡も有り準備は整っていると言う。
まずは、シオンをリカルドに紹介しよう。
フォーレから説明してあるが初対面なので事前に会わせる事にした。
「初めまして。親衛隊長の任を拝命されたリカルドと申します」
「こちらこそ初めまして。陛下から従者として配列する許可を頂いたレボル・シオンと申します。以後お見知り置きください」
「しかし、大きいですねぇ」
「はっはっはっ体だけが取柄でしてな」
「フォーレから聞きましたが、元は将軍にまで登り詰められたとか?」
「いやいや、たいした事はありません。陛下の千分いや万分の一程の力しか無いのですがね」
「はははっご謙遜を」
(まずは様子見と言った所かな)と勝手に思い込む常闇の帝王だ。
「じゃ用意するか」
三人は謁見の間の裏にある控室に居た。
「リカルド殿、それはっ!」
エルヴィーノとリカルドは常闇の帝王と闇の親衛隊と思えるような、黒一色の軽装の鎧と衣装に装飾品を身に着けていた。
リカルドから昼と夜の衣装をワザワザ替えるのは、気持ちの入替えと威厳を出す為と説明されて「是非我にもお願いします」と跪き、目をウルウルさせるオッサンを見たくないので「リカルドに任すから寸法を測って貰ったら?」と丸投げした。
リカルドが着用する帝國の衣装を見て同様の物をおねだりするシオンだ。
四天王のサケオ、バンディド、ピラタ、デサフィオはフォーレとガンソと共に、帝王の間へ繋がる龍と棘の彫刻で浮き上がった巨大な両開きの扉で、扉の由来や開け方などを感心しながら聞いていた。
扉の脇に置いてある台座に乗った玉に手を置きフォーレが唱えた。
【虚言を掻き消し虚像を打ち砕け。真理は常闇と共に】
一瞬静まるが、ゴゴゴゴッと天井まである石の扉が開きだすと「「「おおおおおおっ」」」と思わず声が出た四天王たった。
中から見えて来たのは真っ白な空間に真っ赤な絨毯が敷いてあり壁際に龍の石像が左右に並んでいる。
天井にも細長い龍の像が扉に向って飛んでいるように彫られていて、彫刻の周りから照明の光が輝いて、壁面にある龍の像も同様に後ろからの照明が室内を照らしている。
四天王への儀式行為はノタルム国で終わっているが、本人達には正式に帝王の間に通す事と、エルヴィーノにとっては二度掛けが重要なのだ。
今回はリカルドとシオンが左右に立つ。
シオンの衣装は無いが同様に魔素を放出するようにした。
魔素の放出も気張る必要があるので2人の方が楽なのだ。
そしてリカルドが決め台詞を叫ぶ。
「ノチェ・デル・インペリオの支配者、常闇の帝王エル・モンド陛下の謁見である。そのお姿を拝見出来る事を光栄に思うが良い。皆の者、面を上げよ」
(・・・)
次の機会からは交互に宣言を言い合うように提案しようと我が儘な事を考えているシオンだった。
夜の儀式も無事に終わり、ゲレミオの宴会が始まった。
最初だけ顔を出し、妻と婚約者に呼ばれて城に戻ったエルヴィーノだ。
そのまま別荘に行くと思ったらそうでは無く、超高級旅館エスピナの黒龍王専用特別室に泊まると言う。
どうやら第一、第二夫人が正式に妻としての儀式が終わってから別荘の使用を許可するとパウリナに伝えたらしく、それまでは超高級旅館エスピナがシーラの宿泊先になる。
必然的にパウリナも泊まり、召使いも同様で別室を用意した。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
(モンドリアンさん、起きてますか?)
エルヴィーノは昨夜、明け方近くまで2人の相手をしていたので、深く睡眠を取っていたが、お構いなしで念話が入る。
(おはよぉコラソン。後で良いか?)
(クククッ、良いですよ。お疲れの様ですからね。ただインスティントに伝えて欲しいので、起きたら連絡して下さいね)
(ああ、おやすみ)
寝ぼけていると判断したコラソンは御立腹の妖精王を宥めて計画を確認していた。
その計画とはインスティントとフィドキアの件だ。
2人がイグレシアの料理店で食事をするならば、どうしてもラソンにバレテしまうからだ。
だからラソンに用事を作り不在にする必要が有った。
それがコラソンの計画なのだが、肝心のエルヴィーノが”お疲れ”で爆睡しているのだ。
仕方なく起きるまで待つことにしたコラソンとヴィオレタだった。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
パウリナと一緒に起きて身支度をするシーラ。
パウリナとの念話でエルヴィーノに数人の子供が居る事を知ったのだが、愛する男の事は何でも知りたいと思うのは当然の成り行きだった。
エルヴィーノも隠す訳でも無く、いずれ誰かが話すだろうと考えていた。
子供達全員の事をパウリナから聞いて、自分の双子であれは会っても良いと了解を得て、会わせてもらうのだ。
アロンソはリーゼロッテに聞かないと分からないと返事をしたパウリナだ。
子供同士は異母兄弟だが、管理者がそれぞれ違うので余計な揉め事を起こさない様にしているらしい。
必要ならばエルヴィーノに聞いた方が良いと助言されたシーラだった。
パウリナが午前の謁見を終わらせてから子供達と合わせた。
「キャァァァッ! 可愛いぃぃぃ!」
満面の笑みがこぼれるアンドレアだった。
「いやぁぁん、目の色が左右違うのね。超ぉ可愛いぃ!」
シーラの羨ましがる言葉が嬉しいパウリナだ。
「良いなぁ、男女の双子なんて。一度に全てを手に入れたじゃないお姉様」
笑顔が収まらないパウリナに(どうやって作ったの? 教えて)と念話で聞くと(たまたまよ)と答える。
(ウソォ、絶対何かしているわ)
(そりゃ、”いっぱいしたけどね”)
(もぉお姉様ったら)
笑顔の2人が子供達をあやしていた。
双子の赤ちゃんを見せびらかし優越感に浸るパウリナと、自分の子はもっと可愛い子が出来ると想像を膨らますシーラだった。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
その頃エルヴィーノはトレ・デ・エスピナスでコラソンと会っていた。
「やぁコラソン、悪いね無理言って」
「大丈夫ですよ、モンドリアンさん」
エルヴィーノはシーラがらみで迷惑をかけて申し訳ない気持ちだが、コラソンも”元々の関係性”がモンドリアンを巻き込む形に成っているのが気兼ねしていた。
「それでですねぇ、近日中に段取りしたいのですが良いですか?」
「具体的には何日後だい?」
「そうですねぇ明日以降二日間の間であれば大丈夫ですよ」
「分かった。料理店に確認して予約しよう。フィドキアは大丈夫か?」
「勿論大丈夫ですから、インスティントに早く連絡した方が良いですよ。あ、くれぐれも秘密厳禁と連絡して下さい」
「分かった」
コラソンとのやり取りを終えると、いつもの様にコラソンへ挨拶するヴィオレタだ。
「それではコラソン様、”私達”は予定が有りますので、これで失礼させて頂きます」
これはヴィオレタが一方的に告げる予定で、トレ・デ・エスピナスに来てコラソンと重要な打ち合わせが終わると自動的に強制連行されるのだ。
もっとも、そうなっても良いように他の予定が無い時間帯に訪問するようにしているエルヴィーノだ。
「ああ、ルルディ。解かっていると思いますが、夕方までにはちゃんと帰すのですよ」
少し不満そうな表情で
「はい、”いつもの様”にキッチリとお返しします」
コラソンとヴィオレタ。
普段の2人にどのようなやり取りが有るのかは知らないし詮索もしないエルヴィーノだ。
コラソンには感謝の気持ちと、ヴィオレタには込み上げてくる欲情を制御するのが精いっぱいのエルヴィーノは、たっぷりと魔精を吸い取られて解放されるのだった。
☆
レボル・シオンはRevolutionをもじった名で、四天王は略奪、山賊、海賊、挑戦です。
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